星のや軽井沢。
谷の集落で「現代を休む日」という贅沢
軽井沢は多くの知識人や文化人に愛されてきたリゾート地であり、星のやの歴史の始まりの地でもあります。
「星野温泉旅館」を前身に2005年に開業し、今年で17年目を迎える星のや軽井沢。開業当初から人気が絶えない理由は、“圧倒的非日常感”にあります。
そこで、第二回目は高原の空気に包まれた独創的な世界観の谷の集落「星のや軽井沢」での、心から穏やかになる本物の休息をレポートします。
東京から70分ほどの好アクセスながら、門をくぐった瞬間に広がるのはまさに別世界。
青々とした緑から溢れる光、穏やかに流れる水の音、すぐそばで奏でる鳥の声など五感をフル稼働して大自然を感じることができます。
全ての場所が特等席、圧巻の風景はどこを切り取っても美しく、シャッターを切る手が止まりません。到着後すぐに心をわしづかみにされてしまいました。
客室にいながら感じられる大自然
「もう一つの日本、谷の集落」での滞在を提供するリゾート「星のや軽井沢」。
全77の客室は「水波の部屋」「山路地の部屋」「庭路地の部屋」の3タイプに分かれます。今回宿泊したのは水辺を囲むように並ぶ客室、「水波の部屋」。触れそうなほど近くに豊かな自然が広がり、四季のうつろいを感じられる風景は圧巻です。そして、テラスに出ると豊かな水流がすぐそこに。1日中ここでぼーっとしていたいと思わせる穏やかな時間が流れています。
客室のテラスから、美しい里山の風景を見渡せるのも楽しみのひとつ。川に沿って立ち並ぶ客室棟は、絶妙な設計で完全にプライベートが保たれています。日本の原風景を思わせる景色を望みながらテラスで飲むコーヒーは格別です。
自然と時のうつろいを感じてもらいたいと、客室にはテレビも時計も設置されていません。普段当たり前にあるものがないことで、知らず知らずのうちに時間や情報に急かされていた自分を発見。夜になると森の静寂が訪れ、自然と深い睡眠をとることができました。日々の生活で崩れがちな睡眠を整えるのにも最適です。
環境へ配慮した活動を実施する滞在型リゾート
星野リゾートでは、近年のSDGs(持続可能な開発目標)の主要課題のひとつである環境へ配慮した活動に、開業当初から取り組んでいます。その取り組みが評価され「環境大臣賞」をはじめ数々の賞を受賞しています。
取り組みのひとつとして、ゴミの資源化100%を目指す活動「ゼロエミッション」の達成を目標に掲げ、生じる廃棄物の焼却・埋め立てゴミが“ゼロ”の状態を達成するためにゴミを資源化する活動を実践。客室には「軽井沢野鳥の森」を水源とした水が入った美しいウォータージャグを設置しペットボトルフリーを実現しています。
さらに使用した歯ブラシまでも回収・分別し再資源化、バスルームでの容器も捨てずに使えるデザインボトルを採用するなど細やかな備品にまで配慮。素晴らしい滞在の背景には、環境への配慮が施されており、宿泊客が心から安心して楽しめるのもうれしいですね。
森林浴と温泉入浴をもとにした、ウェルネスプログラム「森林養生」で免疫力アップ
「星のや軽井沢」では、豊かな自然からの恵みと共に心身を休養する「森林養生」というプログラムが人気です。深呼吸に着目し、2泊3日のステイでwithコロナ時代に求められる肺機能を強化。免疫力を高め“健幸”を目指します。
その中でも素晴らしい体験だったのは、専門家から丁寧な指導を受け深呼吸を意識して森を歩く「森林パワーウォーク」。ウォーキングを経て、息をのむほど美しい星のやのプライベートデッキへ。高原の過ごしやすい湿度、心地よい木漏れ日、野鳥の声、全てが完璧な環境の中で丁寧に身体を動かす「森の運動」。私たちだけのラグジュアリーな空間で身体を整える唯一無二の体験に感動が止まりませんでした。
