【俳優・生田絵梨花】キャストとともに奮闘した初の地上波連続ドラマ主演
8月18日(日)22時よりスタートしたドラマ『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。教育現場を舞台に、2年目の高校教師・笹岡りおが泣いて笑って、時には盛大に愚痴を吐きながら奮闘していく物語です。
りおを演じるのは地上波連続ドラマに初めて主演する生田絵梨花さん。ドラマの放送に先立って行われた制作発表記者会見では、生徒役のみなさんに「本当に先生みたい!」と言われ表情をほころばせたり、教頭役の柳沢慎吾さんに撮影中の様子をバラされるとすかさずツッコみをいれたり…とすでにいろんな表情が。
生田さんの新境地とも言えるドラマでの様子、そして生田さんのパワーの源についてお聞きしました。
役ともがきながら奮闘した
――今回、地上波連続ドラマ初主演ということですが、出演が決まった時のお気持ちを教えていただけますか。
嬉しさもありつつ、やっぱり緊張と不安が大きかったです。「先生」という役割もそうですし、脚本を読んで大丈夫かな、と。私が演じるりおは感情の起伏が激しいし、ストーリー展開も壮絶なんです。
でも、撮影が始まるとふわふわとした緊張というよりは、目の前に積み重なっているやらなければいけないことに、りおともがきながら奮闘していましたね。常にりおと並走しているような感覚でした。
――壮絶な脚本、ということですが、初めて脚本を読まれた時はどのような感想を抱かれましたか。
私自身、自分が生徒だった時は先生のことを当たり前のように「先生とはそういうものだ」と思って見ていたんですけど、今回、先生もひとりの人間なんだということが身に沁みました。当たり前のことなんですけど。脚本からもそうですし、実際に演じていても痛感しました。
先生の家族や職員室での同志としての先生との会話だったり、いろんな人に理解してもらったり、支えてもらったりすることで、先生という仕事がより魅力的に思えました。
――生田さんが演じられたりおに対して、共感ポイントはありますか?
りおほどテンションを上げることはなかなか難しいですけど、全部共感できますね。「そりゃあこう言いたくなるよね」とか。
あとは、りおを通して「自分ってこうなるんだ」とか「ここまで感情が沸き上がるんだ」と発見したことは多くありました。
――りおのエネルギッシュさはどのように作っていかれたんですか? なかなか自分の中にない言葉もあったと思うんですが。
りおは、怒ることもそうですし、泣いたり笑ったり、という感情がすごく豊かですけど、私は表現することにすごく苦手意識があったんです。でも、それってみなさんにも当てはまると思うんですよね。表現されてないだけであって、絶対に自分の中にはある想いで。
だから、私もりおを演じながら、見ないようにしてきた思いや、蓋をしてきた思いを引き出してもらったような感覚があるんです。それを表に出すのは怖いことだし、ブレーキがかかることだと思います。でもみなさんも、信頼できる人の前だったら感情を出せたり、思ったことを言えたりしますよね。だから、いかに自分の状態をリラックスさせられるか、ということが大きいな、と。今回、それを現場でできるように、役者のみなさん、スタッフのみなさんとコミュニケーションをとったことにも助けられながら、日々、感情を「えいやっ!」と出していたな、と思います。
小関裕太さんとは遠慮なく話し合えた
――現場での雰囲気はいかがでしたか?
インする時はすごく緊張するんですけど、生徒なら生徒、先生方、家族、パートナー、それぞれの心地よさが最初からあったんですよね。初めてとは思えないような空気感がそれぞれの場所で流れていたんです。だから私もりおとして存在できました。それはみなさんの魅力でもありますし、みなさんが役とリンクしていたからかと思います。
――その中で印象的なエピソードがあれば、お聞きしたいです。
大人キャストの方々がチャーミングですごく気さくなんです。そういうところで私も安心したり、ほぐされたりしましたね。
パパ(高橋克典さん)とママ(田中美佐子さん)もリアルお父さんお母さんのように見えて。ママはニコニコ見守ってくれている時もあれば、思ったことをはっきり言ってくれることもあって…嘘がないというか、そこが信じられるところだな、と思いました。
克典さんはボソッと自然に格言のようなことをおっしゃるんですよ。ご本人は意識しておっしゃっているということはなくて、普通に会話している中で出てくるんです。でも私にとってすごく身に沁みたり、今後も大事にしたい言葉だったりして、助けられました。
――恋人役の大友聖也を演じるのは共演経験もある小関裕太さんです。役に入る前だったり、作っていく上で何かお話をされたりしましたか?
