2022.08.06
“調香師の屋根裏部屋”から香りの旅へ。世界にひとつのフレグランス作り
SHOLAYERED(ショーレイヤード)
ふとした香りに、遠い記憶が鮮やかに蘇ることがあります。皆さんも同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか?
そんな“旅と記憶”をコンセプトにしたカフェで、世界にひとつだけの香水作りができるというのです。まさにそこは日本を抜け出したような、異国情緒あふれる空間。好奇心くすぐる香りの旅に出てみませんか?
恵比寿駅から徒歩約3分。1階に本店を構える日本発の香水ブランド「SHOLAYERED(ショーレイヤード)」の2階に「SHOLAYERED CAFE(ショーレイヤード カフェ)」がオープン。シンプルな佇まいにボルドーの扉が目印です。
1階には、カラフルなネオンがポップな雰囲気のショップがあり、香水の他にシャンプー等幅広いラインナップが揃います。
奥へ足を進め階段を上ると、少しずつ薄暗い空間に。
良い香りが漂い、1階とはガラリと雰囲気が変わったアンティークな内装に、どこか違う世界へ迷い込んだよう。
木の扉を開けると、パァッと明るい日が差し込み、そこはもういつの間にか別世界…!
地中海をイメージしたデザインカラー、内装のレンガやタイルも南仏から直輸入というこだわりで、心なしか海外の風を感じます。
ここは、フレグランスプロデューサーの石坂将(いしざかしょう)さんが、かつて学生時代に師事した調香師のアトリエをモチーフに作られた“ 屋根裏の調香師” の世界観を表現した空間。
香水の瓶が陳列されたオルガンテーブルが目を引きます。調香師が実際に屋根裏部屋の様な場所で香りを組み合わせて作っていたシーンをイメージしたもの。その生活を垣間見るような、自分も調香師になったような、不思議な気持ちに。
「香りを重ねる」フルカスタマイズの香水づくり
カフェではドリンクなどを楽しみ、リラックスしながらフルカスタマイズの香水作りを体験することができます。
ラインナップのすべてがMADE IN JAPAN 。繊細な香りを好む日本人の趣向にマッチした軽やかで使いやすい香りが特徴で、普段香水を使わない方にもおすすめ。並んだ瓶をよく見ると「ITSUMO SOBANI」のような愛らしいネーミングのものも。
ブランド名にもなっている「レイヤード」という言葉通り、”香りをレイヤード(重ねる)する”ことで、香りの新しい選び方や楽しみ方を発見し、自分らしい使い方を見つけてほしいという想いも込められています。
体験の所要時間はカフェの利用を含めても多くの方が1時間~1時間半で完成の、簡単4ステップ。
- ①約10種類から「キャップ」と「ガラスボトル」を選ぶ
- ②革やキャンバス地など約10種類から「ラベルの生地」を選ぶ
- ③英数字ひらがなカタカナ約8文字で「刻印文字」を決める
- ④約30種類以上の香りから「香り」を選ぶ
それぞれ選ぶものによってお値段が決まりますが、7,000~8,000円が平均とのこと。カフェの利用込みでも、10,000円以内なので気軽に作ることができます。
- ・ボトルサイズ (30㎖ 3000円~/50㎖ 5,000円~)
- ・ラベル (レザー1,200円/コットン900円)
- ・香り (3種類2,700円)
《キャップ選び》
既にボトルとセットになっているもの以外はどんな組み合わせでもOK。ウッドキャップや、ぷしゅっと押す珍しいものが特に人気だとか。ブラックもあり男性向けにも良いかも。
私が選んだのはこちら。とても珍しいデザインでインテリアとして飾っても可愛らしい!
