【俳優・田中真琴】思い描く「なりたい大人像」は周りの友だちとは全く違うものだった

【俳優・田中真琴】思い描く「なりたい大人像」は周りの友だちとは全く違うものだった

9月28日(土)に公開となる映画『ほなまた明日』。

主人公は芸大生のナオ。写真家を目指す彼女は、才能に溢れ、その道をまい進していました。そんなナオの才能を認め、応援しつつも、同級生の友人たちは己を顧みて迷いも生じ…。夢にむかって切磋琢磨する芸大生の想いを繊細に描いた青春物語です。

ナオを演じる田中真琴さんに、演じる上での苦悩、ご自身の想いについてお話いただきました。

「イヤなやつに見えないように」

――完成した作品を観ていかがですか?

好きな映画だな、と思ったのが正直な感想ですね。自分が出ているシーンは、もちろん現場で感じていたんですけど、それ以外については試写で初めて観て、「こういうふうにほかの役者さんたちがこの映画を作っているんだな」と感じました。散らばっていたピースが頭の中で初めてまとまったので感動しましたね。

――演じていた時と、観た時のギャップはありましたか?

私のもともとの顔立ちがはっきりしていることもあって、ナオがただの性格の悪い人だとか、イヤなやつ、という見え方になることを私も監督もすごく恐れていたんです。

セリフを活字で見るとあまりにも言葉が強すぎるし、言い方や言う人のキャラクターによって印象が変わります。イヤなやつに見えないようにキャラ作りをしたり、どうしたら人に愛されるんだろう、だとかをずっと考えていたんです。だから、作品として観た時に、「ただの性格の悪い人」には見えていなくて、本当に周りの役者さんやスタッフさんに助けていただいたな、と思いました。

――全く「イヤなやつ」には見えなかったです。

本当ですか? それこそ役者同士でも相談していたんです。「この台詞を言うこと」が許されてしまう彼女の持ち味をどこに出すのかとか…。きちんと考えて使い分けをしないと効果的でもないし、だからと言って弱い人に見えてもいけないし、そのバランスが複雑で、難しかったですね。

表現をするのが難しかったナオの隙

――道本咲希監督とお話された中で、印象に残っていることはありますか?

山田という男の子が甘えてしまうようなところを探そう、ということですね。器の大きさとか懐の広さとか、山田はどうしてナオに心を開いて甘えるのか、を見つけるのが難しかったんです。

ナオが写真に真っすぐ向き合っている中で、どこに男の人が甘える隙があるのか、それを私がどういうふうに表せるのかが難しくて。明らかに、ナオが山田を上回る懐の深さでなくちゃいけない、と言われたんですけど、ナオはたぶんそんなことを考えない、と私は思っていたんです。にじみ出て、懐の深い人になっているんだと思っていたんですけど、それをどうやってナオの中に落とし込むかは、監督と結構話しましたね。

――確かに、ナオが山田を受け入れるのか、というのは驚きました。

意外な感じがしますよね。それが山田とナオが2人でいるシーンで、お客さんを納得させられるものが必要ですし。多分、監督は最初からそれを考えていろいろおっしゃってくださったんですけど、写真しか見ていない人が恋愛をするという違和感や矛盾が私の中にはどうしてもあって。

――そこがナオの人間らしさにも繋がっていますよね。

結局、人は弱いところがある生き物で、別にそれがいい、悪いではなくて、だからこそ精神的に健康でいられることももちろんあります。100%真面目な人であることがすべてじゃないので、そういう意味でも写真を撮ることだけを描いているわけではない、ということは、この作品のいいところだなと思いました。

子どものころはちょっと浮いた子だった

――ナオと友人たちの、言葉がなくてもヒリヒリするような空気感が印象的でした。才能がある人がそばにいると焦ったり、悩んだりもするかと思いますが、田中さんご自身は似たような経験はありますか?

あまりないんですよね。それこそ中学、高校の時は何のクセもない選択をする人が周りに多かったんです。高校を卒業したら大学に行って、大学に行ったら企業に勤めて…という人生を選択する人が多いがゆえに、「それがしたいと全く思えない私、やばいのかな」という焦りはありました。

――逆の焦りなんですね。

私が思ってる「なりたい大人」と同い年の子が描いている大人の未来像が違いすぎて、「私の人生にはもう先がないんじゃないか」というぐらい思い悩んじゃったんです(笑)。

その時に親と話したら、「別に高校辞めたかったら辞めてもいいんだよ」という話だとかをいろいろとしてもらって、ようやく自分らしく生きる決心がつきました。逆に諦めがついたというか。誰かの期待に応えなきゃとか、誰かをびっくりさせてはいけないとか、そういうものから解き放たれた時期ではあります。

ただ、上京してきて本当に天才だなって思う人たちをいっぱい見ても焦らないんですよ。私には無理だしって諦めちゃいます。自分ができることは絶対に諦めないでやりたいけど、人と比べるという感覚は昔からあまりないのかもしれません。

――今、SNSもあったり、人と比べやすい環境ですよね。そこに惑わされずに。

今まであまり、惑わされたことがないんですよね。流行りにもあまり興味が持てなくて。時代遅れだと言われても、好きなものは服でもずっと着ちゃいますし、音楽もそうですし。多分こだわりが強いから人と合わせられないんです。

