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2025.09.22

<佐藤めぐみのcoffee note Finale>
都会の真ん中で “プラグ”をはずしてリラックスできるお店

東京はおしゃれでかわいい、そして美味しいカフェの激戦区。そこで、コーヒー好きとして有名な女優の佐藤めぐみさんと、東京のカフェを巡る連載をお届けします。

第11回は、【駅徒歩1分とは思えない静かなオシャレ空間で、日本発スウェーデンのロースタリーの豆が楽しめるお店】です。ほっと一息つきたくなるような、あなたのお気に入りのカフェが見つかりますように——。

@unplugged coffee stand

JR大井町駅を下車して1分のところにある「unplugged coffee stand(アンプラグド コーヒー スタンド)」。一歩店内に入ると、ヴィンテージテイストな家具や雑貨が目に入ります。そして、心地のよい音楽と、コーヒーの香りが五感を刺激。

オーナーの前田伸一さんは美容師の仕事と並行して、unplugged coffee standを経営。お父さんが喫茶店を経営していたことから、幼い頃からコーヒーが身近な存在だったそう。お店は開店して4年目に突入。近所のお客さまには “いつものお店”として愛されています。店名のとおり、プラグをはずしてリラックスした時間を過ごすことができるお店です。

ニューヨーク・ブルックリンの街角にあるようなカフェを目指して

佐藤めぐみ(以下、佐藤):伸さんとは長い付き合いになりますね。私の地元の大井町にお店を出すと聞いた時は、とっても嬉しかったです。

前田伸一(以下、前田):めぐさんとはコーヒー好きな仲間を通して交流がはじまり、もう3年以上になりますね。美容師の仕事をしながら都内でカフェを経営できたら…と思っていましたが、縁があり大井町にお店をオープンすることができました。

佐藤:店内は相変わらずオシャレでかっこいい空間です。本当に落ち着きます。

前田:お店のイメージは、以前訪れたニューヨークのブルックリンにあるローカルカフェです。近所の人たちが集まって、コーヒーを片手に楽しそうにコミュニティを深めている感じがとってもよかったです。いつか自分のお店を開くなら、こんなお店にしたいなと思っていました。

佐藤:店内に飾られているランプや小物も伸さんが集めたものですか?

前田:もともと50~60年代のアメリカのアンティークが好きで、お店をはじめる前から集めていました。特にアンティークラジオが好きで、店内でも使っています。

佐藤:お店ではオリジナルグッズも販売していますよね。Tシャツやキャップも人気だと聞いています。

前田:写真を撮ることも好きなので、気に入った写真を使ってグッズを作りました。グッズもオールドニューヨークをイメージしています。ニューヨークの空気感を感じてもらえたら嬉しいです。

佐藤:伸さんは現在、美容師とこちらのカフェを経営していますが、そもそもなぜカフェをはじめようと思ったのでしょうか?

前田:僕の父が地元で喫茶店を経営していたので、子どもの頃からコーヒーが身近な存在でした。東京に上京してからも美容師をしながら、カフェ巡りをしていました。ある日、経営している美容室のテラスにバリスタを呼んでPOP UPのカフェをやったところ、その様子を見ていた現在のオーナーさんが「大井町でカフェをやりませんか?」と声をかけてくれたことがきっかけです。大井町は縁もゆかりもない町ですが、これもご縁だと思っています。

佐藤:私も以前、都内でカフェを経営していましたが、俳優とカフェ経営の兼業は大変でした。伸さんはどんな風に兼業をしていますか?

前田:どちらも接客業ですが、お客さまと関わる時間や距離感、コミュニケーションの取り方が違うので、頭の中でスイッチの切り替えはしています。めぐさんは表に出る俳優業と、お客さまをもてなす接客業と真逆だったので本当に大変だったと思います。

佐藤:まさに頭の中のスイッチの切り替えや、気持ちの置き方が全然違ったので大変でした。伸さんは現在も兼業していますが、続ける原動力はどこからきているのでしょうか?

