2020.12.29
イタリアーナとキレイの関係 #6
仕事や育児などで多忙な日々を送りながらも、自分らしさを失わないイタリア人女性。
彼女たちのライフスタイルを仕事・家族・美容など様々な角度から、ミラノよりレポートします。
家族という糸を紡ぐ、
ニットを巡る四次元の旅。
第6回は、ファッションデザイナーのステファニアをご紹介します。
ステファニアはニットブランド「SARTORIA VICO」のデザイナー。
最愛の子供たちからデザインのインスピレーションを受け、
そのデザインが家族との時間を一段と豊かに彩ります。
ステファニアと家族の、感性豊かなライフスタイルをレポートします。
index 目次
Part1
タイムレスなニットブランド
「SARTORIA VICO」
ミラノで話題の ニットデザイナー
ファストファッションが主流の現代。
その潮流に逆らうように、ディテールと材質、手作りにこだわり、長く愛されるニットを作り続けているブランド「SARTORIA VICO(サルトリア・ヴィコ)」。
今回はそのデザイナーの一人、ステファニアに密着します。
ステファニアが毎朝自転車で通うスタジオは、ミラノのストリートファッションの中心地、ポルタ・ティチネーゼ通りにあります。
100年以上前に建てられた、窓から淡い陽が差し込むメゾネットタイプの室内。キッチンやダイニングテーブルもあり、自宅に招かれたようなリラックス空間。着心地が良く、シンプルな中にこだわりがあるSARTORIA VICOの服の雰囲気そのままです。
ブランドの共同デザイナー、クリスティーナと。大学時代からの親友で、2011年に二人でブランドを立ち上げました。
「クリスティーナは、ルームメイトとして過ごしたこともある双子のような存在。彼女とこうして働けることを、とても幸運に思っているの。」
メイド・イン・イタリアの美しいニットにこだわるステファニア達は、生産をミラノ郊外にある家族経営の工房に託しています。長年築き上げた信頼関係で、今ではデザイン画と電話一本でコンセプトやディテールを理解して仕上げてくれるそう。
SARTORIA VICOの理念と情熱を共有し、熟練した技術を持った一家とは、今では家族ぐるみの付き合いです。
ミラノのセレクトショップ「WAIT AND SEE」や「MINIAMPÉRE」とのコラボなど、SARTORIA VICOのニットウェアはミラノだけでなくヨーロッパ全土で注目されています。
秋冬コレクションでは上質なウールを、春夏は肌触りが抜群のピマコットンやガスコットンを主に使用しています。「日常で着てほしいから、服は全て洗濯機で洗えるの。ネットに入れて乾燥機は避けて、形を崩さないように干してね。」
最愛の子供たちが インスピレーションの源
この日は工房から、新作コレクションのサンプルが届いていました。
自ら手がけた服を初めて手に取る瞬間は、毎回新鮮な喜びがあるそう。
その中からある一着を広げたステファニアの顔が、満面の笑みに。
「このニットのイラストは、長男のレモがデザインしたの。唐辛子とイチジクがモチーフらしいけど、かなり抽象的でしょ?」
確かに、右のイチジクの抽象度はなかなかのレベル。「ニットのデザイン」という枠に囚われない、子供らしい自由なアイディアとクリエティビティ、それを形にしてしまう、ステファニア達の遊び心。全てが素敵だなと思いました。
左の男の子が、レモ画伯。
やんちゃで優しいレモ君と、穏やかで愛らしいブルーノ君の存在が、ステファニアのクリエティビティを一層豊かなものへと刺激します。
そして誕生したのが、 SARTORIA VICOのキッズラインです。レモ&ブルーノ兄弟は、モデルとしても大貢献。
シンプルで甘すぎず、子供も喜ぶようなスパイスがきいたデザイン。数シーズン使える、帽子などのアクセサリーが人気です。
でも、ステファニアの思いはその先にありました。
「この冬は子供用のセーターも作ったの。子供服はすぐ着られなくなるし、しかもすぐ汚れるけれど、小さい子にも質のいいセーターを着てほしい、という願いを込めて。」
私達日本人の着物と同じように、イタリアでも、上質な服やテーブルウェアなどを大切に使い、子供たちに受け継ぐ慣習が今も残っています。
天国でステファニアを見守る、最愛のお母さんとの写真。
編み物が好きだったお母さんの手編みのセーターは、ステファニアのデザイナーとしての原点でもあります。
【SARTORIA VICO】
Corso di Porta Ticinese 6, Milan, Italy
www.sartoriavico.it