【古屋呂敏】実家のあるハワイ島は「魂が浄化される」場所
INTERVIEW

2025.06.16

【古屋呂敏】実家のあるハワイ島は「魂が浄化される」場所

モデル、俳優、フォトグラファーとして活躍している古屋呂敏さん。俳優として目覚ましい活躍を見せる中、6月には自身が撮り下ろした写真集「MY FOCAL LENGTH」が発売され、さらに写真展も東京、大阪で開催予定です。

古屋さんが写真を撮り続ける理由とは? さらに、自身の故郷であるハワイについても語っていただきました。

友人たちの笑顔がフォトグラファーとしての原点に

――最初に写真や映像といったクリエイティブな活動に惹かれたのはいつごろだったんですか?

記憶があるのは大学の卒業旅行ですね。友だちと僕の3人で韓国に貧乏旅行をしたんです。その時にトラベルムービーを作ったのがきっかけでした。当時は何もわからず、iMovieで編集して作ったものを友だちに見せたら大爆笑だったんです。それを見て、作るのって楽しいな、これだけ人が喜んでくれるんだ、と思ったのが原点ですね。

――それからカメラを手にされたんですね。

もとから写真を撮ることは大好きでした。モデルの仕事をして、プロのフォトグラファーさんと関わりを持つようになってから、自分もカメラを手に取ってみようと思いました。ちゃんと向き合い始めたのは、7~8年ぐらい前ですね。モデルをやめようかな、軌道修正したいな、という時に、周りの友だちを撮り始めて本格的にのめり込んでいきました。

――撮ることだけでなく、カメラ自体を触るのもお好きなんですか?

ガジェット系が大好きなので、機材貧乏です。財布の中は少ないですけど、いろんなカメラに囲まれてるから幸せです、それだけでごはんが食べられます!(笑)

カメラ本体があれば次はレンズの沼もあって、それが終われば「こんなフィルターがあるのか!」というフィルターの沼もあって…もう首の上ぐらいまで沼に浸って出られなくなっています(笑)。

写真がなかったら“すごくつまらないやつ”だったと思う

――この約7~8年の中で、だんだん古屋さんらしい写真が作られているのでしょうか?

そこが結構、僕の中では壁というか…今まではクライアントワークがとても多かったんです。答えがある中で撮影することが多いと、意外と自分の色が出しづらいんですよね。個人的にモノクロが好きだから、それは印象としてはあるのかなと思うんですけど、あんまり自分のスタイルはないのかもしれません。

――こんな写真を撮りたいという願望はまた別であるのでしょうか?

一つひとつの撮影で求めるものはあるんですけど、SNSで知名度を得たカメラが好きな方々とは少し違うかもしれません。世界観を作るのが上手な方と、求められる写真を残せるカメラマンとではジャンルが違うというか。

旅系のクリエイターさんはたくさんいらっしゃいますけど、その方々がファッション写真を撮れるかというとそういうわけではありませんし。僕はどちらかというとクライアントさんが求めるものを答えとして出すことのほうが今まで多かったんですよね。

色味というよりは、被写体をキレイに写すだとか、そういったところに特化しているかもしれません。

――6月には写真集の発売、写真展の開催があります。そこでは古屋さんのこだわりが見られるんでしょうか?

「MY FOCAL LENGTH」というタイトルにも付随しているんですけど、僕自身、写真を撮る、撮られるというよりは、「世界との距離感」に重きを置いているので、写真集では「今、僕が見たい景色、世界はこうなんだよね」ということを問題提起しています。例えば、カメラで、フォーカスをぐるっと一回、マニュアルで回すだけで見ている景色が変わってきます。意外と人って無意識のうちに見たいものを見ているよね、というところにフォーカスしているので、写真によっては何を撮っているか分からない写真もあったり、シャッタースピードを遅らせて、流れの中でそれが生きていることを表現したい、というものもあったり。1枚1枚、こだわって意味づけをして撮っている写真が多いですね。

――普段はどういった時に写真を撮られるんですか?

カメラは基本的に持ち歩いているので、心が動いたらなんでも撮ります。アンテナが多くなっている気がしますね。そこからまた絞られていく気がします。ああ、これが好きだなぁって。

――今は、段階としてはどのあたりでしょう?

どのあたりなんでしょうね。いつか振り返った時にわかるのかもしれません。もし半年後に写真集を作ったらたぶん全く違う表紙を使ってるだろうし、全然変わってくるんだろうなと思います。

――本当に今のご自身が映し出されているんですね。

この夏、3作品の撮影に入るんですけど、それが終わったらまた変わるでしょうし、それが僕でもあるし。写真集の中にはテキストも載せていて、自分が伝えたい言葉もわりと入ってるんです。自分が見たい景色と、人が見たい景色が違うし、といったことを問うているので。まさに自分にも聞いている感じがします。

――写真が古屋さんに与える影響ってどういったものなんでしょう?

写真がなかったらすごくつまらないやつだったと思うんです。本当に彩りを与えてくれました。出会い、機会、いろんな可能性を生んでくれたのが、やっぱり写真です。大げさに聞こえるかもしれませんけど、本当にカメラで人生変わったというぐらい、僕にとっては大事な大事な出会いでしたね。

ハワイは大地から力が感じられる

――古屋さんといえば、ハワイとも関わりが深いかと思います。ずばり、古屋さんが考えるハワイの魅力は?