前田:自分にとって美容師もカフェ経営も「評価」や「結果」を求めているわけではなく、とにかく「楽しむ」ということに比重を置いているので、毎日好きなところで好きな仕事をしていることが原動力かもしれません。

佐藤:理想の働き方です。私の場合、経営者として数字などの現実問題の負荷が高くなってしまい、楽しむことより苦しいという感覚が大きくなることもありました。だから今も美容師とカフェ経営を楽しんでいる伸さんのモチベーションがうらやましいです。

佐藤:次にお店の名前の由来を聞かせてください。店名の「unplugged」は伸さんの美容室の名前と同じですね。

前田:unpluggedは電気楽器を使わない、アコースティック楽器のみで演奏する音楽スタイルのことです。アメリカの人気番組「MTV」のUnplugged Liveでも「unplugged」という言葉が使われていますがこの言葉に魅かれ、いつか自分のお店を持つ時には店名にしたいなと思っていました。
また、「プラグを抜く」という意味もあるので、お客さまがお店でリラックスした時間を過ごせるといいなと思い命名しました。

佐藤:店内ではひとり時間も楽しめそうですし、たまたま隣になった人とも交流ができそうですね。

前田:うちのお店がきっかけで仲良くなり、週末には一緒にキャンプに行かれたお客さまもいます。その話を聞いた時は僕が嬉しくなりました。

佐藤:カフェをはじめた時から店頭に立つことは考えていたのでしょうか?

前田:コーヒーが好きなので独学で淹れていましたが、自分がお店に立つことは考えていませんでした。でも、お店に顔を出してお客さまと触れ合っていくうちに自分も淹れたいなと思うようになり、知り合いのバリスタにお願いしてトレーニングをつみました。

佐藤:お店メニューを見ると、コーヒーに対する本気度がよくわかります。本当に種類が豊富ですよね。今日もコロンビアの豆だけでも5種類あります。いつ来ても新しい味に出会えるので嬉しいです。

前田:お客さまには自分好みの豆を選んでもらいたいという思いから、種類を揃えています。豆は、ヨーロッパの大会でバリスタチャンピオンになった方たちが立ち上げた、スウェーデンのロースタリーから仕入れています。最近は認知されていますが、お店を開店した当時は日本で付き合いがあるのはうちだけでした。

佐藤:スウェーデンのロースタリーから仕入れているとは! それは貴重ですね。1杯目は豆本来を味わい、2杯目はラテとかを楽しみたいです。ところで、お店で販売しているスイーツはどこで作られているのでしょうか?

前田:お店で出している焼き菓子は、長野県松本市の友人に作ってもらっています。その他のものはお店で作ったり、時期によってはPOP UP販売もやったりしています。お好みのスイーツと一緒にコーヒーを楽しんでいただきたいです。

佐藤:今後はどんな風にお店を展開していこうと考えていますか? 

前田:大都会の空気感が好きなので、自分が一番刺激を受けたニューヨークのブルックリンあたりでいつか美容室かカフェを展開できたら最高です。

佐藤:オシャレで少し落ち着いた雰囲気のブルックリンが伸さんにぴったりな気がします。いつかお店をOPENしたら遊びに行きますね。

フルーティでなめらかなCOLOMBIA。コーヒーが苦手な人にもおすすめ!

豆の種類が豊富なので、訪れる度に迷ってしまいますが、今回いただいたコーヒーはCOLOMBIA HUILA AUGUSTO ORTEGA GENTLE WASHED SIDRA。飲みごたえがあり、口当たりがとてもなめらかでクセがないコーヒーでした。甘さの中にマンゴーやラズベリーの味や香りが隠れているので、コーヒーが苦手な人でもするすると飲める一杯です。

伸さんが私が生まれ育った街でカフェをはじめると聞いた時は嬉しかったです。今ではunplugged coffee standに行くことも地元に帰る理由のひとつになっています。

美容室とカフェ経営を楽しんでいるという伸さん。これも才能だと思いました。これからもお店のファンの一人として、通い続けたいと思います。

unplugged coffee stand
品川区東大井5-19-4
https://www.instagram.com/unplugged_coffeestand

>>vol.1 苦手な人にもおすすめしたい、こだわりの名店
>>vol.2 昭和レトロな雰囲気のお店
>>vol.3 こだわりのシングルオリジンコーヒー
>>vol.4 新風を吹き込んだ、女性バリスタのお店
>>vol.5 一杯でいつもの今日を“ちょっといい日” に
>>vol.6 コーヒーとスイーツが絶品の緑あふれるお店
>>vol.7 新宿御苑にある異国情緒満点のお店
>>vol.8 パティシエが作る絶品焼き菓子のお店
>>vol.9 自然の中で癒やされたい時に行きたいお店
>>vi.10 菓子研究家が作る本場仕込みのスイーツと、シーズンごとのコーヒーのお店

取材・文/安田ナナ
撮影/渡会春加

最後に…
第11回まで続いた本連載も、今回が最終回となります。これまでご協力いただいたお店の皆さま、めぐみさん、そして何より毎回楽しみに読んでくださった読者の皆さま、本当にありがとうございました。
またどこかのカフェでお会いできますように。

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