2026.08.10
【北海道】アイヌ文化に触れる。民族共生象徴空間「ウポポイ」を訪れて
元TBSアナウンサーで、現在は故郷・札幌を拠点にフリーアナウンサーや文筆家としてご活躍のアンヌ遙香さんによる連載「now HOKKAIDO by Anne Haruka」。
今回は、「アイヌ文化に触れられるウポポイ」について。アンヌさんの熱量溢れる文章をお届けします。
第二十四回のテーマは…「ウポポイ」
いよいよ夏休み!
夏休みの醍醐味といえば「旅行」ですが、昨今は旅行の在り方も多様化しています。おすすめの観光地をめぐり、美味しいものを食べるという王道の過ごし方はもちろんのこと、例えば短期のアルバイトをしながら周辺を巡ったり、アートや自然など特定のものとの出会いを目的にしたり。「学び」や「それまでの自分にはなかったもの」を「発見」できることも旅行の良いところです。
夏休みシーズン、今年は新たな「学び・発見」を北海道の白老で得ませんか? 北海道といえば海鮮、乳製品、お肉、ワイン、と食の王国のイメージが強いでしょうが、白老で多様な文化を知る経験も、長い目で見て絶対にあなたの財産になるはず!
■北海道とアイヌ文化
北海道出身・在住の私は道内ニュースで多くの独特の地名が出てくることに慣れっこですが、道外の方からすると「そうやって読むんですね!」と目を丸くされることがあります。
例えば「音威子府」、「標茶」。それぞれ「おといねっぷ」、「しべちゃ」と読みますが、これはいずれもアイヌ語から来ている地名。音威子府はアイヌ語で「濁る泥川」などの意味。標茶はアイヌ語「シペッチャ」に由来し「大きな川のほとり」という意味とされます。
実は「札幌」だってアイヌ語です。こちらはアイヌ民族の言葉の「サッ・ポロ・ペッ」(かわいた・大きな・川)に由来するなど、さまざまな説があります。
地名からも各所に名残が見られるアイヌ文化ですが、北海道出身・在住であっても、すべてを知っているわけではない場合がほとんどでしょう。私もそうです。
そのために生まれたのが白老の民族共生象徴空間「ウポポイ」です。
■ウポポイとは

アイヌ文化の振興や普及啓発は、伝承者の減少などの課題に直面しています。アイヌ語や伝統工芸など存立の危機にある分野があり、また、未だなおアイヌの歴史や文化等について十分な理解が得られていないといった課題が現実的にあるわけです。
このような背景を踏まえ、ウポポイ(民族共生象徴空間)は、アイヌ文化を振興するための空間や施設であるだけではなく、存立の危機にあるアイヌ文化の復興・創造等の拠点としていこうという政策がとられるようになりました。
同時に、アイヌの人々の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴としても位置付けられています。
さまざまな意味で「平和」の象徴ともいえるウポポイ。
緑豊かな敷地には美しい湖・ポロト湖、国立アイヌ民族博物館、国立民族共生公園(体験型フィールドミュージアムとして、古式舞踊の公演や多様な体験プログラムを通じてアイヌ文化を体感できます)、などが並ぶのみならず、小さなお子さん向けの遊具があったり、美味しい食のコーナーがあったりと見どころが沢山!

私はメインMCをつとめているSTV「どさんこWEEKEND」の取材でお邪魔しました。その日は快晴で、ポロト湖のほとりのフォトスポットで素敵な写真も撮影してきました。カラフルな傘がまた映える! 札幌からの日帰り旅行プランとしておすすめできるのも白老の魅力です。
■学びの数々と景観の素晴らしさ

なにより印象的なのが広大な敷地。私が足を運んだのは7月上旬でしたが、美しい豊かな緑のなかにポロト湖があり、その周囲には集落であるコタンを再現した建物が並んでいます。
ありとあらゆるところにアイヌ語の表記が併記されており、言葉を知る楽しみや発見も。
私がお邪魔した時は、イタㇰフナㇻパという言葉探しスタンプラリーのようなものが開催されており、めぐりながらアイヌ語を探す、知る、という学習ができるプログラムがありました。
そして私のおすすめは工房。アイヌ文様の刺繍体験や、彫刻体験などもできますが、特に私が印象に残ったのがとても立派な木彫りの熊。

北海道土産として有名ですが、昨今非常に希少価値も高くなっています。そんな中でこれだけ大きなものは初めて見たかも。本物をぜひご覧ください!
学びがあるのみならず、ウポポイ全体の景観の美しさには目を見張るものがあります。自然と人工物が融合した空間に身を置くだけでも、心身がリフレッシュするような不思議な感覚がありますよ。
■大人もハマる弓矢体験

