【俳優・渡部秀】仕事で訪れたフィレンツェで変化した価値観「一連の経験が衝撃的」
ドラマ「キスは捜査のあとで」が放送中です。
舞台となるのは、田舎町の警察署。天性の人たらしとも言われる38歳の人情派刑事・多古井(渡部秀さん)のもとに、お見合い話が舞い込みます。これに反応したのが28歳エリート後輩・塩野(齋藤璃佑さん)。いつも多古井に嫌味ばかりの塩野でしたが、さらに冷たい反応になり…。実は塩野は多古井に対して秘めた想いを抱えていたのです。
齋藤さんと共にW主演を務める渡部さんに今作への想い、またこれまでに旅をした土地での思い出についてお聞きしました。
大人のBLというのが自分の中では刺さった

――今作へのオファーを聞いた時のお気持ちはいかがでしたか?
いわゆるBLは何作品か経験したことがあるんですけど、警察×BLは初めてでした。お話をいただいて原作を読んでみると、今まで見たことがないようなBL作品で、物語もすごくおもしろかったですし、シンプルにやってみたいと思いましたね。設定も結構年齢差があるということだったので、大人のBLというのが自分の中ではグッと刺さったというか、興味が湧きました。
――渡部さんが演じる多古井はどんな人物でしょう?
多古井に自覚はないでしょうが、天性の人たらしという一言に尽きるというか。勤めている場所も田舎町の警察署ということで、世間一般の方々が思っている警察署の固いイメージとはまたちょっと違って町の相談所みたいな部分が今回の舞台にはあります。その町の警察署の、さらに一番の相談役になっているところが多古井の本当に魅力的なところというか。子どもからお年寄りまで、自分の本業を横に置いてでも誰でも助けちゃうっていうぐらいの、その優しさがやっぱり一番の魅力ですね。
――ご自身との共通点はありますか? 人たらしというところがありましたが。
みんなに分け隔てなく接するという部分は近いかな、と思います。

――最初はどんなふうに多古井を演じようと思われましたか?
やっぱりドラマなので、漫画じゃできない表現とか、コマとコマの間の表現みたいなものはやっぱり意識して演じようかな、と。
――実際に演じてみていかがですか?
現場に入って衣装を着てメイクをするとクランクイン前日に考えていたものとはまたちょっと変わっていたり、そこで理解が深まっていったりという部分は増えましたね。
――塩野を演じる齋藤璃佑さんの印象を教えてください。
誰が見ても好青年で、もう悪いことは一切知らないんだろうな、と。本当にキラキラした第一印象でした。撮影が進むごとにどんどん璃佑くんの人となりが見えてきて、一見、キレイで整ってクールそうに見えるんですけど、意外におちゃめで。年相応のわんぱくさみたいなものも見えてきた感じですね。
受ける芝居が楽しい

――直近でご出演されていた『続・BLドラマの主演になりました』では積極的なタイプでしたが、今回はアプローチを受ける側です。演じていて楽しいのはどちらですか?
どちらにもおもしろさはありますけど、お芝居やる上で、どちらかというと僕は受けるほうが好きなんですよね。相手のリアクションを見て、自分を変えられるので。仕掛ける側ってどうしても自己発信というか、ターンでいうと先攻になるわけじゃないですか。やっぱり、後攻のほうが相手によって変えられるという意味では楽しいですね。基本的には受け側が多いので、お芝居の会話の流れも、塩野が発したことに対してリアクションを取る。塩野が攻めてきたことに対して受けを取るっていうことが、この脚本の中で多いので、演じていて楽しいです。
――3話では、襲われかけたところを塩野が身代わりとなって守ってくれるシーンがありました。撮影多古井も視聴者のみなさんもキュンとするシーンかと思いますが、どんなシーンにしたいとお考えですか?(取材時は撮影前)
多古井としてはこのことをきっかけに人たらしって軽く考えていた部分が、このままでは人を傷つけてしまうという事実に直面します。多古井の心情の変化のきっかけになる重要なシーンではありますね。自分は優しさでやっているだけなんだけど、それが別の人を傷つけてしまうという、負のスパイラルに陥るという大事なシーンなので、そこは丁寧にやっていきたいと思っています。
――多古井的にはキュンとしている場合ではない?
そうですね(笑)。その現場では、多古井はキュンというよりもショックですよね。自分の行いによって傷つけてしまった後悔。で、そのあとの5話以降で塩野の優しさに触れ、これをきっかけに塩野に恋心を抱き始めるという意味ではすごく大事な局面ですね。
「熱しやすく冷めやすいタイプなんです」


