SERIAL STORY

2021.07.09

【世界を旅するレシピ】1ヵ国目
表情豊かなスペイン郷土料理

旅の目的はたくさんありますが、現地ならではの食を楽しみにしている人は多いのではないでしょうか?そこで今回から、家に居ながら世界中の食体験ができる連載がスタート。郷土料理を教えてくれるのは、各国出身の先生たち。現地の人だからこそ知る調理ポイントや楽しみ方、さらにはキレイになるヒントも教えてもらいます。おうち時間が長い今だからこそ、食を通して世界一周を楽しみましょう。

豊かな食文化を持つスペイン

パエリア、ガスパチョ、トルティージャ(スペイン風オムレツ)…など、日本人にも馴染みのあるスペイン料理。とはいえ、これらは数多ある中のごく一部。日本の約1.3倍の国土を持つスペインは、海の幸にも山の幸にも恵まれ、近隣諸国の文化にも影響を受けた、豊かな食文化が根付く国です。

今回、料理を教えてくれる先生・ホセさんは、北西部のガリシア地方出身。「それぞれの地方によってバラエティ豊かな料理が継承され、それもスペインという国の魅力のひとつです」とホセさん。スペイン料理を美味しく作れるヒントと一緒に、3品のレシピをお届けします。

スペイン料理の定番であるアヒージョ。今回教えてもらうのはイワシを使ったレシピです。スペインの大西洋側はイワシがたくさん漁獲されるエリアで、オイルサーディンやアンチョビなどの加工品も有名。今回は、日本で初夏から秋まで旬を迎えるマイワシを使用。ふっくらとした身、そしてガーリックの香りが相まって食欲をそそる一品は、キリリと冷えた白ワインと一緒にどうぞ。

材料(2人分)

○ イワシ
4〜5匹
○ ニンニク
8片
○ 鷹の爪
2本
○ エクストラバージンオリーブオイル
100〜150ml
○ りんご酢
大さじ1
○ パセリ
適宜
○ 塩
適宜

HOW TO COOK

1 イワシをさばく

包丁の刃先を尾から頭に向かって動かし、うろこをとる。胸びれのあたりに刃を入れ、頭を切り落とす。腹の内臓の部分を浅く斜めに切り落とし、内臓をかき出したら、流水で洗い流す。水気を拭きとったら、3枚におろす。身に残った腹骨をそぎ切り、小骨があれば抜き取る。身の部分は、ボウルに張った氷水にさっとくぐらせて血を抜き、身を締める。

2 オイルを準備する


ニンニクは薄皮を剥き、スライスする。小さめのフライパンにエクストラバージンオリーブオイルを入れ、弱火にかける。ニンニクを加え、香りが立ってきたら、種を取った鷹の爪を加える。弱火のままじっくりと炒め、ニンニクが黄金色になったら一度火から下ろし、具と油を分ける。


ニンニクは焦げやすいので、必ず弱火でじっくりと火を通すこと。ニンニクの黄金色が、美味しいアヒージョオイルになった証です。

3 イワシを並べる

フライパンを洗い、水気を拭きとる。イワシの皮面を下にして、フライパンの端から並べ入れる。並べ終えたら、イワシ全体に塩をひとつかみまぶす。

4 オイルとりんご酢を加える

2で分けた油をフライパンに戻し入れ、強火にかける。油がふつふつと煮立ったら、りんご酢をまわし加える。このときはねる油に注意。

5 予熱で仕上げる

粗めのみじん切りにしたパセリを加え、2で分けた具を戻し入れて火を止める。蓋をし、余熱でイワシに火を通したら完成。

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パタタスとは、スペイン語でじゃがいものこと。このパタタス・ブラバスは、フライドポテトにピリ辛のブラバスソースをかけた、バルでお馴染みのタパス料理。おいしく作るポイントは、じゃがいもを割り切るようにカットするスペイン独特の調理技法にあります。また、芋の甘さを引き立てるためにじっくりと火を通すことも重要。ほくほくのポテトとスパイシーなソースが好相性で、ホームパーティでも喜ばれる一品になるはず。

材料(2人分)

じゃがいも
中サイズ2個
揚げ油
適宜
■ A<ブラバスソース>
 
○ トマトピューレ
200g
○ 玉ねぎ
1/2個
○ ニンニク
3片
○ 鷹の爪
2本
○ 砂糖
小さじ1
○ パプリカパウダー
大さじ2
○ 白ワインビネガー
大さじ1
○ 塩
適宜
■ B<アリオリソース>
 
