仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という東洋医学の知恵に基づき、旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!
いよいよ暖かくなり、体中の気血が巡りやすくなるこの季節は、ダイエットやデトックスにぴったりです。漢方では、脂肪は痰湿(たんしつ=代謝が滞った病理的な水液)と考えられています。皮下に溜まった痰湿は皮下脂肪になり、血中に入ると中性脂肪やコレステロールなどの血液をドロドロにする成分になります。痰湿が生じる原因は様々ですが、その多くは食生活の乱れによる胃腸機能の停滞と消化不良。食べても満腹感がない、ついヤケ食いしてしまう、外食や買ってきたものを食べることが多い、生理前に食欲が出すぎる、というときは胃が熱になっている場合が多く、消化能力以上に食べすぎてしまう結果になります。
無理な食事制限によるダイエットは体調を崩します。胃熱になりやすい香辛料系、もち米、こってり甘いものは控えて、あっさりさっぱりの食事を心がけてください。よく噛んで食べること、過食の原因となる早食いに注意すること、体を動かして代謝を助けることも大切です。また、ダイエットのためにサラダや果物ばかり食べるというのは逆効果。どんどん消化力が落ちてむくみがひどくなり、代謝を下げてしまうので、要注意です。しっかり食べて必要な栄養を補給しながら、健康的な体形維持を目指しましょう。
この季節になるべく避けたいもの
消化の悪い食事、甘いものや脂ものなど高カロリーのもの、唐辛子・にんにく・ニラなど熱になる食べもの、暴飲暴食、早食い、間食、運動不足
材料(15個分)
鶏むねひき肉 200g
☆ コリアンダーパウダー 小さじ1/2
こしょう 少々
しょうゆ 大さじ1/2
片栗粉 大さじ1
新玉ねぎ 1個(200g)
すりおろし生姜 小さじ1/2
シュウマイの皮 15枚
グリーンピース 15粒
たっぷりの新玉ねぎをつかったシュウマイは、せいろや蒸し器がおうちになくてもOK! フライパンで簡単につくれるレシピです。通常は豚肉をつかうことが多いシュウマイですが、脂が少なく高タンパクの鶏むね肉を合わせることでカロリーを抑えながら血や肉になる栄養を摂取し、代謝を上げることができます。パサつきやすい胸肉がみずみずしい新玉ねぎの水分を吸うことで、しっとりとジューシーに蒸しあがりますよ。さっぱりと春らしい味わいをたのしんでください。
代謝の促進、胃腸機能の改善、コレステロールを下げる働きなど、うれしい効能がいっぱいの新玉ねぎを、副菜と汁物にもつかって“新玉づくし”のお膳に。ダイエットとデトックスのことを考えて、脂少なめのさっぱりとした味つけながらもしっかりと満足感を得られる内容です。副菜は、ダイエット効果があるといわれている梅酢のお漬物。優しい味わいのお吸い物がお腹をあたためます。同じく春が旬のグリーンピースは、美容効果のある黒米と一緒に炊いてごはんにし、少なめに盛りました。ゆっくりとよく噛んでいただきましょう。
梅酢大さじ2と砂糖小さじ2をあわせたマリネ液に薄切りにした新玉ねぎを漬けて、一日おく。
和風だしで新玉ねぎをさっと加熱し、筋を取った絹さやを加え、塩としょうゆで味をととのえる。
米に黒米大さじ1をあわせて2合にして、といでおく。グリーンピース1袋をさやから出して、水400mlに塩小さじ1を入れた湯で柔らかくなるまでゆでる。豆をゆで湯につけたまま冷まし、ゆで汁と豆にわける。といだ米にゆで汁(少なければ水を足す)を加えて炊く。炊き上がったら豆を加えて蒸らす。
たとえばシュウマイがつくれると、肉だねに衣をつけて揚げてメンチカツが作れます。キャベツでくるんで煮たらロールキャベツに、オーブンで焼いたらミートローフに、形を小さく丸くするとミートボールに変身。バトンをつなぐように、ちょっと多めにつくってリメイクすると、料理がとってもラクに楽しくなりますよ。
(献立担当) 鈴木聖子 Seiko Suzuki 料理研究家。大学で栄養学を習得し、卒業後は飲食店のスタッフトレーニングや商品開発の仕事に従事。その後オーストラリアへ渡り、レストランで働きながら食文化を学ぶ。帰国後はクッキングスクールに10年間勤務。2013年から「3さいからはじめる料理教室 KISSAKO」を主宰。季節の食材を使う料理レッスンのほか、企業向けのレシピ開発、ケータリング、加工食品販売なども手掛ける。頭の中は常においしいもののことでいっぱいな二児の母。
料理教室・料理研究家KISSAKO / instagram / facebook
ぽっちゃり色白で、食が細く、水を飲んでも太るタイプの方は、もともと胃腸が虚弱でしっかり消化吸収できないことが原因で痰湿が溜まります。エネルギーが足りないために甘いものを好む傾向がありますが、甘いものを間食することにより、食事のときに消化力が低下して、より太ることに。火を通した消化の良いものを中心に食べてください。
(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina 漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局
編集・文/依知川亜希子 撮影/黒澤義教