2024.10.30
ベトナムで心躍るものを見つける旅【ハノイ編】
by Kana Sato vol.8
ブランディングディレクター、コンサルタントとして活躍する佐藤香菜さん。世界各国を旅して見つけた“本当にいいモノ”を見極める審美眼を持ち、SNSで発信する丁寧な暮らしが同世代から熱い支持を集めています。そんな佐藤さんが、普段愛用しているコスメやいま気になっているモノ、旅先でのエピソードなど、美容からライフスタイルまで赤裸々に語ってくれる本連載。
第八回は、「ベトナムで心躍るものを見つける旅【ハノイ編】」についてお話いただきました。
旅欲はある日突然やってくる
今回は4泊で行ったベトナム旅の様子を前編・後編に分けてお届けします。
10月1日出発、ベトナム航空で降り立ったのはハノイ。午後の早い時間に到着する便で向かったので、到着してすぐにホテルに向かい荷物を置いたら、すぐに街中を散策する時間を作ることができました。
今回宿泊したのは【La Belle Maison】ハノイ中心部のホアンキエム湖の上部に面したプチホテルです。コンビニエンスストアのサークルKに入り、レジの横にある階段を登っていくと、そこに秘密の扉が出現! ここをあがるとホテルのフロントがあるのです!
ここから先は別世界が広がっており、わたしの大好きなインテリアのテイストだったため、即決したホテル。
質の良い建材を使った美しい部屋で、純銅製のバスタブはシャワーとは別で部屋に設置されてい ます。銅製品はベトナムの伝統工芸でもあり、案内してくれたホテルのスタッフさん曰くこだわりポイントなのだと教えてくれました。今回はこのホテルに2泊してハノイを観光し、2泊目の夜に寝台バスに乗って移動し、北部の中国国境近くの街サパに向かいそこで1泊、またハノイに戻ってから帰国というスケジュールです。
ハノイで必ず行きたい、素晴らしいBar
わたしはお酒をたくさん飲むわけではないのですが、お酒のある空間は内装含め大好きで、今回絶対に行こうと決めていた場所があります。それがこの【The Haflington】アジアのBest Bar100に選ばれたこちらは、古い建物の入口から階段を上がったところに隠れ家のように存在します。天井から陽の光が入るので夕方頃に行くのがおすすめ。天井からは恐竜の模型が吊るされ、店内には蝶や鳥の標本があり、まるで探検をしている気分になるインテリアデザイン。
ここで働くスタッフさんは本当に楽しそうに誇りを持って働いていることがわかる雰囲気で、それがこのバーの心地良さの秘訣なのだと思います。あまりに気に入ったスポットで、実はベトナム滞在中に2度訪問しました。帰国するフライトの 前にいただいたのはこちら。
なんという美しさ! 「灼熱」という名前のカクテルは貝殻でできた器に入っています! 1522年、実在したエルカーノというバスク人はたくさんの船員をのせた船であのマゼランよりも先に世界一周を実現したそうですが、その時に通ったインド洋ではあまりの暑さに乗組員は大勢が亡くなり、飢餓や渇きに苦しんだのだとか・・・。このカクテルはそんなハードな物語をテーマにしているのですが、日本人にも馴染みのあるワサビやシソのアクセントが効いた甘酸っぱい美味しさ。
わたしがこれを飲んでいるとき、お隣にはオーストラリアからやってきたカップルがいて、この器を見て「そのカクテルはどれ!?」と目を輝かせていました。この器が素敵すぎてちょっと欲しくなりスタッフの方に聞いてみたのですが、オリジナルで制作したものだそうです。一人でも気軽に入りやすいバーなので、ぜひハノイに行かれたときは訪問リストに入れてみてくださいね。
お茶とともにゆっくりするひとときを
以前、中国のハルビンを旅したときのコラムでもお茶の専門店を紹介しましたが、今回のハノイ でも楽しんできました、お茶の文化! 【Thưởng Trà Tea House】ここはベトナム各地の茶葉を楽しめます。あまりキレイとはいえない古い建物でちょっと生臭さすら感じる階段を上がると、いきなり現れるのがこのお店。清潔で美しい店内が広がっています。
茶葉はお湯を注ぎ足していけば、その風味の変化を楽しみながらいつまでも抽出できるため、1時間では到底時間が足りません。ゆっくり時間に余裕を持ってこのお店で過ごすのがおすすめ。
窓から見えるローカルな景色と街の音を聞きながら、歩き疲れた足を休めて次の行き先を考えたり、親しい人とおしゃべりしたり、居心地の良さそのものを楽しみたい場所です。
ハノイでのお買い物
ハノイでの滞在ですが以前よりは物価が上がっているとは言え、ベトナムはまだまだ飲食代はリーズナブル! 普段ヨーロッパ旅が多かったわたしとしては、ベトナムではクレジットカードを頻繁に使っていても「あ、まだこれしか使ってない♪」という安心感があったのでした(笑)
ハノイにもお買い物スポットはあるものの、そこまで欲しいと思うものは多くなく、これはお金使わないで済むな~と安心(?)していた矢先、入り口をみた瞬間ビビッときて入ったこのお店で見つけてしまったのです・・・素敵な品々を!
