いま熊本が面白い。「OMO5 熊本」を拠点に歩く城下町の最前線
LIFESTYLE

2026.06.03

いま熊本が面白い。「OMO5 熊本」を拠点に歩く城下町の最前線

雲仙を発ち、島原港からフェリーに乗り込めば、有明海を挟んだ対岸に熊本が待っています。

潮風を感じながら30〜60分。前回の雲仙編に続き、今回は「OMO5 熊本 by 星野リゾート」を拠点に、熊本の街をとことん歩き倒す旅をご紹介します。

今、熊本がアツい。TSMCがもたらした変化

熊本が今、かつてないほど注目を集めています。その背景にあるのが、台湾の半導体受託製造の世界最大手・TSMCの熊本進出。関連企業も続々と集積し、国内外のビジネス需要が急増。その波及効果は空港をはじめ、主要駅や周辺不動産にも如実に表れています。

現在の旅客ターミナルは国内線と国際線が一体となった新ターミナルで、2023年3月23日に供用を開始しました。熊本城の石垣や阿蘇の火山岩をイメージしたデザインで、地元の小国杉をふんだんに使った4階建ての施設。延べ床面積は旧ターミナルの約1.4倍となる3万7800㎡に広がり、飲食・物販の店舗数も大幅に増加しました。

国内線と国際線が一つ屋根の下にまとまったことで、乗り継ぎの導線がシンプルになり、初めて訪れる旅行者にとっても使いやすい空港に。熊本空港からホテルのある「通町筋」まではリムジンバスで約40分。熊本市電の「通町筋」電停からは徒歩約1分という好立地にあります。

コンセプトは「わさラッシュ!城下マチ」

Day2:OMO5 熊本

星野リゾートの「OMO」ブランドは、「テンションあがる街ナカホテル」として全国に展開するシリーズ。数字が大きくなるほど施設の充実度が上がり、「OMO5」はレストランや充実したパブリックスペースを備えた中〜上位の位置づけになります。

OMO5 熊本のコンセプトは「わさラッシュ!城下マチ」。「わさもん」とは熊本弁で「新しいもの好き」という意味。その気質と、次々と新しいものが生まれる城下町の賑わいを掛け合わせた造語。熊本城の城下町として栄えてきた繁華街の真ん中、上通アーケードと下通アーケードの中間に位置するこのホテルは、熊本の「今」を体感する拠点として最良の場所と言えます。

ビルの地下1階から地上2階は商業施設「HAB@(ハブアット)」、3階から11階がホテルになっています。エレベーターで3階へ上がると、フロントカウンターから「OMOベース」と呼ばれるパブリックスペース、「OMOカフェ&バル」までが一望できる開放的な空間が広がっています。

空間の随所に熊本への愛着が込められています。フロント脇の壁には熊本名産のい草で作られたモニュメント、地元アーティスト・松永健志さんによる油絵、熊本城主・加藤家の家紋や石垣を模したモービルなど、細部まで熊本らしさが息づいています。市電通り側はガラス張りの開放的な設計で、「凸凹テラス」からは熊本城を望むことができます。

客室は8タイプ全160室あり、今回宿泊したのは「えんたくルーム」。2台のベッドの間にある円卓を日中はテーブルとして、就寝時はベッドの間の仕切りとして使います。下はリビングスペースという立体的な設計で、壁面収納を活かした無駄のない空間は、見た目以上に広く感じられます。靴を脱いで素足で過ごせる仕様も、城下町の宿らしいくつろぎをもたらしてくれます。

16:00 ガイドツアー「城下マチさるく」

チェックイン後の16時から参加したのが、「城下マチさるく」。OMO5 熊本を代表するアクティビティのひとつで、「OMOレンジャー」と呼ばれる街案内スタッフが、熊本の歴史とリアルタイムの文化を案内してくれるガイドツアーです。

「ご近所マップ」の前に集合し、わさもんとは何かという熊本の気質の話から、ガイドブックには載っていないローカルの視点を耳に入れた上で、街へと繰り出します。

ホテル前の球状モニュメント「パル玉」(水圧で浮いて回転する石の球体で、かつての熊本パルコの前にあったことが名前の由来)から始まり、上通アーケードへと進みます。昭和20年代から続く老舗「蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)」では、はちみつ入りの生地にあんこが詰まった熊本のソウルフードを紹介してもらいます。

約1時間のツアーが終わると、街の歴史と個性がくっきりと見えてきます。「知ってから歩く街」と「何も知らずに歩く街」では、体験の密度がまったく異なります。OMO5 熊本の滞在はこのツアーを起点にするのがおすすめ。

18:00 「ワイン食堂 トキワ」でナチュラルワインとイタリアン

夕食は、OMO5 熊本からほど近い藤崎宮前エリアへ。「ワイン食堂 トキワ」は、藤崎宮の参道の鳥居を目の前に望む隠れ家ビストロ。

オーナーシェフの他谷憲司さんは、大阪の人気ワインビストロで12年ほど腕を磨いた経歴の持ち主。古い建物の小さな扉を開け、急な階段を上がった2階に、カウンター4〜5席とテーブル席が数組という小さな空間が広がっています。