さまざまな体験やアクティビティの数々。アイヌの伝統的舞踊などもとても心揺さぶられますし、もちろん博物館は必見。
そんな中で印象に残っているのが弓矢体験。アイヌの人々は弓矢をつかって狩猟をしていましたが、それが禁止された歴史があります。
その文化をしっかりと受け継ぐ、知る、という眼差しを残しながら、エンターテインメントとしての魅力もこめたのがこちらの弓矢体験なんです。

私は正直運動神経がそこまで良いほうではないのですが、弓矢をぐっと構えて手を放すと…なんと的に命中! びっくり!!
チャンスは三回。最初にあたったことに調子にのった私は二回目以降狙いを定めていきましたが、二回目三回目は大外れ…「当ててやろう」という気持ちがあると逆にだめみたい。
奇跡的にあたった一度目の感触が忘れられないですが、大人でもこんなにワクワクするのですね。トライできるならぜひおすすめです。
■ウポポイで美味しいお食事を!
やはり大事なのはお食事! 実は食からもアイヌ文化を学ぶことができるのです。
エントランス棟に位置するレストランとフードコートがリニューアルされ、「オハウとジビエの専門店 海空のハル」、「フードコートキッチンporo」という2店舗がオープン。
白老町出身のフチ(=おばあさん)が作る伝統料理オハウ(=汁物)をはじめ、白老町を中心とした北海道食材やアイヌ文化の要素を取り入れた創作料理、2店舗限定のオリジナルメニューが提供されています。

オハウとジビエの専門店 海空のハルで、今回は「季節のオハウ定食」を今回は選択。
オハウはメインの汁物、ということで素材そのものの良さを生かした、優しくも少しワイルドな味付けが特徴。大き目にカットされた鮭やお野菜のうまみがスープに溶け出していて、ヘルシーかつ純粋に美味! 鹿肉と熊肉までセットについており、ジビエ好きにはたまらない。
ちなみに私は熊肉が大好き! 本当に新鮮なジビエはとんでもない美味しさです。北海道だからこそ食べられる本場の味をお楽しみくださいね。
フードコートはお子さんづれにもおすすめ。私は北海道名物の豚丼を選択。

豚丼は道民でもファンが多いですが、独特の甘辛いタレと厚みのある豚肉のハーモニーが食欲を刺激します。こちらの豚丼は、白老名物のポロト豚を使っているとのこと。ほのかな脂身がたまりません。温泉卵と、北海道ならではの「山わさび」を味変にどうぞ。
「ゴールデンカムイ」の影響で「アイヌのみなさんのこの食事食べてみたい!」という需要が格段に増えているそう。アイヌ料理は北海道外ではなかなかお目にかかれるものではありません。この機会にぜひ!
■白老はたらこが有名!

さあ、ウポポイを後にして、お土産を探しに行きましょう。白老ではたらこをゲットすべし。
私がお邪魔したのは蒲原水産。かんばらすいさん、と読みます。北海道白老郡白老町・虎杖浜(こじょうはま)で創業以来、たらこの製造・販売を続けている老舗です。
太平洋に面した虎杖浜は、古くからたらこの産地として知られ、良質なすけとうだらが水揚げされる漁場。鮮度と品質にこだわったたらこづくりが行われていて、実は九州の辛子明太子なども虎杖浜のたらこを加工して作られているのだとか!
以前九州で辛子明太子をお土産で買ってきたことがありましたが、北海道にまた里帰りをさせていたということなのね…。
おすすめはたらこ工場見学! マイナス20度の世界を体感することもできます。
私もトライしたのが、贈答用として愛される、虎杖浜名物の「たらこ」のパック詰め体験。やわらかいたらこを、美しくふっくらとパック詰めするのは、意外と難しい! スタッフさんのレクチャーを受けながら、キレイにパック詰めをしてみれば、そのあとしっかり包装もしてくださりテンションが上がる!!
お子さんの自由研究にもおすすめとのことですよ。
直売所はたらこのみならず、さまざまな魚介加工品があり目移りすることまちがいなし。私は今回たらこやたらこのパスタソース、タコ刺しを購入しましたがその美味しさに家族も感激。新鮮なさまざまな魚介を手に、ほくほく顔で帰宅の途につきましょう。
■おわりに
道外ではなかなか体験することのできない唯一無二の経験を積むことができる白老。札幌からの日帰りバスを利用したりして、旅程に組み込むのはいかがでしょうか?
Profile
アンヌ遙香
北海道出身、在住。元TBSアナウンサー。現在は札幌を拠点にキャスター、文筆家、MC業をつとめる。STVどさんこweekendメインMCなど。 北大大学院博士後期課程在籍中。ゴールデンレトリバーの愛犬とファイターズをこよなく愛する。
Instagram:@aromatherapyanne
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