SERIAL STORY

2024.09.30

札幌来たらここに寄って!雄大な北海道を堪能できるおすすめスポット

元TBSアナウンサーで、現在は故郷・札幌を拠点にフリーアナウンサーや文筆家としてご活躍のアンヌ遙香さんによる連載「now HOKKAIDO by Anne Haruka」。

第二回は、先日アンヌさんが訪れて感銘を受けたという「石山緑地」について。熱量溢れるアンヌさんの文章をお届けします。

北海道観光をするにあたって、白銀の深雪に包まれた冬が良いのか、それとも溌剌とした生命力にあふれた緑豊かな夏を満喫するべきなのか…北海道の良いところは、春夏秋冬がはっきりしていて、それぞれの魅力が尽きないというところでしょう。

雪が降る前に、今こそ駆け込みでお勧めしたいとっておきの場所があるのです。実はその場所、地元の人であっても、意外とぴんとこない…そんな知られざるスポット。今回は特別に伝授いたしましょう!

20年本州で生活し、故郷である札幌にUターンした私からしますと、改めて北海道は素晴らしい公園が多いことに気づかされます。全国区で有名なテレビ塔のある大通り公園に至っては、夏はビアガーデン、秋はオータムフェスト、クリスマスの時期にはホワイトイルミネーションやクリスマスマーケット、そして2月には言わずもがなの雪祭りと、普段は多くの人々の憩いの場である大通り公園があっという間に四季によって表情を変え、多くの人がお金を落としていく…。そういった公園の有効活用の仕方が、本当にうまいな!となんだか感心してしまっている今日この頃です。 

次の大きなイベントはクリスマス市。姉妹都市であるミュンヘンの本場のクリスマスマーケットをそのまま大通公園に持ってきたかのような本格的なものとのことですが、恥ずかしながら私はまだそのクリスマス市なるものを体験したことがありません。今からとっても楽しみ! キレイノートでもしっかりご報告させていただきます。

第二回のテーマは…「石山緑地」 

さて、公園をうまく活用して新たな魅力を作り出すと言う北海道の良さが現れているとっておきの公園。今日ご紹介するのは札幌市南区にあります石山緑地。 

重ね重ねお伝えしますが、地元の方でも、実はあまりぴんとこない… という方もいれば、大好き! 素敵すぎるから、あまり全国区の記事にしないで!! 人がたくさん来ちゃう! なんてことも言われてしまったくらい、知っている人と知らない人との間でその印象に雲泥の差が出るところなのです。

元々この地は札幌軟石の産出地。石切り場跡地です。札幌軟石とはかつて道内の建物に多く用いられた、開拓時代の礎を成した存在。実はその採掘場跡地はずっと荒れたまま残されていたのでした。しかし、道内在住の彫刻家から成る造形集団「CINQ(サンク)」が立ち上がり、構想、設計。そして1996年に開園したというれっきとしたアートスポットなのです。

中央部分、木の向こうにトンネルの入り口が!

広大な敷地内には、石切り場で使われたであろうトンネルなどもそのまま残っており、その上には浸食が進む火山灰層まで。

この石山緑地、恥ずかしながら、たまたま近隣で別取材をしており、次の場所へと足を運んでいる途中に、思いがけず通り掛かったというのが私にとり初の邂逅。噂には聞いていましたが、あぁこれが石山緑地なのか! 時間もあるし、写真を撮っておこうかな…くらいの軽い気持ちで足を踏み入れたのですが。瞬く間にその魅力、魔力にやられてしまったのです。

入り口にはラピュタを思わせる不可思議な巨大な噴水も。

この日はちょうど抜けるような青空の日、こんもり生い茂るグリーンの中に抜けるようなスカイブルー、そしてラピュタ。噴き出す水の透明な煌めきが眩しい! こんなすごいオブジェがあったのか?! 目にするものすべてが新鮮で、とにかく私は大興奮。