《ボトル選び》
ボトルは定期的に種類が変わるので、一期一会の出会い。どんなボトルと巡り合えるか楽しみですね。平面が大きなものはラベルを貼ることができます。
《ラベル選び》
ラベルは生地を選び、好きな言葉を8文字ほど入れることができます。プレゼントならメッセージを込めたり、自分だけの想いを刻むと更に特別感が生まれます。
これだけの種類があるとなかなか決まらないもの。優柔不断な私は「あぁでもないこうでもない…」と試行錯誤しながらも、その迷う時間が何より楽しい! スタッフの方が組み合わせの相談にも乗ってくれるので安心です。
《香り選び》
メインの香りを決め、そこからどういう雰囲気にしたいかをスタッフの方と一緒に選んでいきます。4.5種~といくつでも選べますが、香りのバランスがとりやすいのは3種類が目安とのこと。
私が選んだのは、【MYSTERIOUS MIX】×【紅茶】。白檀などのお香の様な香りがウッディながらも軽くさわやかな香りを、本店限定の甘すぎない香りが包み、とても上品で大人な仕上がりに。
香りは柔らかいものが多く、同じベースでも異なる香り・雰囲気になるのがおもしろいところ。プレゼントの場合は相手を想像しながら、自分だったらどんなシーンで使いたいか想像しながら選んでみてはどうでしょう。
選んだあとは、スタッフの方が香水を調合。完成していく様子を傍で見ることができるのも初体験。
一般的な香水は、つけた後に香りが変化していきますが、SHOLAYEREDの香水は最初から最後まで一定のシングルノート。「香りを重ねる」ことの楽しさが体感できる至福の時間でした。
「wakana orig.」とメッセージを刻印した私だけの香水を手にしたとき、世界にひとつだけだと思うととても愛おしく、大事に使おうと思いました。フルカスタマイズならではの感情かもしれませんね。
「香りを食べる」カフェで気分は世界旅行
香水作りをしながらだけでなく、カフェのみの利用も可能。ひとりでふらりと立ち寄る方も多いのだそう。
「香水をイメージできるよう、グラスにもこだわっています」という昔の香水ボトルをイメージした印象的なフォルムのFRAGRANCE NON-ALCOHOLIC COCKTAILS(フレグランス ノンアルコールカクテル)は、全5種類 各2,400円(税抜)。
人気の5種類の香りからインスピレーションを受け、奥行きや深みを出すため旅の記憶を織り交ぜ、ドリンクとして表現した一品。“旅と記憶”をコンセプトに、メキシコシティ、エーゲ海、カサブランカなど世界各国の魅力的な街の香りと情景や思い出、食文化が取り入れられ、まるで世界旅行に出た気分になれます。
テーブルには香りのサンプルも置いてあり、香りを感じながらメニューを選びます。
ワルシャワ byロゼマスカット
ポーランドの首都「ワルシャワ」の彩り豊かな街並みとリンクする、ローズペタルをあしらった華やかな一杯。マスカットとピーチが瑞々しく、上品で鮮やかなローズの香りで優雅な気分に。
エーゲ海 byフレッシュペア
エーゲ海に面したギリシャ共和国の首都アテネは、フルーツやヨーグルトが多い食文化。
「フレッシュペア」という香りからイメージした洋ナシソースをベースに、ヨーグルトや濃厚なチーズの味わいが広がります。ブルーチーズがトッピングされ、とてもユニークでインパクト大。とても美味でした。
他にも、コーヒーなどのドリンクやキッシュなど軽食もそろっています(800円〜)。
中でも面白いと思ったのは、「調香師が飲むコーヒー」をイメージした名前のコーヒー。一般的に香りをリセットするために使用されるコーヒー豆ですが、調香師も同じ。朝起きて調香師が鼻を目覚めさせる、スマトラ南部のコーヒー豆を使った「モーニング(朝)」。様々な香りを嗅いだ午前中の鼻をリセットさせる、エチオピア豆を使った「ヌーン(昼)」と、香水とコーヒーの意外な繋がりを知りました。
”香り”をライフスタイルに
良い香りを楽しむためには、「健康に・清潔である」というのが前提なのだとか。
その概念を突き詰め、まずはカラダの中からキレイにしていこう、という発想からスムージーやフレグランスブランドならではの新たなカフェメニューも考案中とのこと。今後もどんな世界が広がっていくのか楽しみですね。
非日常感を味わいながら、自分だけの香水作り。ちょっぴり内緒にしておきたくなるような、特別な秘密の屋根裏部屋でした。
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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