【俳優・萩原護】俳優としてのおもしろさを模索「おもしろがることが大事なんだな」
INTERVIEW

2026.09.09

【俳優・萩原護】俳優としてのおもしろさを模索「おもしろがることが大事なんだな」

9月11日(金)より、映画『Man』が公開されます。

闇バイトで犯罪に手を染める青年・小田。ある日、犯行現場で見知らぬ男にさらわれたことから小田の人生は一変します。真っ当に生きることを勧め、自分のマンションの鍵を渡す謎の男。男の目的が分からないまま、小田と男の共同生活が始まりました。

戸惑いながらも次第にその状況を受け入れていく小田を演じたのは、ドラマ「シナントロープ」や「未来のムスコ」など話題作への出演が続く萩原護さん。奇妙な物語の中でどのように小田を演じたのか、お聞きしました。

始まってからのほうが役に対して理解が深まった

――脚本を読まれていかがでしたか?

サスペンスコメディというジャンルではあるんですけど、それ以外にもいろんな要素が入っている話だな、と思いました。日常の中に、ある種ファニーさもあるじゃないですか。そういうのが素敵だな、と思いました。

――演じられた小田という役をどういうふうに捉えていらっしゃいましたか?

宇野祥平さん演じる謎の男・久野の言うことをわりとすんなり聞いているところからして、自分が置かれている状況とか、シチュエーションを受け入れがちというか。悪い意味で素直な青年ではあるんだな、というのは思いましたね。闇バイトをするようになったのも、多分その素直さ故かなと思いました。

――役作りとしてはいかがですか?

撮影に入る前から準備はしていましたけど、とはいえ久野と対面していろいろ現場で起きることのほうが大事なのかな、と思ってもいました。なので、できる限りの準備はしていくんですけど、どういうキャラクターなのか掴み始めたのは、初日、宇野さん演じる久野と対面でお芝居をしてみてからでしたね。始まってからのほうが役に対して理解が深まりました。

――演じてみて小田にギャップはありましたか?

負けん気はあるというか、諦めない、胆力はあるんだな、というのはギャップでした。最初、勝手に弱々しいイメージを持っていたんですけど、実際に現場に行ってお芝居してみると、「負けてしまう」と思ったんです。でもこれは負けてはダメだな、と思って。相手に対してもそうだし、今後のシーンを考えたら、ここでへこたれていたら次に行けない、と思いましたね。

人間力、俳優力に感銘

――宇野さんの存在感が強烈で、観ていて「次は何をしてくるんだろう?」と思わされました。共演してみていかがでしたか?

本当に僕もそういう気持ちでずっといました。ただただ宇野さんが演じていらっしゃる姿とか存在感を目の当たりにして、「おお」と思って。次のシーンも「おお」と思って、その繰り返しでしたね(笑)。負けないぞ、と思って向かっていくんですけど、また「おお」と思って。じゃあ自分ももっとやらなくちゃ、と。現場では本当にずっと観察してました。宇野さんもですし、久野を。

――宇野さんとお話されて印象的なことはありましたか?

前田(弘二)監督と宇野さんは出会ってから25年で、一緒に作った作品が25作品目。しかも『Man』は宇野さんにとって前田監督の長編で初主演という記念すべき作品なんですね。その辺りが気になっていろいろお話を聞いていて。特に印象的だったのは、「前田くんだからいろいろやってみたくなる、前田くんだからいろいろ提案したり、アドリブを入れているところがある」とおっしゃっていたことです。基本的に宇野さんは言われたことをしっかりやるタイプだとおっしゃっていたんですけど、今回に限ってはそうではないというところに、お二人の絆が垣間見えていいな、と思いましたね。

――たしかにアドリブも多そうだな、と思いました。

端々でアドリブを入れていたんですけど、意外にあまり使われていなくて。でも、ひとつ大きくあるのは、最後に相撲で投げ飛ばすシーン。序盤で一回負けているけど、僕が勝ち返して形勢逆転します。あそこは本来、相撲を取る予定では全くなかったんです。そうしたら、宇野さんが相撲取らない? と。

――お誘いがあったんですね。

なるほど、と思って。前田監督も一緒に話していて、いいね、とおっしゃって。そういうアイデアを出すことは滅多にしないそうなんですけど、前田くんだからやるんだ、とおっしゃっていましたね。

――現場で刺激になったことも多そうですね。

多いですね。特に宇野さんは俳優として大先輩なので、学ぶことはすごく多かったです。宇野さんがいると、みんな穏やかになっていくんですよ。それってすごくないですか? それこそ人間力だと思いますし、おそらく俳優力でもあるのかなと僕は勝手に思っているんですけど、そういったところを本当に尊敬していますね。

――物語として、久野が尽くしてくれることに対して、小田は諦めるというか受け入れるというか…萩原さんご自身はどのように受け取ってらしたんですか?