僕、実家がハワイ島なんですけど、みなさんがイメージするハワイって、やっぱりワイキキのビーチだったりすると思うんです。でも、本当のハワイはもうとんでもなくローカル。星空だったり、ジャングルだったり、今でも活火山では溶岩が流れていたり。自然が豊かな“THE ハワイ”がそこにはあって、時の流れが遅い島なので、魂が浄化されるというか。大地から力を感じることができるのが魅力のひとつだと思います。

――王道とコアなハワイのおすすめポスポットをそれぞれ教えていただけますか?

僕自身、ハワイ大学にいる時にインターンでコーディネーターをしていたんですよ。12人乗りのバンを運転して、案内していました。そこで最初に行くのがやっぱり火山です! キラウェアという火山が王道です。あと、キラウェアにワイナリーがあるんですよ。もしお時間があったら、ワインを何杯か飲んで帰るのもありかな、と。

――ハワイにワインのイメージがあまりありませんでした。

コーヒーのイメージのほうが強いですよね。わりとフルーティーな飲みやすいワインが有名です。

コアな場所はサウスポイントですね。ハワイ島の最南端なんですけど、アメリカ合衆国の最南端でもあるんです。そこが崖のようになっているんですけど、バカな僕たちはそこから海に飛び込んで楽しんでいました。

海は本当に青々としていて。その横にグリーンサンドビーチという緑のビーチがあるんです。これも結構レアなんですけど、岩の性質上、波で削られて砂になった時に、入ってる成分によって緑に見えるんですよね。そこもローカルな方たちが好きな場所ですね。

アバンギャルドな作品の方が出たい

――俳優業のお話も聞かせてください。昨年はドラマ「恋をするなら二度目が上等」のご出演など、目覚ましい活躍がありました。今はご自身の俳優としての立ち位置をどのように感じていらっしゃいますか?

他の役者がしないことをやれる役者でいたいと思っています。誰かが蹴るんだったら、僕がやるよ、と。なので、あまり作品を選んだりはしないですね。むしろアバンギャルドな作品のほうが出たいです。

――今後こういう役をやってみたい、というのは?

人間臭い役をやってみたいですね。そういう表現ができる場があれば挑戦してみたいな、と思います。お芝居の仕方も見せ方も違うでしょうし。今、本当にありがたいことに男女の関係を描いたドラマにたくさん呼んでいただいているので、そこはもっともっと突き詰めてやってみたいなと思います。まだまだ答えが見えてないなと思うので。

――奥が深いですか?

僕個人も、いくつになっても異性のことがよく分からないですし。逆もしかりじゃないですか。「男ってなんやねん」「ふざけんな」と思うこともあるでしょうし。同じように、僕も芝居と向き合ってます。「なんやねん」「これ、どういうことやねん」と。でも、「いや、こういう人もいるんだな」とも思うんですよね。うまく混沌とした思いを表現できたらいいなと思っています。

――俳優業とフォトグラファーとして、2足のわらじを履いていらっしゃる形ですけど、メンタル面にどのようなメリットがあると感じていらっしゃいますか。

飽き性なので、両方やっていかないと保てないんですよ。役者ばっかりやっていたら、多分メンタルが潰れると思います。撮っていることによって心のバランスを保っているんですよね。

ハワイ出身なのでやっぱり少しポカンとしてると思うんですよ(笑)。楽観的ですし、自由が好きなんです。多分、単純に自分が好きなことを好きなようにできる環境が好きなんでしょうね。フォトグラファーの時って自由なんです。自分が撮りたい写真は自分の思うように撮れるし、自分を軸として人生、未来を操縦できる。

――ご自身でうまくバランスを取られているんですね。

自分の機嫌を取るのが実はうまいんだな、と最近気が付きました。自分でこうやって保ってたんだ、と。

――では、最後に、“キレイな人”と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?

生き方がまっすぐな人。

もちろん、生まれ持ったものもありますけど、外側を美しくすることってできます。でも中から生まれるまっすぐさというのは、時間がかかるものです。そこがまっすぐな方はやっぱり美しいとか素敵だな、キレイだなぁと思いますね。

Profile
古屋呂敏

1990年生まれ、京都府出身。俳優に留まらず、フォトグラファーや映像クリエイターとしても活躍。主な出演作にドラマ「VIVANT」「恋をするなら二度目が上等」「東京タワー」など。現在はTELASAで配信中のウェブドラマ「続・BLドラマの主演になりました」に出演している。また、ROBIN FURUYA名義での写真集「MY FOCAL LENGTH」が発売中。

■写真展『MY FOCAL LENGTH』
ニコンプラザ東京 THE GALLERY
2025年6⽉17⽇(⽕)〜2025年6⽉30⽇(⽉)
ニコンプラザ⼤阪 THE GALLERY
2025年7⽉10⽇(⽊)〜2025年7⽉23⽇(⽔)
10時30分~18時30分
日曜日休館/最終日は15時まで

撮影/金井尭子
取材・文/ふくだりょうこ

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