
<河内の風穴> 神秘的な空間で童心に帰る体験を #巡る滋賀
滋賀県の最大の魅力といえば、滋賀県の代名詞でもある日本最大の湖・琵琶湖。その他、国宝の「彦根城」やユネスコ世界文化遺産の「比叡山延暦寺」など一度は訪れたい観光スポットもまた有名です。
でも、それだけではありません。有名観光スポット以外に焦点を当て深掘りすると、まだまだ知られていない注目ポイントがたくさん! それを知らないなんてもったいない…!
この連載では、「現地の方がおすすめしたいスポットやお店、それをつくるヒトの魅力をていねいに取材し、お届けする滋賀の観光ガイド“巡る滋賀”」の情報を発信していきます。
滋賀県への旅のきっかけやガイドブックとなりますように…そんな思いを込めて滋賀県の新たな魅力をお伝えします。
山肌から突如吹き出す白い煙!?その正体は…自然が生み出す異空間「河内の風穴」
犬上郡多賀町。多賀大社があることで知られるこの町には、日本屈指の鍾乳洞があります。その名は「河内の風穴(かわちのかざあな)」。
55万年前にできたといわれる、自然が作り出した神秘。山中にぽっかり開いた滋賀県唯一の観光洞で、ちょっとした探検気分を味わってみませんか?
まさに「風穴」。関西最長の洞窟へ、いざ!
多賀町の中心部からいうと、「河内の風穴」は北東の方角。鈴鹿山脈の山々に向かって車を走らせます。源流を霊仙山(りょうぜんざん)に持つ芹川を遡上するように、県道17号線で山を分け入ることおよそ約15分で到着です。

行ってきたのは残暑厳しい8月下旬。今回は風穴を管理する「河内観光協会」の菅森さんにお話を伺いながら、特別にガイドをしていただきました。


料金所を過ぎると、風穴までは沢に沿って遊歩道を登っていきます。森と清流に囲まれた森林浴。夏の暑さは感じつつも、一帯は明らかに涼しさを感じます。あとあと分かることなのですが、この清流を成しているのは、目指す鍾乳洞の地下を流れてきた冷たい水だったのでした。


「河内の風穴」の総延長はなんと10km以上! 関西では最長、日本でも4番目に長いとされる鍾乳洞ですが、その全体像は今もなお解明されていないのだといいます。
鈴鹿山脈北部に位置するこのあたりは石灰岩質なのだそうで、この自然洞窟は、水の力で少しずつ、それはそれは長い年月をかけてつくり出されました。


汗をかきかき、マイナスイオンを感じながら約10分ほど歩いたように思います。「ここの入口が1つの魅力です」と菅森さんが言うように、到着した風穴の入口を前に、私たちは驚きを隠せずにいました。

写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、なんと、山から白い煙状のものが吹き出しているのです!こんな光景、見たことあるでしょうか!?
「ここまで登ってきて、きつい目に遭われて。でもここまで来たら皆さん、『わー!』って言われるんですよ(笑)」

そしてなんといっても、先ほどまでとは次元の違う、もはや冷蔵庫並みの涼しさがここにはありました。それもそのはず、入口からは止めどなく流れ出る冷たい空気が。洞窟内外の気温差などにより冷風が自然と吹き出す…これがまさしく、「風穴」と呼ばれるゆえんなのです。

小さな入口の先にある、大きな地下空間
風穴の中の気温は、年間を通して12度ほどに安定。夏は涼しく、冬は暖かい。つまり今回のような夏場であれば、中と外で軽く20度ほどの寒暖差があるということになります。

暑い時期にしか見られないこの現象。…そう、“白い煙”に見えたものの正体は、いわば霧だったのでした。外気中にあった水蒸気が、洞窟内から吹き出した空気に冷やされ小さな水滴に。そうして天然のミストシャワーさながらの光景ができ上がっていたのです。

さて、ではいよいよ内部に入っていきます。入口は1.5mほどでしょうか。大人は少しかがんで入らないといけないくらいの小さい穴です。

くぐりぬけるとすぐ、先ほどまでの蒸し暑さが嘘のようなひんやりした空間が広がります。入口から少し下った広大な場所、ここは大広間です。
「ゴゴゴゴ…って少し音がするんですけど、ちょうどこの下あたりに地下水が流れるところがあるんですよ。山の方から水が全部地下に流れてきますから」


高さ・幅とも20mほどの場所。もちろん人間が掘ったわけではなく、自然にできたものです。
「橋がかかっているところにちょっと穴が空いていて、台風とか集中豪雨が来ると、そこから水がバーっと出てきます。それで、ここは満タンになりますから。来るときに、谷を見て歩いてきたでしょう?あの水は、ここの地下から全部流れ出ているんです」

この大広間では、薄暗い洞窟であることを生かし、2023年から11月ごろにライトアップを開催。カラフルな光に音響も入れ、普段なかなか感じられない、より神秘的な空間を楽しむことができます。
ライトアップ期間中にはスポットで、学芸員による解説付きのガイドツアーや、洞窟内でのコンサートを実施したこともあるのだとか!
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