2026.09.27
「美肌の湯」には、理由がある。温泉のプロに聞いた、キレイを目指すお湯の選び方
秋の旅の楽しみといえば、やっぱり温泉。「美肌の湯」「美人の湯」なんて言葉を聞くと、それだけで肌によさそうな気がしますよね。でも、そもそも「美肌の湯」ってどんな温泉? 本当に入るだけで肌がキレイになるのでしょうか?
今回は、温泉のスペシャリスト・石井宏子さんに、温泉と美容の関係を教えていただきました。
教えてくれたのは…
温泉ビューティ研究家・旅行作家 石井宏子さん

年間200日ほど温泉を旅する、温泉ビューティ研究家・旅行作家。温泉・食・自然環境などを通して心も体も美しくなる「ビューティツーリズム」を提唱。テレビ、雑誌、WEBなど幅広いメディアで温泉の魅力を発信している。
>>乾燥、冷え、疲れに。温泉のプロが選ぶ、この秋おすすめの「美肌温泉」6選
「美肌の湯」って、そもそもどんな温泉?
「美肌の湯」と呼ばれる温泉には、どんな特徴があるのでしょうか? 石井さん曰く、ひとくちに「美肌の湯」といっても、いくつか種類があるのだとか。
「温泉の泉質は10種類に分類されています。ただし、温泉は自然のものなので、さまざまな泉質が複合して含まれており、同じものはふたつとありません。その中で“美肌の湯” としてよく知られる泉質には、三大美人泉質である炭酸水素塩泉、硫黄泉、硫酸塩泉があります」(石井さん)
「美肌の湯」は、三大美人泉質のいずれかを含んでいる温泉であるということ。しかも、その効果は「美肌の湯」ならどこでも同じというわけではないんです。
「化粧品も、石けん、化粧水、クリームなど、それぞれ目的によって働きが違いますよね。温泉も同じ。泉質によって美容の目的が異なるんです。だから、“どんな美肌になりたいのか?”によって、入る温泉を使い分けるのがおすすめです」
美肌温泉は「落とす・めぐる・補給」で覚えよう
三大美人泉質には、美と健康に欠かせない3つの要素が隠れています。その3つとは、「落とす」「めぐる」「補給」。
落とす……炭酸水素塩泉
「まず『落とす』のが、炭酸水素塩泉。肌表面の汚れや古い角質を落とす、石けんのような作用が期待できる温泉です。入浴後の肌がすべすべ、つるつるに感じられるのが特徴です。pH8.5以上のアルカリ性の温泉にも、同じような作用が期待できます」
めぐる……硫黄泉
「血行を促進して身体のめぐりをよくしてくれます。血流がよくなることで、酸素や栄養の供給も順調になり、滞りがちな老廃物が運び出されて、すこやかで明るい肌を目指すサポートになります」
補給……硫酸塩泉
「硫酸塩泉は、『補給』を担います。化粧水のように肌の潤いをサポートし、しっとり美肌へ導いてくれます。塩化物泉は、塩の成分が薄いヴェールのように肌を包み、肌の水分や熱を逃げにくくしてくれるので、湯上がり後も“しっとり”“ほかほか”が続きます」

石けん、化粧水、ヴェール…とそれぞれの役割をスキンケアアイテムに当てはめて考えると、温泉がぐっと身近に思えてきます。
温泉選びの1ポイント:
なりたい肌から「美肌の湯」を選んでみよう
肌をすべすべにしたい……炭酸水素塩泉やアルカリ性の温泉
しっとりした肌を目指したい……硫酸塩泉や塩化物泉
代謝をアップさせたい……硫黄泉
血行を促進したい……二酸化炭素泉

