京都二条の住宅街に佇む隠れ家浅煎りコーヒー専門ヴィーガンカフェ

 alt. coffee roasters(オルトコーヒーロースターズ)  

世界遺産に登録されている二条城、京都屈指のパワースポットのひとつ神泉苑からも近い「alt. coffee roasters(オルトコーヒーロースターズ)」。

通りに温かみを添える可愛らしいブルーの外観には、カフェであることが一目でわかるコーヒーのイラストが。住宅街の中にひっそりと佇むカフェにもかかわらず、この小さな一軒をめがけて国内外から訪れる人が後を絶ちません。

今回は、人気の秘密を探りに行きたいと思います。

二条城のお膝元に佇むカフェ

ドライフラワーが心地いい手作り空間

店主の中村千尋さんがデザインまで手掛けたという店内は、こじんまりしつつも温かみに溢れています。

カップのライトやエスプレッソマシンのグループハンドルを使った取っ手など遊び心もたっぷり。そこかしこに飾られたドライフラワーも相まって、いるだけで心地いい空間です。

浅煎りコーヒー×ヴィーガン

京都の数多いカフェのなかでも浅煎りを扱う専門店はそう多くありません。

alt. coffee roastersは浅煎りコーヒーを扱うパイオニアであり、完全なヴィーガンカフェという貴重な存在。

中村さんはカフェの本場オーストラリアのメルボルンで修業中、浅煎りコーヒーの味わいに感動したことが同店をオープンさせた原点にもなっているそうです。

また環境に優しい選択をベースとし、応援したい生産者さんから豆を仕入れる、自然に還らないプラスチックを使わないなどのこだわりも随所に。

コーヒーはフルーツ

フルーツであるコーヒー本来の味を引き出すため焙煎機を改造し、研究を重ねて辿り着いた焙煎法で淹れた浅煎りの一杯がalt. coffee roastersの魅力のひとつ。

ワイングラスに入れて提供されるのも特徴で、香りや味わいに集中できるだけでなく、特別感があると好評です。

フルーティーだけど尖った酸味はなく、まろやかな奥深さも併せ持つ。温度が変わる過程の味の違いが楽しめ、冷めてからも美味しい一杯です。

栄養士によるヴィーガンレシピ

店主、焙煎士でありつつ栄養士としてホリスティックな健康に関心の強い中村さん。

ラテなどのドリンクに欠かせないミルクは豆乳かオーツの植物性。焼き菓子やフード類は動物性食品を一切使わず、砂糖や調味料も天然素材や手作りのものを使用されています。

体のなかからクリーンになって、心まで穏やかになりそう！

季節を味わう

季節の素材を使ったメニューもぜひ試してみて。

例えば今年の秋からはキンモクセイのジャムが登場、また冬には恒例の自家製ジンジャーシロップを使ったドリンクを求めて来店される常連さんも。

メニューには自宅の庭で育てたハーブや植物を使用する本格派。「面白そう！」の閃きを大切にしたレシピを次々と生み出し、お客を楽しませてくれます。

コラボ商品もお楽しみ

2021年からは、地元の人に愛される昔ながらの和菓子店「光栄堂」とのコラボ商品も。

今までもコーヒーのカスを使った植物性素材100%の石鹸や、廃材を使った京都の着物職人さんによる手縫いのバッグなどコラボアイテムを提供してきましたが、食品は初！

日本の芸術や伝統が好きだと言う中村さん。

昔の日本人が持っていた自然や四季に美しさを見出すような感性やわびさびを重んじたい。そのために職人さんの力を借りてみることにしたのだとか。

そうして誕生したのが自然素材だけで作られた「コーヒー羊羹」や季節の和菓子。和菓子に合う一杯とのマリアージュが楽しめます。

自分に優しくなれる場所

カフェをオープンした頃は、環境や人権などの社会問題を解決することが優先順位。

今でも目指すところは変わりませんが、さまざまな経験を経て大切なことは「自分に優しくなること」だと気付いた中村さん。

実は全て植物性のミルクに変えたのもコロナ禍になってから。自分の中にあった細かな「違和感」を手放し、自分に優しい選択を重ねることこそ、自然に沿った環境にも優しい生き方だったのです。

alt. coffee roastersで過ごすことで、自分に優しくするヒントが得られるかもしれません。

美味しい一杯と、店主とのおしゃべりを楽しむ。そんな時間が、自然環境を少しでもよくするアクションに繋がっているなんて嬉しいですよね。

京都に行くときのリストに加えておきたい一軒です。