美容外科専門医が教える最新クマ治療
根本的に治すなら“脂肪は取らない”
いまや美を語る上で欠かせないワード、「美容医療」。普段のお手入れだけでもいいけど、それだけでは改善しきれない肌悩みがあるのも事実。とくに、年齢を重ねることで気になってくる目周りのたるみやくぼみは、スキンケアやコスメだけでは解決できず、悩まされる部分の一つではないでしょうか。
そんな目周りの悩みを解決すべく、クマ治療の専門家・美容外科専門医の芝容平先生に、クマの原因や治療法、自宅でのケア方法など、クマにまつわるお話をお聞きしました。
Pono clinic院長 芝容平先生
2008年、防衛医科大学医学科卒業後、形成外科の医局へ。防衛医科大学校皮膚科を経て美容医療に携わったのち、2017年湘南美容外科クリニックへ。熊本院と立川院で院長を務め、2023年2月よりPono clinicを開業。脱脂や脂肪注入をしないクマ治療、裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフトは年間600症例以上。
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気になる目元のクマ。色で異なる、原因や治療法をレクチャー
――そもそもクマとは? クマの種類や原因について教えてください。
目の下のクマには、大きく分けて青クマ、茶クマ、黒クマ(影クマ)の3つがあります。
まず青クマは、血液が透けて青く見える状態のことで、血流が悪いことで引き起こされます。目の下の皮膚が薄いため目立ってしまう方や、目の下の凹みが強いことで間接的に出てくる症状です。
茶クマは、色素沈着が原因です。アイメイクをしたり、メイクを落としたりするときなどに目周りを強くこすることで皮膚が刺激を受け、メラニンを生成して茶色くくすんだ状態に。
最後は、段差による黒クマ(影クマ)です。実は、日本人が一番困っているのは、この黒クマ。これは生まれつきの目の下の構造によって、できやすい人とそうでない人が決まっています。体重や年齢、生活習慣などの影響は受けますが、根本的な原因ではありません。痩せていても若くても、黒クマはできますが、加齢にともなって、眼窩脂肪(眼球を包むクッションのような働きの脂肪で、目の下のふくらみの原因になる)が支えきれなくなって、だんだん下がってきます。そうすると、凹みで押さえられた脂肪は下に行けずにふくらんできます。頬の脂肪は加齢とともに下がるので、その間が分断されて広がり、凹みが目立って、段差が影のように黒く見えてしまうのです。
――クマを予防する方法はありますか?
青クマや茶クマなどの色クマは、目周りの血行を改善したり、乾燥や刺激を避けるなど、普段のケアの仕方によって症状を緩和させることは可能だと考えられます。ただし、黒クマは生まれつきの構造的な部分も大きく、残念ながら努力やケアでどうにかなるものではありません。眼輪筋トレーニングなどのセルフケアも、逆にシワを作る原因にもなるのでおすすめできません。
――セルフケアでは改善が難しい黒クマ。どのような治療方法がありますか?