変な人だなとは思いつつも、妙に納得してしまう説得力みたいなものもあって。それはすごく不思議なんですけど、とにかく本当に脚本が良くて、全て納得してしまうんですよ。どのシーンも結構異常なシチュエーションじゃないですか。なのに、「久野と小田だったらそうか」と思ってしまう説得力があって素敵だなと思って見ていました。僕自身としてもそんなに違和感はなかったですね。

――では演じることにも違和感はなく。

なかったです。すごく快適に演じさせていただきました。これは本当に前田監督やみなさんのおかげですね。

――現場がいい環境だったんですね。

いい環境でした。本当にみなさんのことが大好きです。

一番は「積み重ね」

――俳優業全体のことについても聞かせてください。2024年頃から出演作が増えていらっしゃいますが、現段階で転機だったと思われる作品はありますか?

いろいろありますけど、地道に、という感覚ですね。ただ、「シナントロープ」と「未来のムスコ」を観てましたと言ってくださる方が多くて、反響として感じています。でも、一番は積み重ねですね。

――俳優のおもしろさはどういうところに感じていらっしゃいますか?

本当にずっと考えていて――。数少ないんですけど、同じ事務所の仲野太賀さんをはじめ、先輩にもいろいろ聞いたりしています。多分、一生探し続けるし、もっと言うと作品ごとで多分楽しみ方って違うんだろうな、と思います。でも、ひとつ思うようになったのは、おもしろがることが大事なんだな、と思って。今回の『Man』もそうですけど、例えば前田監督が何をおもしろがっていたんだろう、と。そこに僕がどれだけ寄り添えるか、寄り添った結果、おもしろがれているかというところなのかな、と思いましたね。前田監督がおもしろがるのは空気感とおっしゃっていたんですけど、そういうのをおもしろがれる俳優でいたいと思います。

意外とアウトドア派です

――普段、リフレッシュのために行っていることはありますか?

旅かもしれないです。こう見えてわりとアウトドアなんですよ。

――こう見えて(笑)。

アウトドア派でやらせてもらっています(笑)。

――キャンプとか?

キャンプはしないんですよね。でも行った先でバーベキューとかよくします。自然がとにかく好きで、自然の中にいると本当にリフレッシュされますね。

――旅してきた中で印象的だった場所はありますか?

一昨年、『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』という映画の撮影があって、沖縄のほうに1ヶ月半ぐらいいたんですけど、すごく印象的でした。現地の方ともたくさんお話しました。ひとつよかったのが、自然が全然本州と違うな、というのがあって、それが視覚的におもしろかったですね。あと、いろんな話を聞いて、本州では聞けないニュースが地域レベルではあるということを知れて興味深かったですね。知らなかったことだったり、見たことがない景色だったりがあって、同じ日本でここまで違うのかと、すごく印象的でした。

――撮休の時に町を回られたりしたんですか?

そうですね。ご飯屋さんとかでお店の方や常連さんと仲良くなったりして。沖縄という風土について教えてもらいました。最終日にも、お世話になりましたとご挨拶に行ったりして。

――そんなに仲良くなられたんですね。

沖縄の人が心を開いてくれているんですよね。沖縄に「いちゃりばちょーでー=会ったら友だち」という言葉があって。そういうところもなんか素敵じゃないですか。

――最後に、今、好きなだけ時間があるとしたらどこに行って何をしたいですか?

沖縄の北、やんばるのほうにあんまり行けなかったので、行ってみたいです。自然が好きなので、いろんな緑を見てみたいですね。

Profile
萩原護

2003年生まれ、東京都出身。近年の主な出演作に、大河ドラマ「⻘天を衝け」、ドラマ「最高の教師 1 年後、私は生徒に■された」「君が心をくれたから」「街並み照らすヤツら」「新宿野戦病院」「ホットスポット」「対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜」「なんで私が神説教」「シナントロープ」「if の世界で恋がはじまる」「未来のムスコ」、映画『この夏の星を見る』『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』などがある。また、現在放送中のドラマ「スピナーベイト」に出演中のほか、11月公開の映画『呪いのスマホ』への出演も控える。

■『Man』
2026年9月11日(金)全国公開
出演:宇野祥平 萩原護
田中爽一郎 一條恭輔 夕帆 新垣渚(友情出演)
伊島空/ 音月桂 安藤玉恵 唐田えりか
監督・脚本・編集:前田弘二
公式HP:http://man-movie.jp

ヘアメイク/土岐いつか
撮影/渡会春加
取材・文/ふくだりょうこ

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