――塩野は好きになると真っすぐなところがあると思うんですが、渡部さんご自身は、趣味などを含め、何かを好きになる時に直感で好きになるタイプですか? それともじわじわ好きになるタイプですか?
ハマッたら結構どっぷりハマって、いわゆる熱しやすく冷めやすいタイプではあると思います。長くずっと好きというものもあるんですけど。
――のめり込むタイプなんですね。
そうですね。僕、素人のままデビューできない癖があって。例えば釣りとかも始める時に急にプロ用のものを買いたくなっちゃうんです。形から入りたいんですよ。初心者用のものを買っても、どうせプロ用に切り替えるだろうと思って、ちょっと高くても見栄えを気にしたりとかして。いいかっこしいなんです。そういうものからデビューして、結局扱えなくて、なあなあになっちゃうみたいな、そういう癖があるんですよね。ダメなところですね(笑)。

――最近、のめり込んでハマッたものはありますか?
友達の紹介でゴルフを始めたんですけど、クラブもやっぱり初心者クラブじゃあちょっとな、と。ホールを回ったことも、打ちっぱなしにも行ったことないのにクラブを買ったりとかして(笑)。今、家の隅っこに置いてあります。
――実際にゴルフには行かれたんですか?
行きました。行ったんですけど、1回で終わりました。もうそれから早一年…。
――だいぶ経ちましたね。
行った時が暑すぎたんですよ。それでちょっと嫌になっちゃって。ちょうどいい季節に行けばいいのに(笑)。
価値観を変えた海外体験


――キレイノートは旅と美容を取り扱ったメディアです。渡部さんは旅が趣味とのことで旅についてもお聞かせください。これまで旅をした中で印象的だった場所はありますか?
国内は沖縄になりますかね。初めて行ったのは朝ドラの撮影でした。舞台が宮古島だったんです。本島をすっ飛ばしていきなり宮古島に行ったんですよ。宮古島の浜辺って砕けたサンゴや貝殻ですごく白くて輝いていて、海外みたいな感覚でした。当時21歳とか22歳とかで全然お酒も飲まなかったんですけど、初めて宮古島で飲んだオリオンビールが美味しすぎて、そこでビールに目覚めました。気候とか環境とかも自分に合っていて、よく覚えてますね。
――海外はいかがでしょう?
海外だと、一番印象的なところはイタリアですね。これも仕事で行ったんですけど、フィレンツェに1ヶ月くらい住んでいたんです。知らない土地に全然知らない2人が住んだらどうなるかというモニタリングみたいなNHKの番組だったんですけど。それで選ばれた舞台がフィレンツェでした。当時50代の天皇陛下の料理番としても仕えていらっしゃった料理研究家の方と同居して。年齢も職種もちぐはぐ、海外経験豊富な方と浅い自分で住んでどうなるのか、と。初めてのヨーロッパでしたし、絵でしか見たことがないような街並みに住んで、料理研究家の方が作ってくれる料理をいただいて。車で旅したり、古いお城を使ったワイナリーに行ったり…。若かったこともあって、一連の経験が衝撃的でしたね。
――価値観も変わりそうですね。
月並みですけど、知らない土地に行くと広いな、と思いますね。特に海外は。全然日本語も通じない場所でもありますし、文化も違えば気候も違うし、自然も動植物も違う。もし「Another Sky」に出るような機会があれば絶対フィレンツェを選びます(笑)。
――最後に。今好きなだけ時間があるとしたら、どこへ行って何をしたいですか?
寒い地域に行ってみたいですね。南極とか、マイナス何十度みたいな国に行ってみたいです。何が変わるかは行ってみなきゃ分からないですけど。アラスカやシベリアの先住民の文化にも触れてみたいです。でも、モンゴルも行ってみたいな。ゲルで寝泊まりしてみたいですし。ごめんなさい、ひとつに定まらなくて(笑)。でも海外はやっぱり常に行ってみたいですね。

Profile
渡部秀
1991年生まれ、秋田県出身。2008年に「第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞。2010年「仮面ライダーオーズ/OOO」に火野映司役として出演、連続テレビドラマ初主演、同作の映画版で映画初主演を飾る。主な出演作に「科捜研の女」シリーズ、「君としたキスはいつまでも」「俺たちバッドバーバーズ」、映画『ペルセポネーの泪』『ひみつのなっちゃん。』などがある。
■「キスは捜査のあとで」作品情報
ABCテレビ(関西ローカル)にて毎週日曜0時10分~放送中
TVer・ABEMAで見逃し配信 FODで独占見放題配信
出演:渡部秀 齋藤璃佑 工藤遥 金井勇太 ドロンズ石本 矢柴俊博 菊川怜
原作:すう『キスは捜査のあとで』(J パブリッシング)
脚本:村田こけし
演出:大内隆弘 浅見佳史
撮影/金井尭子
取材・文/ふくだりょうこ
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