2024.09.26
【ギリシャ】世界が注目する長寿国!無形文化遺産「地中海食」とは
ギリシャは、エーゲ海とイオニア海に浮かぶ数千もの島々を擁するヨーロッパ南東部の国。
首都のアテネといえば古代文明が生まれた地であり、語り継がれる神話の世界を思い浮かべる方も多いはず。そんな4000年の歴史を辿ると、豊かな食文化が生まれた地でもあることがわかります。
今回の舞台は、燦燦と降り注ぐ太陽、どこまでも広がる真っ青な海と空は、誰もが一度は訪れてみたいと思う憧れの景色「サントリーニ島」。現地より、ギリシャの食文化をお届けします!
「地中海食」とは?
ギリシャ料理は、スペインやイタリア、モロッコなどの国々の料理とともに「地中海食」と呼ばれています。
それらが栄養学的にバランスの良い優れた食文化として知られている理由は、「チーズ、ヨーグルト、オリーブ、季節の野菜と果物、魚介、穀物・豆など植物性の食品」が豊富に食卓に並ぶため。旬のものや栄養価が高い食材を使った、身体に負担の少ない調理法なんです。
「無形文化遺産」に登録された食文化
2010年に「無形文化遺産」に登録され、健康的で長寿のヒミツともなる食文化に世界中から大きな関心が寄せられています。
健康に良いとされる特徴は、新鮮で豊かな食材を生かした、ヘルシーでカラダに優しい料理であること。
- ・オリーブオイル、魚介類……オリーブの消費量は世界一。悪玉コレステロール値を下げる効果がある不飽和脂肪酸を多く含んでいる
- ・赤身肉(牛肉や豚肉など)をあまり食べない……飽和脂肪酸の摂取量が少ない
- ・野菜や果物、ナッツ……抗酸化作用が強いものを多く摂取する
- ・主食に食物繊維が多い全粒穀物(大麦、オーツ麦など)……食後の血糖値上昇やコレステロールの吸収が穏やか
- ・ハーブ、スパイスをよく使う……体調を整える際にハーブティーを飲む文化
- ・ワイン……食事と一緒に適量を楽しむ。白ワインはカリウムが豊富でミネラルバランスが良いと言われている
登録の際に注目されたのは、”食”だけでなく、大勢でテーブルを囲み語り合い、音楽に合わせ踊りながら食事のひとときを楽しむ地中海沿岸地域の”文化”も評価されています。やはりゆっくりと誰かと食事を楽しむことは最高のリラックスになりますね。
カラダが喜ぶギリシャ料理
【「タベルナ」Taverna】
まずギリシャ料理と切っても切り離せないのが「タベルナ」。レストランよりカジュアルな「食堂」のことで、伝統的なタベルナはメニューが用意されていないことが多く、採れたての野菜や新鮮な魚介類を使ったその日のメニューや、実物を見て決めることができます。様々なギリシャグルメが堪能できるスポット。
【「タラモ」Tarama】
たらこのような魚卵をベースに、レモン果汁と玉ねぎ、たっぷりのオリーブオイルを混ぜてペースト状にした前菜。全粒粉などのピタパンとの相性抜群! 日本でいう「タラモサラダ」と音は似ていますが別物で、ギリシャでは「タラモサラ”タ”」と呼びます。
【「ザジキ」Tzatziki】
ヨーグルトはギリシャ人にとって必要不可欠な食材で、家に必ず常備され自家製もあるのだそう。
これは、通常ヒツジまたはヤギの乳から作る水切りヨーグルトに「キュウリ、ニンニク、塩、オリーブオイル、胡椒」を加えたもの。酸味とキュウリの爽やかな味わいが特徴のディップソースです。
お肉との相性がよく、肉の油っこさを取り除きスパイスをマイルドにしてくれます。
なんとザジキはジェラートのフレーバーにも登場するほど人気な国民食。また、ジェラート店にはザジキ味に加えオリーブフレーバーも存在します。さすがオリーブ消費量世界一…!