○ ニンニク
1片
○ パセリ
小さじ1
○ マヨネーズ
大さじ3
○ オリーブオイル
大さじ1

HOW TO COOK

1 ブラバスソースを作る

玉ねぎ、ニンニクはみじん切りにする。フライパンに少量の油(分量外)を熱し、玉ねぎと塩少々を加えて弱火で炒める。玉ねぎが透き通ったらニンニクを加え、香りが立ったら種を取った鷹の爪を加えて軽く炒める。

2 ブラバスソースを作る

一度火を止め、パプリカパウダーを加えて混ぜ合わせ、全体に馴染んだら弱火にかける。次にトマトピューレ、砂糖、白ワインビネガーを加えて数分煮る。水っぽさがなくなったら火からおろし、ミキサーで滑らかになるまで撹拌する。必要なら塩で味を整え、冷蔵庫で冷やして完成。

3 アリオリソースを作る

ブレンダーに、パセリ以外のBの材料を入れて滑らかになるまで撹拌する。最後にみじん切りにしたパセリを加え、全体を混ぜ合わせる。

4 じゃがいもを割り切る

じゃがいもは皮を剥き、一口大にカットする。少し刃を入れ、じゃがいもをパキッと割るようなイメージでカットしていくのがポイント。このとき、切ったじゃがいもは水にさらさなくてOK。
小さめの包丁を使うのがベター。


じゃがいもを割り切るようなこの切り方は、「チャスカール」というスペイン独特の技法。デンプンが出やすくなり、表面にも凹凸ができて味がのりやすくなる利点も。

5 じゃがいもを下茹でする

鍋に4のじゃがいもとかぶる程度の水を注ぎ入れ、弱火にかける。沸騰したら火を止め、そのまま予熱で火を通す。少し芯が残る程度になるまで火が通ればOK。ザルにあげてしっかりと水気を切る。

6 じゃがいもを揚げる

鍋に油を入れて強火にかける。油が温まったら5のじゃがいもを加え、強火のまま揚げ焼きする。全体が茶色く色付き、芯まで火が通ったら、バットに上げて油を切る。皿に盛り、ブラバスソース、アリオリソースをかけて完成。

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揚げパイのファルデレホスは、ワインの名産地としても知られるスペイン北部、ラ・リオハの郷土菓子。もともとは収穫を祝う時期に作られたもので、パイの中にはマジパンのようなアーモンドクリームが包まれています。ラードを練り込んだサクサクの生地と香ばしいアーモンドクリームは相性が良く、甘さ控えめなのでぺろりと食べられる素朴なおやつです。

<アーモンドクリーム>

材料(2人分)

○ 生アーモンドパウダーまたは
  アーモンドパウダー
100g
 
○ 砂糖
25g
○ 卵黄
1個
○ レモンの皮
1/2個(すりおろす)

<生地>

材料(2人分)

○ 強力粉
200g
○ 卵
1個
○ ラード
50g
○ イースト
5g
○ 水
70ml

HOW TO COOK

1 アーモンドクリームを作る

ボウルに生アーモンドパウダー、砂糖を入れて混ぜる。次に卵黄、レモンの皮を加え、手で握って固まるくらいまで混ぜ合わせる。甘みが足りなければ、お好みでハチミツを加えても。

生アーモンドパウダーは、自宅で簡単に作ることもできます。まず生アーモンドを1分程度下茹でしてザルにあげ、皮を剥きます。次にフードプロセッサーに入れ、写真のように細かな粒になるまで撹拌すれば完成。香ばしい香りで風味がよりよく仕上がります。

2 生地を作る

ボウルに強力粉、卵、イースト、水を入れ、粉っぽさがなくなるまでスプーンなどで混ぜる。少し打ち粉をして、冷蔵庫で30分寝かす。

3 生地を作る

冷蔵庫から取り出した生地を、耳たぶの柔らかさになるまで手で捏ねる。ひとつにまとめ、さらに冷蔵庫で30分寝かせる。

4 生地を作る

打ち粉をした作業台に、生地を広げる。最初に指で押し広げ、中心から外に向かうように綿棒を使ってできるだけ薄く伸ばす。

5 生地を作る

生地全体にラードを塗り、端から巻いていく。体温や気温でラードが溶けやすいため、手早く行うこと。

6 生地を作る

巻いた生地は3つに折り畳み、再び冷蔵庫で30分寝かせる。1.5倍程度に生地が膨らむのが目安。

7 生地をカットしてクリームを包む

打ち粉をした作業台に生地を手早く薄く広げ、手のひら大の長方形にカットする。生地の中心に丸めたアーモンドクリームを置き、上からもう1枚の生地を被せる。生地の端をフォークで押さえて生地をくっつける。

8 パイを揚げる

160-180度で熱した油(分量外)で、両面がこんがりときつね色になるまで揚げる。しっかりと油を切って冷まし、最後に粉砂糖を全体にまぶしたら完成。

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