SERIAL STORY
2020.12.10
ゴホゴホの季節に「れんこん」
れんこんと塩豚のポトフ
仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。 「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という 東洋医学の知恵に基づき、
旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。 カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!
12月後期のカラダとココロ
一年の中で夜がいちばん長く、昼がいちばん短い日が「冬至」。今年は12月21日です。気温が下がり、空気が乾燥するこの時期は、インフルエンザや風邪などの感染症にかかりやすく、今年はさらに新型コロナウイルスの心配も重なりますね。気温がぐっと下がると、のどや鼻の粘膜の働きが弱くなり、ウイルスに対する抵抗力が低下することに。また、空気が乾燥するとウイルスが空中に漂う時間が長くなって、感染症が流行しやすくなります。
風邪をひくと、体がだるくなり、寒気を感じたり、熱を出したりしますね。自分の体をよく観察すると、ゾクゾクしてとにかく寒いのか、熱っぽくて冷やしたいのかがわかります。寒気が強いときは温めて汗をかいて治し、熱っぽく咽が腫れているときは冷やして熱をとります。
漢方の風邪タイプ
寒い風邪
症状の特徴:ゾクゾクと寒気がする、頭痛、関節や筋肉が痛む、くしゃみ、鼻水など
養生のポイント:しょうが湯やくず湯などを飲んで体の中から温める。首筋を温める。生野菜、果物、アイスクリームなど冷たいものを避ける
※寒い風邪に、さらに湿邪(湿気)が影響した場合は、体の重さ、だるさ、眠気、 頭重、筋肉痛、しびれのほか、下痢や吐き気などの胃腸症状も起こってきます。胃腸症状が酷い時は、無理に食べないことも大切です。
熱の風邪
症状の特徴:寒気よりも熱っぽい、のどが赤く腫れて痛い、黄色い粘った痰や鼻水が出る、口や鼻の乾燥など
養生のポイント:香辛料、こってり甘いもの、もち米類、アルコールを避ける。れんこんのしぼり汁やれんこんおろしを摂る
※熱の風邪が進行すると、気管支や肺に炎症を起こし、乾いた空咳や止まらない咳込み、
口や鼻が乾燥してヒリヒリ痛むという症状が起こってきます。はちみつのお湯割りを飲んだり、梨を食べることをおすすめします。
この季節になるべく避けたいもの
ゴホゴホの季節に「れんこん」
今回のテーマ食材「れんこん」は、風邪の予防に効果的なビタミンCを豊富に含むほか、胃腸の機能を助け、五臓を養い、痰をとり除く作用があるといわれています。のどが腫れて痛いときや、強い咳込みがあるときには、れんこんを生のまますりおろしたしぼり汁を摂ると、症状がやわらぎます。また、「冬至の日に“ん”のつくものを食べると幸運を呼び込む」と古くから伝えられていて、れんこんもそのひとつ。まさに今が旬、シャキシャキのおいしさをぜひ料理にとり入れてください。
れんこんを使った主菜
れんこんと塩豚のポトフ
材料(2~3人分)
- れんこん 150g
- 塩豚 300g
- 玉ねぎ 150g
- にんじん 100g
- さつまいも 100g
- 水 600ml
- ローリエ 1枚
寒い季節は、コトコト煮込んだ料理でお腹もお部屋もあたたかく。「ポトフ」とは、フランス家庭料理のひとつ。大きめにカットした野菜とお肉でボリューム満点の煮込み料理です。れんこんに塩豚を組み合わせたポトフは、体を温めて、胃腸の機能をアップし、免疫力を高める作用が。アクセントに、にんじんとさつまいものやさしい甘みをプラス。冬は根菜類がおいしい季節なので、れんこん以外にごぼうや里芋などを入れるのもおすすめです。
(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina
漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局