休養のためのスパメニュー「ウォームストーン・トリートメント」も忘れがたい思い出となること間違いなし。戸建ての施術棟から見えるのは、水面とショウブ、この時期は自然の小鴨たちも歓迎してくれました。流れる水の音を聞きながら受けられるのは、50度から60度に温めた玄武岩を当てながらのトリートメント。森の香りをイメージしたヒノキやヒバのブレンドオイルとともに温かな石でマッサージされることで五感が鎮静、心身ともにほろほろと解れていくのを実感します。日常生活での緊張を緩め深呼吸しやすい身体へ整えていただきました。
さらに貴重な経験となったのは、枝のスプーンづくりです。材料の枝を運ぶところから始め、その場で伐り出し、完成イメージを考えながら黙々と手を動かします。脳と心をほぐしていく、クリエイティブな作業。星のやならではの様々な角度からの「森林養生」は、“さすが”が詰まった素晴らしいプログラムでした。
栄養豊富な土地の恵みを存分に味わえるお料理
旅の醍醐味は食事にもあり。その土地、その季節にしか食べられない旬を意識したハイクオリティなお料理も評判です。
夕食は、メインダイニング「日本料理 嘉助」でいただいく山の懐石。地域の文化に根ざして、夏の食材をふんだんに使用し、見た目や香りも存分に楽しめる懐石料理です。コリコリとした食感が楽しい新鮮な鯉のお造りや、料理人自らが感じた軽井沢の集落を一皿にしつらえた八寸など、より多くの人の笑顔を引き出したいという「笑味寛閑」というコンセプト通り、すべてが素晴らしいプレゼンテーション。運ばれてきたときに、思わず「わぁ」と歓声が上がるほどです。
朝のお楽しみは美しい棚田テラスを見渡しながらの「山の朝食」。食材は丸ごと摂取することで調和が取れるという、一物全体食の考えのもと、野菜を丸ごと使いじっくり仕込んだ野菜出汁を使用しています。疲れた体に優しい、まさに休息のための朝食。
昼食は長野県の伝統料理から着想を得た「おしぼり蕎麦」をいただきました。水が綺麗な土地で作る二八蕎麦と、植物性のお出汁でいただく地元の方々に古くから愛される名物です。珍しいのはそのつけ汁。絶妙な辛味が癖になる大根のお汁、蕎麦つゆや焼き味噌を好きな味付けでトッピングしながらさっぱりと食します。
季節に合わせて旬の食材をセレクトしたお献立、春は山菜、夏は夏野菜など信州の旬の食材に合わせて変更されるメニューは、季節ごとに味わいたくなる美味しさです。
今回の滞在で最も感動したのは、圧倒的非日常の中で味わう大自然の魅力。現代人が求めている心からの休息を堪能できる滞在型リゾートで、デジタル時代に浅くなりがちな呼吸や体内時計を整えることができました。一度体験するとまた必ず訪れたくなる完璧なトリップ、四季を感じに定期的に訪れたいと思います。
【星のや】
「現代を休む日」をコンセプトに、施設ごとに独創的なテーマで紡ぐ、“圧倒的非日常”を提供するブランド。国内に6施設、海外に2施設を展開しています。
【星のや軽井沢】
料金 :1 泊102,000 円~(1 室あたり、税・サービス料込、食事別) ※通常は 2 泊より
森林養生:1名181,500円(税・サービス料込) ※宿泊料別
四季ごとに違う顔を魅せる星のや軽井沢では、様々な非日常を堪能できるアクティビティが豊富。今回ご紹介した「森林養生」をはじめ、一日1組限定の、「森のほとり café&bar〜水上の特等席〜」(〜2021年8月31日まで)や野鳥の声を聞きながら茶を嗜む「森の紅葉野点」(2021年10月1日〜11月15日)など、開催予定です。
美容ライター。東京藝術大卒業後、広告代理店に16年勤務、その後美容ライターに。経歴を生かしたマーケティング目線でプチプラコスメから美容医療まで、若見え効果を重視した最新美容を自腹でお試し&研究し続けています。身体を張ったレビューを日々発信しているInstagram@ryoko.kuribayashiも大好評。
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