【俳優・遠藤雄弥】「見たことがない世界に飛び込むのはロマン」映画『男神』に感じるワクワク感
INTERVIEW

2025.09.15

【俳優・遠藤雄弥】「見たことがない世界に飛び込むのはロマン」映画『男神』に感じるワクワク感

9月19日(金)に公開となる映画『男神』。

全国各地で続発する母と子の失踪事件。そんな中、住宅地の建設現場に原因不明の深い穴が。同時期に建設現場で働く和田勇輝の息子が姿を消します。息子が穴に迷い込んだことを知った和田は、自身もその穴の中へと足を踏み入れることに…。

作品タイトルにもなっている「男神」とは縄文時代から続く荒ぶる神のことで、年少の男子が生贄として捧げられてきたと言います。

そんな男神と相対する勇輝役をどのように演じたのか。さらに、公開を控える話題作や趣味のカメラについても遠藤雄弥さんにお話を伺いました。

ファンタジーホラー。でも家族愛が感じられる作品

――今回の作品は「ファンタジーホラー」とのことですが、演じられてみていかがでしたか?

ホラーではあるんですけど、映画のテーマとしては家族愛とファンタジー、あとはちょっとした冒険要素が印象に残っています。

最初に脚本を読んだ時はジブリの『君たちはどう生きるか』と似た世界観の印象を受けたこともあって、これはご家族で観ていただける映画なのかな、と。

――拝見しているとCGも多く使用されていますね。

黄泉の国という世界観も描かれていますので、CGもふんだんに使われています。今まで観たことがないようなタッチの映画になっているので、それこそ海外の映画好きの方々のリアクションが今から楽しみですね。

――CGを想定して演じなければならないこともあり、演じられていた時と実際に仕上がった作品を観た時のギャップはありましたか?

監督が書かれた脚本と出来上がりのカットの順番がわりと大きく変わっていました。映画の撮影ってやっぱり時系列順に撮ることは難しいので、今回もラストシーンを最初のほうに撮影するということがありました。脚本を読んで感情を想定して演じているんですが、あえてそこの順番を変えていたり。今回は監督が編集もしているんですけど、「ああ、ここをこうやって変えたんだ」と僕自身、観ていて印象的でした。

「何もないとぐうたらなんです」

――本作を観ていると、改めて日本の文化の独自性のようなものを感じます。

作中に登場したような儀式が本当にあったのかな、と想像すると恐ろしいですけど、見たことがない世界に飛び込んでいくのはロマンでもありますよね。そういう冒険心がくすぐられる要素もあったりして。穴があったら入ってみたくなるような…防空壕ってあるじゃないですか。僕はジブリの映画が大好きなんですけど、子どものころは防空壕の奥の、その先にはトトロがいると思っていました(笑)。

『男神』と照らし合わせるのは無理があるかもしれないんですけど、それぐらいの感覚で『男神』というものを捉えていただけると、楽しんでもらえるのかな。冒険活劇みたいな要素も、ワクワク感もこの映画にはあるので。

――儀式に関連して…遠藤さんご自身は日常で大事にしているルーティンはありまますか?

僕、何もないとぐうたらなんですよね。昼寝とか好きで。

一度セリフを覚えて、寝て。起きみてどれぐらい脳が整理されているのか、というのが、もしかしたらセリフを覚える時のルーティンとしてあるかもしれません。

――新しい作品に入る時に願掛けだったり、決まってやっていることはありますか。

規則正しい生活というのは意識しますね。シンプルですけど、遅寝遅起きをしない、だとか、生活リズムを整えるとか。作品にもよりますけど、体力が必要な場合はトレーニングしたり、身体を作ったりはしますね。

やっぱり若い時に比べて、体力の衰えじゃないですけど、集中力が昔よりもたなくなったな、と気にする瞬間もあったりするんですよ。ベストパフォーマンスを保てるような生活…食事や睡眠時間、身体をどれだけ動かすだとか、年々、もっと意識していくべき部分なのかな、と感じてます。

みんなで日本のエンタメを盛り上げていくという意識

――話題作にも立て続けに出ていらっしゃって、今回は主演です。ご自身の今の状況はどのように受け止めていらっしゃるんでしょうか。

舞台もドラマもそうですけど、自分1人ではエンタメの作品というのは成り立たないと年々痛感しています。監督を筆頭に、スタッフさん、共演者のみなさんと一緒に、いろんな人の力を借りながら、作品を作っているんだな、と。