それは子どもの時から身に付いていたもので、ちょっと浮いた存在だと言われてきたから「それでいいや」と思ってしまっているところがあるんだと思います。

オーディションを受けた時に、どっちが良くて、どっちが悪いか見られてしまうし、私も落ち込む時もあったんですけど、落ち込んでる理由を考えたら「自分ができなかったこと」についてだけなんです。変に影響されないので、そういう意味ではこのお仕事に向いているのかもしれません。

――ご自身の財産って感じですね。

確かに、SNSもどこの枠にもはまらない使い方をしていて。女優さんは女優さんの、インフルエンサーさんはインフルエンサーさんの「らしい」ものだと思うんですけど、どっちもいいところを取って、なんか好き勝手やっちゃってるところとか、私らしいなって思います。欲張って良くない? って。それで嘘がなければいいのかなって考えていて、これからも多分、好きなことをやっていきますね。

優しさの連鎖を信じてる

――作中では、メイクされていないのでは、と思うぐらいにナチュラルで。

化粧は、よっぽどのところだけ、コンシーラーで隠していただいて、あとは薄くしてましたね。

――普段、こだわられてるスキンケアや美容アイテムはありますか?

そんなに肌が綺麗なほうじゃないのですごく悩んでいたんです。それこそ、この作品の撮影後ぐらいから、ニキビがたくさんできるようになってしまって。片っ端からスキンケアを試したんですけど、ダメでした。今は病院で内服薬をいただいて、治している最中です。

結局、臓器の健康度が肌に出ると思っているんです。冷たい食べ物が大好きだったんですけど、食べなくなって…。そうしたら食べなくても問題なく過ごせるようになりました。内臓は冷たいのに体が熱いから、ずっと変な自律神経で夏を過ごしてしまって。やめてから体温調節も上手になったし、多分それが肌荒れにも繋がっているのかな、と思っています。

本当に世の中って、肌荒れに悩んでる人と悩んでない人の差がありますよね。私は肌悩みをたくさん感じてきたから、解決策を見つけたら発信したいと思っています。

今は、ティッシュで顔を拭くこと、シャワーを顔に当てないこと、自分に合ったクレンジングを探す、そしてよく洗う、残らないように洗い流す、を徹底してます。

――メンタル面も大事かな、と思うんですが、普段はどのようにリフレッシュされているんですか?

友だちとお酒を飲みますね。たしなむ程度に酔うのが好きなんです。

あと謎解きが好きで。5年ぐらいやっているんですけど、いわゆるリアル脱出ゲームというものですね。謎解きに友だちと参加すると、魔王を倒したり病人を救ったりヒーローになれるんですよ。それがすごく楽しくて。普段なら味わえない達成感やわくわく、スリルが味わえて、イヤなことを忘れられるんです。

嫌な空気って体にくっついてきて、纏ったまま24時間を過ごしてしまうんですけど、1回謎解きに行くと全部吹っ飛ぶんです。ひらめきだったり計算だったり、漢字を思い出したりとか、脳を使わなきゃいけないので、余計なことが自然と離れていくんですよ。だから今、一番のリフレッシュ方法ですね。

――お祓いみたいですね。

本当にお祓い! 時間制限があるんで、ウジウジしていられないし、運動をしたあとみたいな爽快感があります。

――最後に。田中さんご自身は人と関わる上でどのようなことを大事にされていますか?

やっぱり私って間違いの多い人生を歩んできたなと思っていて。それで私が他人に対して思うのは、「間違ったら謝ろう」ということです。

間違えるのは本当にしょうがないことだから、反省やフォローすることが大事だな、と。私も楽しく話している時に誰かを傷つける話をしちゃったかなと思って、今まではどうしようか悩んでいたんですけど、帰ってLINEやメッセージを送って、「さっきの言い方悪かったよね、ごめん」って言ったら、気にしてくれたことが嬉しい、って言ってくれる人が多いんですよね。これって逆にマイナスどころか、プラスじゃない? と思って、積極的に言うようになりました。

思ってる以上に、人に優しくしたら相手も優しく返してくれる。本当に優しさの連鎖を信じて、今生きてます。優しいことが返ってきたらいいなって。

Profile
田中真琴

1995年生まれ。京都府出身。大学時代にミスコンでグランプリに選ばれたことから、ロックバンド・感覚ピエロのMVに出演。俳優活動を開始する。主な出演作に、 「インビジブル」「夕暮れに、手をつなぐ」(ともにTBS)「ミス・ターゲット」(朝日放送・テレビ朝日)、映画『道草』、舞台「背信者」など。

■『ほなまた明日』作品情報
2024年9月28日(土)より全国順次公開
出演:田中真琴 松田崚汰 重松りさ 秋田卓郎
大古知遣 ついひじ杏奈 越山深喜 ゆかわたかし 加茂井彩音 福地千香子 西野凪沙
監督:道本咲希
脚本:郷田流生 道本咲希
©ENBUゼミナール

<衣装>
ドレス¥104,500
(ミューラル/ザ・ウォール ショールーム
靴¥11,900
(チャールズ&キース/チャールズ&キース ジャパン
ピアス¥28,600
(アミティエ・クレディール/ロードス:03-6416-1995)
バングル¥3,900
(soie/ロードス:03-6416-1995)

撮影/芝山健太
取材・文/ふくだりょうこ

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