これを知っているだけで、「有名だから」「絶景だから」以外の選び方の指標ができて、温泉旅がもっと楽しくなりそうですね。
せっかくなら、美肌を目指す入り方を!
●美容目線なら38〜42℃くらいを目安に
では、美肌のためにはどんな入り方をすればいいのでしょう?
「美容的には、38〜42℃くらいまでが適温です。ただし、もっと熱い温泉なら短時間浴にしたり、ぬるい温泉なら温冷交互浴にしたりと、入り方を工夫すれば大丈夫です」
温泉は自然のものだからこそ、温度もさまざま。そのお湯に合わせて、入り方を変えてみましょう。
●長風呂より「ほどほど×3回」の分割浴がおすすめ
美容のために…と、汗だくになるまで長く入っていませんか? 実は石井さんがおすすめするのは、1回の長風呂ではなく「分割浴」。
「1度に長く入って汗だくになっても、意外にも身体の中までは温まりきっていない、いわば“生焼け状態”ですぐに冷めてしまいます。3回に分けてほどほどの入浴を繰り返すことで、体の芯までじっくり温まり、血の巡りのよい状態を長続きさせることができます」
つまり温泉美容も、“長ければ長いほどいい”わけではありません。無理して長湯するより、「ほどほど」を繰り返すことを意識して。
●メイクは最初に落とす。身体を洗うのは温まってから
意外と迷うのが、メイクを落としたり身体を洗ったりするタイミング。美容のためには、入浴の順番にもポイントがあるそう。
「まずメイクを落とし、身体のポイントを洗ってから、温泉でかけ湯をします。それから温泉で軽く温まり、そのあとに洗髪や全身を洗って、もう一度温泉で温まりましょう」
いきなり全身をゴシゴシ洗ってから温泉へ、ではないのがポイント。覚えておけば、次の温泉からすぐ実践できそうです。

実は大切!湯上がりの肌をどうする?
温泉から上がったあと、「せっかくの温泉成分が流れてしまうから、シャワーは浴びないほうがいい」と聞いたことはありませんか?
「源泉かけ流しなど、自分の肌にとって心地よいと思う温泉に入った時には、そのまま洗い流さずにおくと、温泉の作用が長持ちします。ただ、少し入りすぎた時には、シャワーで流してください。少し温泉の作用を抑えることができます」
しかも、シャワーで流したからといって、温泉の作用がすべてなくなってしまうわけではないそう。大切なのは、“流さないこと”にこだわるより、自分の肌の感覚を優先することです。
湯上がりは「最高のお手入れチャンス」!
そして忘れてはいけないのが、湯上がりの保湿です。
「温泉を出た直後は、肌表面の汚れや古い角質が落とされて、全身がすっぴんのような状態になります。特に『落とす』タイプの泉質に入った時には、すぐに保湿するのがおすすめ。湯上がりは最高のお手入れチャンスと考えて、すぐにケアすると、より美肌に近づけます」
温泉に入って「あ〜、気持ちよかった!」と、そのままゴロゴロ…する前に、まずは顔と身体の保湿を。せっかくの温泉美容、最後のひと手間まで忘れずに。

「温泉は地球がくれた美容液」
最後に、温泉を美容に上手に取り入れるために覚えておきたいことを石井さんに聞きました。
「温泉は地球がくれた美容液です。泉質の特徴を理解して、自分の肌の悩みに合わせて選ぶ。湯めぐりをするなら、入る順番を考えるなど、スキンケアのように使い分けていただくと、温泉ビューティがより楽しくなると思います」
なんとなく入っていた温泉も、泉質を知れば立派な美容タイムに。次の温泉旅では、「今日はどんな肌になりたい?」からお湯を選んでみませんか。

大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスの美容ライター、エディターとして20年以上のキャリアをもつ。2023年4月より娘と一緒にオーストラリア・メルボルンへ移住、2025年12月帰国。3年間のオーストラリアで暮らした経験で得たナチュラル&オーガニック美容、ヘルスコンシャスなライフスタイルをまとめた本「オーストラリアナチュラル美容案内」を執筆。“暮らすような旅”をこよなく愛し、年に数回は国内外を訪れている。■ウェブサイト: https://www.natsumemadoka.com/
■Instagram: @madoka_natsume
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