撮り終わった後も、たくさんの人に観てもらうためには、どうしたらいいんだ? と考えますし、こうやって取材していただいて、映画の存在を知ってもらうっていうことも、映画作りの一環だな、と感じているフェーズです。ご縁を大事にして、みんなで日本のエンターテインメント業界を盛り上げてるんだっていう意識を真摯に受け取ってやっていくべきなんだ、ということは今、とても大事にしていることかもしれません。

――このあとはNetflixシリーズ『イクサガミ』も控えています。遠藤さんは岡田准一さん演じる主人公・愁二郎の弟という重要な役どころですね。

『イクサガミ』は端的に言うとバトルロワイヤルの幕末バージョンみたいなお話です。

僕が演じる祇園三助は愁二郎の義理の弟なんですけど、弟たちも理由あってデスゲームに参加することになります。デスゲームと並行して、兄弟はなぜデスゲームに参加しているのか描かれるので、その点にも注目していただければ。

あとは、今回岡田さんがプロデューサーであり、アクションプランナーという立ち位置でやられているんですけど、見たことがないダイナミックな、日本のエンターテインメントの水準を一段も二段もアップさせるようなアクションが見どころだと思います。そこをみなさんにぜひ体感していただけたら嬉しいですね。

――注目も集まっている作品ですよね。

この間、アフレコがあって少し映像を観たんですけど、本当にすごい映像になっています。今までの日本のエンターテインメント芸術の中でもみなさんの脳裏に焼きつくようなドラマになってると思います。本当に楽しみにしていてください。

写真を撮ることで映画の観方が変わる

――遠藤さんと言えば、ご自身のYouTubeチャンネルでフォトウォークをされるなど、写真にも造詣が深いかと。今、好きなだけ時間があるとしたら、どこに旅行に行って、どういう写真を撮りたいですか?

写真をはじめたのが去年の末からだったんですね。

で、去年は撮影や映画祭でといった仕事で韓国やタイ、カナダなど海外に行かせていただく機会が多かったんですけど、その時はまだ写真をやっていなかったんですよ…!

やっぱり写真を撮りたかったな、という思いがあるので、もう一度行って写真を撮りたいです。特に、カナダのトロントはすごく素敵なところでした。シティはシティでキレイですし、冬に行ったらまた良さそうだな、と思ったり。ナイアガラフォールズは言わずもがな、素晴らしいロケーションでした。もう一度行きたいですね。あとはフランスも行ってみたいです。

――遠藤さんが感じる写真の楽しさはどういうところですか?

映画を観るのも好きなので、まず映画の観方が変わる、というのがひとつあります。やっぱり写真と映画の映像技術ってすごく通ずる部分があって。こういう画角でこのレンズのサイズで撮ってるんだ、ということがわかるとすごく勉強になります。

あとはフォトウォークをしていると、街や景色の見方が変わるんです。この時間にしか撮れないこの瞬間を切り取りたいな、とか。歩いてるだけで、街の見え方が変わるのは写真のおもしろさですね。

もうひとつは、僕はライカというメーカーのカメラを愛用させていただいてるんですけど、ライカファンってすごくライカに対しての思いが強いんですよね。『イクサガミ』の現場でも岡田さんがライカで写真を撮っていたり、『男神』のエグゼクティブプロデューサーさんもライカが大好きで。僕はそのお二方の影響で写真を撮りはじめたんですけど、ライカという共通言語で話が盛り上がるっていうのはコミュニケーションのひとつとして、素敵なところだな、と思います。

――最後に。遠藤さんは“キレイな人”と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?

やっぱり人の気持ちが分かる人じゃないですかね。端的に言うと、真心を持った人がキレイな人だと信じたい。人の気持ちをしっかりと感じて、そこに対してきちんと愛を与えられる人。男性も女性も関係なく、そういう人はとても素敵な人なのかな、と思いますね。

Profile
遠藤雄弥

1987年生まれ、神奈川県出身。2000年に映画『ジュブナイル』で映画初出演。近作に映画『辰巳』『朽ちないサクラ』『室町無頼』『名前、呼んでほしい』など。映画『辰巳』では高崎映画祭にて最優秀主演俳優賞を獲得。9月19日公開の『男神』ほか、舞台『ちゃんと死にふれる』の出演やNetflixドラマ「イクサガミ」、映画『仏師』などの公開を控える。

■『男神』作品情報
2025年9月19日(金)公開
出演:遠藤雄弥
彩凪翔 岩橋玄樹 須田亜香里 カトウシンスケ
監督・脚本:井上雅貴
原案:「男神」(八木商店)

©2025「男神」製作委員会

撮影/Marco Perboni
取材・文/ふくだりょうこ

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