いくつかありますが、有名なのが、「脱脂(経結膜脱脂法)」と呼ばれる、脂肪を取る手術です。目の下の余分な脂肪を除去し、目の下のふくらみを改善する治療で、脂肪注入やヒアルロン酸注入と組み合わせて行うことが多いです。すぐに効果が見られる簡単な手術ですし、皮膚の表面は切らないので傷跡の心配はありませんが、脂肪を除去する手術なので、取りすぎて凹みすぎてしまうというトラブルも。注入した脂肪やヒアルロン酸も徐々に減ってくるので、数年後また注入する必要も出てきます。
もうひとつが、私が推奨している「裏ハムラ法」という脂肪を移動する手術です。もともと皮膚の表面を切って脂肪を移動させる「ハムラ法」があるのですが、「裏ハムラ法」はまぶたの裏側を切開する方法で、表面に傷跡を残さず治療することができるのもメリットです。まぶたの裏の小さな穴から余分な脂肪をずらしたり、凹み部分のくっつきを剥離したりする必要があるので、より高い技術が必要とされますが、美しく自然な仕上がりで、クマ(目袋)予防効果は半永久的です。
切らない、取らない、クマ治療の最適解「裏ハムラ法」
――「裏ハムラ法」について、おすすめしたい人や、注意点などについてお伺いさせてください。
クマ治療にはいろいろな考え方があるのですが、目の下の脂肪を取るのではなく、ふくらんでいるところから凹んでいるところに脂肪を移動させる「裏ハムラ法」は、クマの原因に根本的にアプローチできる方法だと考えています。脂肪を移動させる手術なので、ふくらみが多いタイプの人はもちろん、クマが気になっているなら基本的にどんな人にでもおすすめです。
私自身は「裏ハムラ法」で、月に50人以上の方に手術を行っていて、海外から足を運んでくださる患者様も。10代後半から80代後半までの多くの方に喜んでいただいていると自負しています。その場限りの対処法ではなく、クマになりにくい構造を作れる効果的な手術なので、コスパもいいと思います。
ただし技術が必要なので、先生選びは慎重に。皮膚の中の構造や靭帯の位置、脂肪の量、骨の凹凸などは個人によって異なるので、術中はいろいろな術式を使い分け、臨機応変に対応していかなければならないので、経験も必要になってきます。
手術時間は私の場合、「裏ハムラ」にミッドフェイスリフト(目から頬までの中顔面を引き上げる治療)を組み合わせた「裏ミッドフェイスリフト」の両目で1時間〜1時間半ほど。ダウンタイム中の腫れのピークは3〜4日目で、強い腫れは1週間くらい続きますが、2週間あればある程度落ち着いてきます。完全に仕上がるのは最短で3ヶ月、長い人で半年が目安。結果を出すことを最優先にすると、ダウンタイムは避けられません。もちろんご要望によっては、剥離範囲や移動する脂肪量を調整し、効果とダウンタイムのバランスを加減することも可能です。
――クマ治療をする上でのクリニック・先生選びのポイントを教えてください。
信頼できる先生を探すことが一番大切です。手術をして終わりではなく、万が一、術後にトラブルがあった場合にも、きちんと責任を持って対処してくれる先生だと安心ですね。言いにくいのですが、今は症例写真でさえ、いくらでも加工ができる時代。なので実際に先生のカウンセリングを受けてみて、信頼できる人物かどうかを判断するしかないと思います。あとはやはり、身近な方の口コミでしょうか。
――クマ治療はやはりやるべき? 何歳からクマ治療をしていいのでしょうか?
実際うちには10代の患者様もいらっしゃいますし、18歳以上であれば保護者の同意は要りませんが、まずは医師に相談を。カウンセリングをしっかり受けた上で、自分の理想と合うようであれば治療されるといいと思います。
患者様から「クマって治した方がいいですか?」とよく聞かれるのですが、私自身はクマも個性だと考えているので、悪いものではないと思っています。でも、ご自身の中でクマがない自分が理想ということであれば、その理想に近づけるように医学的な観点から対処法のご提案をさせていただけると思います。今は若い世代だけでなく、男女ともにいつまでも現役で社会貢献したいという志をお持ちの方も多いと思います。そんな時に気持ちは若くても、鏡の中の自分が曇った表情をしていて、テンションが下がるというお声も。そんな時には、クマ取り治療が患者様のお力になれるのではないかと思っています。
セルフケアではなかなか解消できない、目の下の頑固なクマ。根本的なクマ治療には、皮膚を切らない、脂肪を取らない、脂肪を移動して凹みを解消する「裏ハムラ法」がおすすめです。技術力が問われる治療法なので、経験豊富で信頼できる医師選びを慎重に!
インタビュー第2弾はこちら。
裏ハムラを極めた芝医師がたどり着いたクマ治療の結論とは
Pono clinicの詳しい紹介記事はこちら。
大注目!新規オープン「Pono clinic」で美容医療をもっと身近に
美容ライター。早稲田大学卒業後、アパレル、出版社勤務を経てフリーに。女性誌やWEBで、美容をはじめ、健康、美食に関する記事、著名人へのインタビュー取材などを担当。好きなことは、スキンケアとファッションと旅行。猫が好き。
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