【「ハロウミ」Grilled haloumi】
ヒツジ・ヤギ・牛などの混乳で作られるギリシャの伝統的チーズ。古代ギリシャ語で「海の塩」を意味する「アルミ」に由来しているのだとか。グリルすると芳ばしく、中はモキュッとした食感がやみつきに。塩気があるのでパンと合わせてもおいしいです。
【魚のグリル】
タベルナで提供される魚は重量で価格が決まります。その日仕入れたピチピチの魚を見せてもらい、好みの食材を選び、調理方法も相談しながらメニューを決めます。
骨をキレイにとってテーブルへ。塩、胡椒、オリーブオイルをかけていただきます。レモンを最後にたっぷりとかけるのがギリシャ式。
【「カラマリ」Calamari】
ヘルシーと言われる所以は、調理方法にも。グリルが最も多く、フライでもフリットのように衣が最小限。イカのフリットはカラマリと言い、日本でもメジャーですね。歯ごたえがプリッとしてジューシー。
【「ムサカ」Mousssaka】
ギリシャの伝統食といえば「ムサカ」。パスタを使わないラザニアのような料理で、ソテーしたじゃがいも、ナス、トマトを使い、ミートソースとホワイトソースを交互にしきつめ焼いた野菜たっぷりの一品。
【「ギュロス」Gyros(左)/「スブラキ」Chicken Souvlaki(右) 】
数少ない肉料理のうちでも人気の2種。ギリシャではビタミン豊富で低カロリーな、ヤギやヒツジ、鶏の肉をよく食べます。味付けは塩・胡椒・ハーブなどのスパイスで脂身は少なめなのでとても食べやすいですよ。
【粉末状のギリシャコーヒー】
ギリシャ人はコーヒーを良く飲むそうで、細かく砕いたコーヒー豆をフィルターを通さず小鍋で煮るため、ポリフェノールと抗酸化物質が多く含まれていると言われています。朝食にも登場し、フルーツやヨーグルトなどと簡単に済ませる方が多いそうですよ。
【世界で唯一の栽培方法のギリシャワイン】
ギリシャと言えば白ワイン。サントリーニ島のブドウの95%は“アシルティコ”という白ブドウで、ギリシャワイン自体の歴史は5000年ほどあり、イタリアやフランスよりも長いのだとか。
乾燥した土地でもブドウは育ちやすく、ブドウの枝で輪を作った背の低いバスケットの中に房を入れるようにして風から守り栽培します。この手法は「世界でここだけ」なんだそう。
島は火山が噴火し塵積もったカルデラ。ミネラルたっぷりの火山灰質土壌で育った高品質なワインを味わったり、ワイナリーを訪れるのもオススメですよ。きっと素敵な思い出になるはず。
ギリシャをもっと身近に
気になるお料理はありましたか? 世界一といわれる夕日や壮大な景色と一緒に食べるギリシャ料理は格別! 次の旅行先の候補にいかがでしょう。
まだまだ日本にはギリシャ料理店は少ないですが、カラダが喜ぶ野菜たっぷりの和食にも通づるものがあります。もし見つけた際は、ぜひご紹介した食文化も思いを馳せ楽しんでみてくださいね。
参考文献
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/chichukaishoku-tokucho.html
https://chichukairyori.blogspot.com/p/blog-page_7.html
ドイツ在住の元CA。システムエンジニアを経て客室乗務員となり、退職後2023年より家族とドイツに住む。学生時代に台湾留学でマスターした中国語と英語に加え、現在はドイツ語の資格取得に挑戦中。異文化交流と新しい体験を求めて、世界中を旅するグルメ探究者。旅先で味わった料理を自宅で再現するのが趣味。ドイツを中心にヨーロッパでの暮らしと旅情報をお届けしていきます。
Instagram:@wakana_log/@wakana_log_germany
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