一度、舞台でご一緒したので、役のことを考えていく上でのコミュニケーションも遠慮なくとれたのは心強かったですね。聖也の言動、りおの言動に対して、「これってどういうことなんだろう?」ということを話し合えました。
――2話以降は役の上でおふたりの関係は穏やかではなくなりますが、どのように作っていかれたんですか?
小関くんと話していると、普通に楽しくて笑ってしまうんですよね。ただ、序盤のシーンはいいんですけど、だんだんピリピリしていくんです。あまり話さないほうがいいのかな、離れたほうがいいかな、とも思ったんですけど、小関くんがその役で存在してくださるので、安心して信じられましたね。
生田さんのリフレッシュ方法は?
――今回、りおは愚痴を吐き出してリフレッシュする、というところがあるかと思うんですけど、生田さんご自身は普段、どのようにリフレッシュされていますか?
その時によって違いますね。ひとりになりたい時もあれば、友だちと会って話したり、ひたすら食べて発散する時もあります。
特に今回の撮影では、ごはんがないとダメだ、ということを痛感しました。
――生田さんにとって食べることは重要なんですね。
集中しないといけないシーンとか、感情的になるシーンは食べすぎるとよくないと思ってたんです。食べるとリラックスしてしまうし、満腹になると眠くなるから、と思って昼食を抜いて重めのシーンに臨んだんです。そしたら途中から「おなかがすいた」しか考えられなくなっちゃって。「ごめんなさい! 1回いいですか!」って言って食事休憩を挟んでもらいました(笑)。本当にそれしか考えられなくなったんですよ…それぐらい重症だったんですよね。なので、私の場合はある程度はおなかに入れておかないと動けないんだな、と実感しました。
――重いシーンだと、よりエネルギーも使いますもんね。
そうなんです。そのシーンは何回もトライしていたんですけど、回を重ねるごとに頭がまわらなくなってきて、から回っていましたね。
――食生活で気をつけていらっしゃることはあるんですか?
忙しくなってくると叶えられないんですけど、朝はしっかりごはんを炊いて、スーパーで買ってきた生鮮食品を焼いたりゆでたりして食べることは意識しています。
――最後に。今回、りおがたくさん愚痴を言うかと思うんですけど、生田さんなら、りおにどんなアドバイスをしますか?
たぶん、私は助言するというよりも、「(愚痴を)吐けるだけ吐きな!」って言います。
そういう時って、まだ納得させる段階じゃないと思うんですよね。思ってること、感じてることが間違っているかどうかはさておき、一旦吐き出す。そこからきっと、見えてきたり整理されることもあると思います。
Profile
生田絵梨花
1997年生まれ。ドイツ・デュッセルドルフ出身。乃木坂46のメンバーとして活躍し、2021年に卒業。『レ・ミゼラブル』などミュージカルで活躍し、2019年には第44回菊田一夫演劇賞を受賞。近年は『四月は君の嘘』、『GYPSY』に出演し、『MEAN GIRLS』で単独主演を務める。近作に、映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』『Dr.コトー診療所』(ともに2022年)、ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(関西テレビ・フジテレビ系)など。
■作品情報
『素晴らしき哉、先生!』
2024年8月18日より、毎週日曜22時放送
※放送終了後、TVer、ABEMA で見逃し配信
出演:生田絵梨花 茅島みずき 鈴木仁 橘優輝 永瀬莉子 矢吹奈子 小宮璃央 小栗有以
葉山奨之 桐山漣 浜谷健司 鈴木紗理奈 田口浩正 小関裕太
萬田久子 柳沢慎吾 田中美佐子 高橋克典
脚本・演出:宅間孝行
主題歌:竹内まりや「歌を贈ろう」(ワーナーミュージック・ジャパン)
※「漣」のしんにょうの点はひとつ
撮影/木南清香
取材・文/ふくだりょうこ
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