【千葉・勝浦】リトリート宿坊「自在堂」でマインドフルネスに過ごす1泊2日の旅
LIFESTYLE

2025.06.03

【千葉・勝浦】リトリート宿坊「自在堂」でマインドフルネスに過ごす1泊2日の旅

ずっと前から楽しみにしていた旅行。ところが、いざ旅先に来てみると、頭の中ではすでに帰った後のことを考えてしまっている――こんな経験はありませんか?

タスクに追われ、忙しい毎日を過ごす私たちには、気づかぬうちに思考が先回りするクセがついているのかもしれません。

では、目の前に広がる美しい風景、そしてその土地ならではの美味しい料理をめいっぱい堪能するためには何が必要なのか。

それは過去でも未来でもなく、“今ここ”を感じる力です。

そこで今回足を延ばしたのが、千葉県勝浦市にあるリトリート宿坊「自在堂(じざいどう)」。マインドフルネスに過ごす、1泊2日の滞在プログラムを体験してきました。

関東の避暑地・千葉県勝浦市までは乗り換えなしの90分

房総半島・南東部に位置する千葉県勝浦市。1906年の観測開始以降、100年以上ものあいだ最高気温が35度を超えたことがない「猛暑日知らずの涼しい街」として近年注目を集めています。

そんな関東の避暑地までは、東京から特急わかしおで約90分。乗り換えはなし、車窓を流れる緑に癒やされながらゆったりとした気分で向かうことができます。

太平洋を眼下に望む「妙海寺」で、今ここに集中する

今回の滞在プログラムは、お寺でのマインドフルネス実践講座(毎週水曜日・15~16時)からスタート。向かったのは、勝浦駅からタクシーで8分ほどの場所にある「妙海寺(みょうかいじ)」

太平洋を眼下に望む高台にあるお寺では、ご住職の佐々木教道(ささき きょうどう)さんが出迎えてくれます。

案内してもらったのは、鳥のさえずりや風の音が耳に心地良いご本堂。約1時間の講座では、「マインドフルネス」がどういうものなのか仏教の智慧や実体験を通して学んでいきます。

まず、仏教でいう「マインドフルネス」とは。

“今”に“心”が正しくある「念(正念)」のことだそう。今の瞬間を心地良く感じる、またリラックスしながらも集中しているこの状態は、自分を満たし、心と体の健康に良い効果が期待できるのだと、佐々木さん。

とはいえ、今に集中しようとしても、次から次へといろいろな考えごとが浮かび、なかなかゾーンに入れません。

そこで登場したのが、一粒の干しブドウ。

たっぷり10分かけて、集中しながら食べ進めます。小さな干しブドウなのに存在感は大きく、飲み込む瞬間まで味や舌触りなどさまざまな角度からの気づきが、集中力をグッと高めてくれます。

鼻の穴を通る風を感じながら、丁寧な呼吸を繰り返す瞑想では、雑念が生まれたらそれに気づいてソッと手放し、ふたたび集中する―。 例えば、「帰ったらすぐメールを返さなくちゃ!」という考えがよぎったら、「今は旅行中だから、また後でね」とリリースする繰り返しが体の筋トレと同じように、心を今ここに止めるためのトレーニングになるそうです。

今ここを感じることに集中して過ごすと、驚くほど時間があっという間。そのうえ、とっても濃厚。これなら日常生活に持ち帰り、普段から実践できそうです。

「自在堂」でゆっくり・しっかり・丁寧に過ごす

次に向かったのは、リトリート宿坊「自在堂」。

2024年9月の本格オープンからは、リトリートプログラムに参加する女性客や近くの海で釣りをする宿泊客の利用が多いそうです。場所は、妙海寺のすぐ近く。キラキラ光る水面を横目に歩くこと数分。

海に面した木製のタイニーハウス『自在堂』に到着。

セルフチェックイン・チェックアウトなのは、ここからすでに“自分の時間”が始まっているから。

扉を開けると、かすかな木の香り。自然の中にスーッと引き込まれる感覚があります。

縦に長いタイニーハウスは、玄関の先にキッチン。調理器具や調味料、食器がひと通り揃っていて、自炊が可能です。

浴室には、皮膚科学から学んだ安心・安全なコスメ「OSAJI」のアメニティ。

柔らかくて吸水性の高い今治タオルは、フェイス用とバス用に2枚。

そのほか、ダイソンのドライヤーやWi-Fi、冷暖房、床暖房、温水洗浄便座も完備。

キッチン部分の上にはロフトがあり、気候の良い日はゴロッと寝転がって童心に返ってみるのもいいかも。

さらに進んでいくとリビングの中央には大きなテーブル、その両サイドにはリラックスして座れるベンチがあります。

圧巻なのは、リビングの大きな窓から臨む海!

窓を開けると、潮風が吹き抜け、波音や鳥の鳴き声がBGMとなった贅沢空間に身を置くことができます。ミニマルだけれど解放感が抜群で、実際のスペースよりも広く感じられるほど。

テレビと時計はなく、だたここにいるだけ――。普段とはまったく異なる過ごし方なのに、滑らかに没入できる環境が整っています。

ダイニングテーブルをトランスフォームして、寝るためのスペースを作るのもちょっとしたキャンプ気分が味わえて楽しい!

タイミングによっては、リラックス空間にいながらにして日暮れ・日の出を大パノラマで臨むことができ、自然の流れと溶け合うような感覚を味わえます。

夜ご飯に迷ったら、自在堂からタクシーで5分ほど行った海沿いのイタリアンバー「Dining Bar RAGTIME」がおすすめ。ご当地ラーメン・勝浦タンタンメンを食べることができます。

ラー油たっぷりの真っ赤なスープは、たまねぎのおかげで意外とマイルド。 宿に帰ったら、過ごし方は人それぞれ。

静寂の中で読書をしたり、広い夜空を眺めたり、何もせずにボーッとしたり、テレビやYouTube、SNSから離れた時間はちょっとしたデジタルデトックスにもなります。

翌日は、早起きをすれば大海原から昇る朝日に出会える!

心を清らかに1日のスタートを切りたい人は、妙海寺での朝のお勤めに参加することもできます。

お勤め後にはお米を半合いただけるので、自在堂に戻って朝粥作りに挑戦。

すっきりと整った心と体に染み込む、優しい朝食です。もう一品欲しいかも…なんて場合は、宿からすぐの「久我豆腐店」へ。早朝から開いているので、出来たて豆腐をおかずにお腹を満たすことができます。

自在堂は、自分が在る・自分で在る場所。

雄大な自然を目や耳、鼻、肌で感じていると、いつの間にか今ここにいる自分に意識が向いてきて思い出の1ページが色濃く残る――そんな貴重な体験ができたのでした。

今回ご紹介した場所以外にも、日本三大朝市のひとつ・勝浦朝市や新鮮な海の幸を堪能できる飲食店がたくさんあるので、みなさんもぜひ足を運んでみてください。

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