<ひさご寿し>地産地消の旨味が凝縮した「滋賀料理」を味わう #巡る滋賀
滋賀県の最大の魅力といえば、滋賀県の代名詞でもある日本最大の湖・琵琶湖。その他、国宝の「彦根城」やユネスコ世界文化遺産の「比叡山延暦寺」など一度は訪れたい観光スポットもまた有名です。
でも、それだけではありません。有名観光スポット以外に焦点を当て深掘りすると、まだまだ知られていない注目ポイントがたくさん! それを知らないなんてもったいない…!
この連載では、「現地の方がおすすめしたいスポットやお店、それをつくるヒトの魅力をていねいに取材し、お届けする滋賀の観光ガイド“巡る滋賀”」の情報を発信していきます。
滋賀県への旅のきっかけやガイドブックとなりますように…そんな思いを込めて滋賀県の新たな魅力をお伝えします。
地産地消で伝える「滋賀料理」。近江八幡にある「ひさご寿し」が伝えたい、滋賀に潜む「豊かな鄙び」とは?
寿し・日本料理店 「ひさご寿し」のお品書きを開くと、目に飛び込んでくる「滋賀料理」というワード。これは、地元・近江八幡でとれる食材にこだわり、地域に根付いた食文化を現代風にアレンジした料理のことで、2代目の料理長・川西豪志さんが生み出しています。
川西さんは、2015年にはミラノ万博の日本食チームメンバーを務め、日本庖丁道清和四條流の師範でもあるという経歴をお持ちの方。「滋賀料理」には、琵琶湖に生息する湖魚や地元の野菜を扱っているという特徴があります。これにはどんな背景や想いがあるのでしょうか?
「ひさご寿し」が、地産地消の魅力に出会うまで
「持ち帰り予約していたのですが」「お待ちしておりました〜」。
近江八幡市にある「ひさご寿し」。大通り沿いのお店には、オープン時間になると、続々とお客様が訪れます。二人連れ、家族連れ、中には一人のお客様も。リピーター客が多いといいます。
2代目料理長の川西さんが力を入れているのが、滋賀県ならではの素材を生かした地産地消の和食。滋賀県食文化財「あめのうおご飯」を〆にいただけるお弁当「あめのうおご飯松花堂」は、お店のイチオシメニュー。その内容は、琵琶湖で捕れたビワマスの炊き込みご飯やお刺身、季節の湖魚の佃煮、近江牛のきんぴら煮、地野菜を使ったサラダや煮物など、まさに近江づくし。
ほかにも、持ち帰り定番メニュー「上方寿司」は、手土産にも食卓のごちそうにもなる極上の寿司三昧。ここにも、ビワマスの箱寿しや湖魚を扱った琵琶湖棒寿司などが用意されています。
「創業時から、湖魚や地元野菜のメニューがあったのではなく、少しずつ増えていきました」と川西さん。どのような経緯で、今の「滋賀料理」スタイルが築かれていったのでしょうか?
「ひさご寿し」は、創業した昭和35年、「ひさご」という小さな食堂からスタートしました。地域の方々が集まるような和食店に育っていくなかで、寿司の提供も行うようになり、いつしか仕出し・出前の寿司として人気を博すようになったといいます。
そんな地元を支える名店を2代目として継いだのが、川西さんでした。近江八幡生まれで、学生時代から、将来は料理の仕事がしたいと考えていました。
「調理師専門学校への進学をぼんやり考えていたのですが、ひょんなことから、ひさご寿しの料理人の募集を知り、身内に勧められて働き始めました。偶然の出会いですね」。こうして18歳から、料理人としてのキャリアが始まり、女将との結婚を経て、導かれるように人生が進んでいきます。
「数年間の有馬温泉での旅館勤めを経て、近江八幡に戻ってきたときに、その地域らしい日本食とはなんだろうと改めて考えたんです。ある時、京都の中央卸市場で菊菜を注文したら、近江八幡産の菊菜が届いたんです。地元で採れたものなのに、わざわざ経由しなければ手に入らないことにちょっとした違和感を感じたんです。近所で新鮮なものを直接買いたい、と思ったのが大きなきっかけです」
地産地消という言葉がまだ珍しかった2005年頃は、地元野菜の流通も未発達。地元の食材の買い付けのために、しらみつぶしに農家にコンタクトを取りましたが、なかなか取り合ってくれない状況……あるとき、近江八幡市が実施していた「近江八幡こだわり食材産地直売軽トラ市」に足を運んだことがきっかけで、やっとのことで農家さんに出会えたといいます。
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