ディナーは完全予約制のコースのみ。前菜4〜5皿、選べる肉料理、選べるパスタという構成で、食材は熊本産を中心に、野菜は無農薬・無化学肥料の自然栽培のもの、肉類はできる限り無投薬でノンGMO飼料の農場のものを選んでいます。魚介類は天草・長崎をメインとした天然物という徹底ぶり。

そしてもう一つの柱が、ナチュラルワインへのこだわり。雨水と野生酵母だけでブドウをワインへと導く自然な生産者のワインを厳選してセレクト。食材の在り方と哲学的に通じる選び方は、一杯飲むごとに料理との対話を深めてくれます。

藤崎宮周辺は、なぜか昔から自然派ワインを扱う飲食店が集まっているエリアでもあります。熊本の食シーンの先端を体験できる、旅慣れた旅人やフーディーにこそ訪れてほしい一軒です。

20:00 ローカルリズムナイト「鼓響く城下マチの宴」

夕食を終えてホテルに戻ると、日中とはまるで異なる空気をまとっていました。夜が更けるとOMOベースに石灯りの暖かな灯がともります。夜の城下町の賑わいをホテルの中で再現しています。

毎日20時から開催される「ローカルリズムナイト 鼓響く城下マチの宴」には、宿泊客は無料で参加できます。地元で活躍する若手演奏家チームによる和太鼓・笛の演奏が始まります。※演奏は20:15と21:15の2回。

演奏後には、球磨焼酎とスイーツのペアリングセットを堪能しました。熊本県の27蔵から選び抜いた球磨焼酎を熊本伝統の酒器「ガラ」と「チョク」。前日から仕込んだ「前割焼酎」は、水と焼酎がなじんでまろやかさが増した、熊本のおもてなしの飲み方で、焼酎初心者にも入りやすい入口になっています。

熊本城ゆかりの意匠が彩る空間、心地よく響く太鼓の調べ、「水の国」熊本が育んだ焼酎を片手にすれば、熊本の夜に浸る贅沢な時間に。一人でグラスを傾けながら、昼間歩いた城下町の余韻に浸る夜はこのホテルならでは。

21:00 Bar Hopping

宴の余韻に浸りつつ、「城下マチさるく」でレンジャーに教えてもらったエリアへと足を向けます。熊本の夜は歩き回るほどに顔が広がります。「わさもん」気質の街は夜も活気にあふれており、ファッション、グルメ、バーが密集するこのエリアでは、時間がいくらあっても足りません。

6:15 熊本城 Morning Brew

翌朝は少し早起きして「熊本城 Morning Brew」からスタート。

星野リゾートオリジナルドリップバッグを使って、自分でコーヒーを淹れながら、熊本城を眺めるという朝のアクティビティ。季節によって実施時間は変動しますが、静かな早朝に城を独り占めするような感覚で過ごす30分は、ほかでは得難い贅沢な時間です。

熊本城は2016年の熊本地震で甚大な被害を受け、長期にわたる復旧工事が続きました。朝の光の中でその石垣を眺めると、再建に込められた熊本の人々の思いが伝わってくるような気がします。コーヒーの香りと、静寂と、城のたたずまい…旅の中でもっとも記憶に残る朝のひとつになるかもしれません。

9:00 4種類から選べるワンプレート朝食

朝食はOMOベースにあるカフェで、その日の気分に合わせて選べる、美しく盛り付けられたワンプレート朝食で一日をスタート。彩り豊かなサラダと季節のフルーツが添えられます。

熊本らしさが詰まったご当地食材のフレンチトーストは、芋と柑橘のソースが添えられた一品。その他、ご当地風のお茶漬け、定番のアメリカンブレックファスト、濃厚なクロックムッシュの4種類から選べます。エネルギーチャージしたい朝にちょうど良いボリューム感です。

11:00 チェックアウト

11時にチェックアウト。OMO5 熊本の滞在は、街ごとホテルに閉じ込めたような濃度でした。

「界」シリーズが温泉地の文化を深掘りして「知る」体験を届けるのに対し、「OMO」は「街そのもの」が舞台。ガイドと歩き、店主と話し、音楽を聴き、焼酎を飲む。五感を動かし続ける滞在は、観光とも旅行とも違う、「街に溶け込む感覚」に近いものがあります。

次回<由布院編>では、熊本から移動し、旅の締めくくりとなる3泊目の滞在をご紹介します。

■OMO5 熊本 by 星野リゾート
住所:熊本県熊本市中央区手取本町5-1
公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5kumamoto/
アクセス:熊本市電「通町筋」電停すぐ/阿蘇くまもと空港からリムジンバスで約40分
客室:全160室・8タイプ(やぐらルーム、えんたくルーム、うつわルーム他)
アクティビティ:城下マチさるく、熊本城Morning Brew夜のイベントローカルリズムナイト「鼓響く城下マチの宴」(毎日20時〜、無料)朝食ワンプレート朝食4種(OMOカフェ)

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