極め付けはローマの遺跡コロッセオを想起させる、独創的な石舞台。 

こんな無国籍な古代遺跡のようなものが札幌にあったなんて!と、ひとり、リュックを地面に置いて方々を走り回り、撮影の手が止まらない、という、うちから湧き出る情熱に私はどうしようもなくなってしまったのでした。

こちらでは薪能が執り行われたり、なんとあの野村萬斎さんが上演されたことまであったとのこと。この不可思議かつ圧倒的スケール感のある空間で薪能を観るだなんてなんという贅沢! 良いに決まっている! 今年は夏に行われたそうですが、チケットはあっという間に売り切れたと耳にしました。

とにかく、いわゆる「映え」には事欠かない最高の撮影スポットであるのはもちろん間違いないのですが、それを凌駕するような、スピリチュアルな表現を敢えてするならば「土地からぐんぐん湧き立つエネルギー」を、実際の採掘場跡および新しく設置されたアート作品を媒介として全身で感じることができるような不思議な魅力があるのです。

なんと入場は無料。有料にしても良いくらいのクオリティで、かつ犬の散歩までOKということに驚き。ワンちゃん連れで札幌を訪れるなら必ず必ず足を運んでいただきたいマジカルスポットといえます。

石山緑地周辺は基本的には住宅街ですが、 バス通りが近くを走っているため、最高に美味な飲食店、しかもなかなかの穴場スポットが点在していることに気づきました。

北海道の魅力、その2。公園につづき、実は古民家カフェも充実しているというところも重要なポイント! 昔ながらのレトロ喫茶店のみならず、古民家をカフェ仕様にリノベーションしたオシャレスポットが至る所にあるのです。

北海道は、どこで何を食べても美味しい、ということに異論がある方は少ないとは思いますが、地元産食材を用いた、味良し、雰囲気良しなお気に入りの隠れ家が必ずや見つかるはず。今回とっておきの場所をご紹介しましょう。

石山緑地入り口から徒歩30秒のところにある「cafe M.O.B.」。 築45年の民家をコツコツとリノベーションされたという店主こだわりのお店。

畑を作り、薪ストーブを焚いてゆったりとした時間を提供してくれているのみならず、 無農薬自家栽培を中心とした道産の農作物と健康に育った肉や卵を使用。素材の良さを活かした安全でシンプルなお料理を楽しめるという、キレイノート世代にはたまらないカフェレストランです。

畳の部屋もあるのでいわゆる昔ながらの古民家感はあるのですが、なぜか南イタリアに旅行に来ているかのような木漏れ日の柔らかさと快適さ。私がお邪魔した日はオリジナル汁なし担々麺をいただきました。 

お野菜の量がとにかくすごい! 店頭には、目の前の畑からつい数時間前に収穫したというお野菜や胡桃などがきれいに並べられており壮観です。 

北海道ならではの素材の良さが十分に発揮された、身体が喜ぶ汁なし担々麺は絶品。心地よいピリ辛具合も癖になりそう。麺まで手作りだそうですが、そのモチモチ具合が忘れられません。

ぜひ多くの方に知っていただきたい名店です。

札幌に旅行に行くのだけどおすすめはどちらですか? と問われて、第一に石山緑地を挙げる人はなかなかいないかもしれません。

しかし、 観てよし、森林浴によし、撮影によし、グルメもよし、ワンちゃんもよし。札幌市内にありながら、雄大な北海道の良さを存分に感じることができる最高の場所です。ぜひ足をお運びください。

Profile
アンヌ遙香

1985年生まれ。北海道出身。2010年より小林悠名義でTBSでアナウンサーに。現在は札幌を拠点にフリーアナウンサー、文筆家、スクール講師などとして活動している。ゴールデンレトリバーの愛犬と仏像をこよなく愛す。
Instagram:@aromatherapyanne

>>vol.1 今だから知ってほしい!北海道民が「六花亭」をおすすめする理由

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