SERIAL STORY

2021.07.23

「感情的になって何が悪いの?」
長田杏奈のセルフケアノート

著書『美容は自尊心の筋トレ』で、世の中に新しい美容の価値観を生み出した人気の美容ライター長田杏奈さんが、今おすすめしたいコスメや、大切にしているマインドまで、思いつくままにお話ししていただく、連載「長田杏奈のセルフケアノート」。コスメとマインドに分けて公開中。

第三回目は、私たちの中にある「感情」に注目し、ネガティブなイメージのある「感情」に対する考え方や付き合い方について語っていただきました。

profile

美容ライター

長田杏奈

雑誌やwebを中心に美容やフェムケアにまつわる記事、インタビューを手がける。
著書に『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)。責任編集に『エトセトラ VOL.3 私の私による私のための身体』(エトセトラブックス)。趣味は植物栽培。

Mind

感情的になって何が悪いの?

「エモーショナル」や「感情豊か」は褒め言葉として通用するけれど、「感情的」と言い換えると途端にマイナスのイメージをまとう。「論理が通じず冷静さに欠ける」とレッテルを貼られたようで、そこはかとない見下しニュアンスも気になる。そんなときは、相手と同じ土俵に立って「感情的になんてなってません!」と言い返すのではなく、「どうして感情的になったらいけないんですか?」と土俵そのものを疑ってかかることにしている。感情を抑制すべき劣ったものと扱う価値観は、あくまで相手のもの。人のペースに釣られず巻き込まれず、自分の感情を大切にしたい。

私たちは成長する過程で、知らず知らずの内に「ポジティブ is 善!」と刷り込まれる。しつけや教育、メディア、ジェンダー規範、名言系ライフハック、自己啓発、引き寄せの法則…。ありとあらゆる角度から「ネガティブ=悪」を植え付けられるなか、悲しみ、恐れ、不安などの感情を後ろめたく感じて蓋をする人、他人の感情を蔑む人が出てくるのも無理はない。けれど、怒りの炎を胸に不条理と戦い、悲しみを通して優しさを深め、不安やモヤモヤを信じて危険を避けることだってあるはずだ。自然に湧き出る感情たちを、もっとえこひいきなく扱ってもいいのではないか。

東洋医学の賢者に取材したとき、中医学では感情を大まかに「怒・喜・憂・思・悲・驚・恐」の7つに分類し、七情と呼ぶのだと教えてもらった。怒りが過剰になると「肝」にダメージが出て、「肝」にダメージが溜まると怒りっぽくなるというように、七情のうちどれかが突出してバランスが偏ると連動したパーツに影響が出ると考えるという。怒りや悲しみを悪者扱いせず、喜びも度を過ぎたら差し障りがあると捉え、さまざまな感情を並列に扱う発想が新鮮だ。たとえ何の役に立っていないように見えたとしても、感情はあって当たり前。その起伏も含めて人間の味わいの内なのだと、大らかにかまえたい。

コロナ禍で気軽に誰かと会って話したりしづらくなったとき、日々の感情を記録するアプリをダウンロードした。毎日朝晩、心身のコンディションをそれぞれ5段階でチェックし、ひと言コメントを書く。感情が大きく動いたときには、質問形式で起こった出来事や感情の種類と強さや考えたことを記録する。自分の感情がどんなシチュエーションで揺れやすいのかが整理され、「怒りの裏の期待や不安」といった隠しコマンドのような機微を把握する手がかりになる。感情に溺れそうなときは、「いま私はこう感じているんだ」と眺めるひと呼吸で少し楽になることも。自分の感情に目を向け、ただただ淡々と記録する。5行日記ですら3日坊主な私にしては長く続いている、ささやかなセルフケア習慣のひとつだ。

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