【Silky Vietnam】その名前の通り、ベトナム国内で生産されているシルクを用いた衣類を扱っています。エシカルな製法や製造過程にこだわっており、染色をする際の染料も環境負荷がない天然のものを使用。よって色合いが優しく、純白はもちろんベージュや優しいピンク系など、光沢の美しさが引き立つものばかり。
わたしが一目惚れして購入したのはこちらのスカーフ。大判で首元にたっぷりボリュームを出せるサイズのシルク生地に手描きの紫陽花が。日本円にして16,000円ほどなので現地では高級品ですが、これが日本ならばもっと高価なはずで、価値あるお買い物となりました。
汚してしまいそう・・・なんて心配もあるけれど、いつか着てみたい白のアオザイ。アオザイは本来自分の身体に合わせて採寸して作る、ぴったりとボディラインに沿うように着るオーダーメイドが主流。このお店にあるものも細身で、だからこそ美しかった・・・。痩せねば。
少し涼しくなったころのベトナム観光であれば、こんなシルクのアオザイを着て街中を散策するのが良さそうです。
大切な歴史を知る場所
ハノイにはいくつかの博物館がありますが、わたしが心からおすすめしたいところをご紹介します。それが【ベトナム女性博物館】で、アジアで最も興味深い博物館25にも選ばれています。
ベトナムは19世紀にフランスの侵略によって植民地であったことは有名ですが、第二次世界大戦でフランスがドイツに占領され始めると、そのドイツの同盟国であった日本がベトナムに攻め入りフランスに代わって支配することになりました。ベトナム独立を願う現地の人々は日本軍の力を借りてフランスの勢力を追い出そうとした流れもあり、その後1945年に日本が降伏するとそのままベトナムに残り、独立戦争に加わった日本兵も多かったそうです。というわけで日本人にとっても無関係ではないベトナムの歴史ですが、このベトナム女性博物館は、その激動の時代を生きた女性たちの目線で、歴史を伝えています。 夫や子供を失った母親の中にはベトナム独立のために武器をとってゲリラ戦に参加した女性も多 く、この博物館に入ってすぐの展示ではその女性たちの写真が壁一面に掲示されています。
ゲリラ戦の最中に捕らえられ、獄中から我が子に送った色鮮やかで繊細な刺繍作品は、地球の周りを取り囲むように手を繋いだ子供の柄。戦いに参加していたとはいえその理由や願いは大切な人のためを思ってのことで、そもそもこの独立戦争は他国からの侵略がなければ起きなかったこと。あるべきものを、あるべき姿にそのまま尊重していたら、何も問題などなかった。現在の世界情勢もそうですが、報復の連鎖はいつまでも続き、それが収まるころにはどれだけの犠牲が出るのか。過去を知ればわかるはずなのに本当に悲しいものです。
ベトナムは山岳地帯に住む少数民族が54ほど存在し、それぞれがとても美しい文化を持ってます。この女性博物館にもたくさんの民族衣装が展示されており、地域ごとに違う衣装のディティールを細かく見ることができます。
少数民族の衣装はもちろん素敵なのですが、わたしは特にシルバーアクセサリーが大好きで、もともといくつか持っていました。博物館に掲示されているこの女性のように重ねづけも素敵ですが、今回は実生活で取り入れやすいシンプルなタイプを購入。ハノイ中心部の骨董品を扱うお店で見つけました。アルミ製なのでとても軽く、少し曲げられるので首にフィットします。
ベトナム女性博物館を見ながら、わたしが20代の頃アーユルヴェーダのドクターが仰っていた言葉を思い出しました。
「歴史上、自分の銅像を作った女性はいません。死んでもなお自分の名前や功績を残したいと思うのは男性のほうであり、女性は今この時が大切で、今を生きている。」 言い回しは少し違いますが、このようなことを仰っていました。 自分の幸せと、大切な人の幸せが何より大切で、それを拡大していくパワーがあるのが女性なのだとしたら、わたしは女性に生まれて本当に良かったと、改めてそう思わせてくれる博物館でした。
ハノイに行かれた際はぜひ、訪問されてみてくださいね。
Branding Director 佐藤香菜
株式会社マッシュビューティーラボにて、オーガニックのコスメとインナーケア製品のセレクトショップ「Biople by CosmeKitchen」の立ち上げとディレクションを行ったのち、独立。ブランディングディレクター・コンサルタントとして多数の企業の製品企画立案、製品プロデュースから販路拡大に携わる。オーガニックコスメを巡る旅の様子はNHK「世界はほしいモノにあふれてる」への2度の出演や、Instagramアカウント @kana__sato622 で発信している。
>>vol.01 1人で旅する時間で気づくこと
>>vol.02 大人になった今だから本当の友人に出会える
>>vol.03 5月のパリ旅行記 おすすめグルメスポット!
>>vol.04 中国・ハルビン旅行記ーグルメ編ー
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>>vol.07 石垣島のNEWホテルで過ごす、癒やしの旅へ