<沖島>波音と鳥の声に包まれて堪能する地元素材グルメ #巡る滋賀

<沖島>波音と鳥の声に包まれて堪能する地元素材グルメ #巡る滋賀

滋賀県の最大の魅力といえば、滋賀県の代名詞でもある日本最大の湖・琵琶湖。その他、国宝の「彦根城」やユネスコ世界文化遺産の「比叡山延暦寺」など一度は訪れたい観光スポットもまた有名です。

でも、それだけではありません。有名観光スポット以外に焦点を当て深掘りすると、まだまだ知られていない注目ポイントがたくさん! それを知らないなんてもったいない…!

この連載では、「現地の方がおすすめしたいスポットやお店、それをつくるヒトの魅力をていねいに取材し、お届けする滋賀の観光ガイド“巡る滋賀”」の情報を発信していきます。

滋賀県への旅のきっかけやガイドブックとなりますように…そんな思いを込めて滋賀県の新たな魅力をお伝えします。

滋賀県近江八幡市にある沖島(おきしま。沖ノ島[おきのしま]とも)。淡水湖のなかにある有人島としては日本で唯一という、特異な島です。後編も引き続き、川瀬明日望(かわせ・あすみ)さんご案内のもと巡ってきた、沖島の魅力をご紹介していきます!

地域おこし協力隊の任期を終えた川瀬さんは、現在、沖島漁業協同組合に所属し、島での生活を続けています。

「漁師さんたちが見せてくれた琵琶湖の光景はすごく印象的で、一緒にいる時間がとてもおもしろかったんです。なので、この人たちともうちょっと仕事をしていたいなと思って。琵琶湖の魚の料理をしていた関係で漁業組合とかかわることが多かったので、その延長でここにひろってもらいました」

そうして川瀬さんの勤め先となった漁業組合には、元気な奥様たちの婦人部「湖島婦貴(ことぶき)の会」があります。港の目の前、漁協会館内で、新鮮な湖魚を使ったランチやお弁当など沖島ならではの湖魚料理を日々提供しています。会を代表して茶谷美百合さんにお話を伺いました。

「ここは夫婦船がほとんどなので、夫婦で漁に出て、取った魚を持って帰ってきてここで炊いたりしているんです。大体6人くらいずつ3班に分かれて1週間ずつ交代で、ここにワイワイ寄ったりしているんです」

平成14年に発足した会は現在20名ほど。漁の時間帯は時期によって違うものの、夜に漁に出る場合であれば、朝6時ころに港に戻ってそのまま湖島婦貴の会の仕事をする人もいれば、いったん帰って寝てから仕事に来る人とで分担をするそうです。なかなかのハードワークです…!

目の前で揚がってくる湖魚をすぐ使える点が、湖島婦貴の会がつくる料理の一番の強み。

「佃煮や煮つけ、天ぷらとかも入れてお弁当にしているんです。全部ここでとれた魚で、お野菜もそうですしね。お弁当の中身は決まっているんやけど、いろいろ変えながら。ご飯をチラシにしたり、煮付けを鯉にしたり鱒にしたり。琵琶鱒の煮付け、美味しいですよ~」

さて、わたしたちはランチをいただくことに。お願いしたのは『沖島どんぶり』。島の恵みが詰まったボリューム満点のお食事です。

「ご飯に乗っているのは、鮎の天ぷらに寄せ揚げです。お造りは琵琶鱒で、おつゆも琵琶鱒のアラでしているんです」(内容は季節により異なる場合あり)

やはり鮮度良いお魚が使われるだけあってどれも美味。加えて、甘味と旨味が抜群のお味噌汁も!ここでしか味わえないものなのです。

「味噌も島の伝統で、各家でちょっとずつ味は違います。ここのお味噌はちょっと甘いんです。これを受け継いで私らもやっていますし、子どもらも“買うたお味噌より家のお味噌のほうが美味しい”言うてますね」

「ブラックバスもホイルでちゃんちゃん焼きにしたり、フライにしてタルタルにしたりしても美味しいですよ。『じょき(※)』もお弁当に入ったり。ここに来れば、その時期のものや各家庭の味つけのものが食べられます。ときどき寄り合って、みんなで話し合いをして内容を決めています」


※沖島で食される、鮒の刺身の食べ方。皮を剥がずに骨も抜かずに、そのまま包丁で細かく刻む。

ひとくちに湖魚といっても、大きなものから小さなものまで多種多様です。モロコごい、沖引き(ちゅうびき)、海老タツベ、刺し網など、いろんな漁法を駆使していることも沖島の漁の特徴だといいます。

「夏場やったらゴリ。朝4時ぐらいには出て、9時ごろまでには揚げて出荷します。冬場は海老とかモロコとかワカサギ、スゴモロコとか。いろんなやつが入ってきます。鮎は4月から8月中頃までですかね」

これらの豊富な資源を生かし、湖島婦貴の会はメニュー開発にも精力的に取り組んでいます。代表的なものが、滋賀県の“びわ湖魚グルメ”のひとつとして開発された『えび豆コロッケサンド』です。

沖島名産の“えび豆”が入った人気コロッケが、沖島産野菜と一緒に挟まれたサンドウィッチ。パン以外は100%沖島産という、まさに沖島の味。土日祝限定メニューのため、気になる方はぜひお問い合わせを。

もちろん、サンドしていない『えび豆コロッケ』も食べることができますよ!

(写真提供:湖島婦貴の会)

そしてもうひとつ、ここで提供されるインパクトのある料理が、ブラックバスとおからで作る『よそものコロッケ』。近江八幡市内の日本料理店「ひさご寿し」の料理長・川西豪志さんが開発して、レシピを提供してくださったのだといいます。

ブラックバスを食べるなんて…と敬遠するなかれ。あっさりと美味しくヘルシーな逸品。美味しく食べられるような工夫と手間をしっかりかけたコロッケなのです。

明るい笑顔に生き生きとした声が印象的な、会の皆さん。そもそも、滋賀県内の漁協で婦人部があるのは沖島だけなのだといいますから、「湖島婦貴の会」があること自体がある意味で魅力的でもあります。

「車は通らへんし、のんびりしてるし。お互いこうしてお隣さんとでも親戚や家族みたいなもんですしね。そんなんは嬉しいですね」

最後に改めて、茶谷さんに聞いてみました。―ここで食べられる料理で一番美味しいと思うものは?「ええっ!?…みな美味しいですよ(笑)」
いつ行っても、なにを食べても美味しいなんて嬉しい限りです!

まだまだ続く沖島の絶品グルメ!…気になる続きはこちら

ディープな滋賀の魅力に出会える! 人気連載「巡る滋賀×キレイノート」の他記事は#巡る滋賀からご覧いただけます!

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