SERIAL STORY
2020.10.29
カサカサの季節に「牡蠣」
牡蠣のジョン
仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。 「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という 東洋医学の知恵に基づき、
旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。 カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!
11月前期のカラダとココロ
11月7日に立冬を迎え、暦の上では冬の到来。日中の日差しが弱まってきて、木枯らし1号や初雪の便りも届き始めます。雨も少なくなって湿度が低くなり、空気が乾燥してくるこの季節は、肌や髪が乾燥する、肌荒れや肌のかゆみ、口や咽が乾く、空咳が出る、便秘しやすいなどの症状が出やすくなります。
漢方医学では、人体を構成する基本的な物質を、気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)と考えています。気は、血や津液を全身にめぐらせて臓腑機能を促進し、体を温め、保護する働き。血は、各器官に栄養をたっぷり与えて潤し調整する働き。津液は、体内に必要な水液のことで、皮膚や各器官、粘膜に潤いを与えます。
私たちの体は「陰」と「陽」が調和したバランスで成り立っていて、血と津液は「陰」に属します。外気の乾燥が加速するこの時期に、過労やストレス、睡眠不足によって「陰」が不足した状態になると、体(特に皮膚や粘膜)が潤い不足を起こし、カサカサの肌荒れが起こります。体の外側からだけではなく、内側からのケアにも気を配りましょう。
この季節になるべく避けたいもの
カサカサの季節に「牡蠣」
「牡蠣」は、疲労回復効果が期待できるタウリンやビタミンB群が豊富なほか、鉄分と亜鉛も含まれています。気持ちを落ち着かせ、胃腸を丈夫にする働きも。東洋医学で、牡蠣には陰液と血を滋養する作用があるといわれ、乾燥が気になるこの季節の栄養補給にぴったりです。「生食用牡蠣」は、食中毒防止のため出荷前に滅菌処理されることが多いもの。一方、「加熱用牡蠣」は栄養分の豊富な海域で養殖されることが多く、味が濃厚だといわれています。加熱調理の場合は、「加熱用牡蠣」がおすすめ。
牡蠣を使った主菜
牡蠣のジョン
材料(1人分)
- 牡蠣(加熱用) 4~5個
- 塩 少々
- 小麦粉 少々
- 溶き卵 1個分
- ごま油 小さじ1
“ジョン”とは韓国家庭料理のひとつで、小麦粉と卵をつけて油で焼く料理のこと。肉や野菜のジョンもありますが、今回は秋の旬である牡蠣を使用。牡蠣のうまみが衣に閉じ込められて、噛んだ瞬間にじゅわっとジューシーなおいしさが口いっぱいに広がります。材料が少なく、短時間で簡単につくれるのに、ちゃんと本場の味。つけだれ以外にも、しょうゆやポン酢などお好みでどうぞ。ごはんのおかずにも、お酒のおつまみにもなる万能メニューです。
(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina
漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局