2023.06.10
腸を整える美味しい習慣。タイのフルーツを使った、発酵ジュース作り
neo食堂
これから夏を迎える今、キリリと冷えたエンザイム(=酵素)ジュースが美味しい季節です。毎年家で作っている、という人もいるかもしれませんね。
今回は、北タイ・チェンマイにある「neo食堂」が主催する、タイ流・酵素ジュースのワークショップに参加してきましたので、その様子をレポート。また、「neo食堂」のオーナーのひとりで、発酵への探求と発信を行う牧野恵子さんにお話も聞きました!
「neo食堂」について
北タイの古都・チェンマイの住宅街にある、日本から移住した牧野夫婦が営む「neo 食堂」。日本の伝統的な発酵食品である「麹(koji)」を軸に調味料を手作りし、さまざまな料理に生かして提供する日本食のヴィーガンレストランです。不定期で発酵やクッキングクラスも開催し、チェンマイから食の大切さを発信しています。
またミシュランにも掲載されており、現在チェンマイの掲載店のなかでは唯一の菜食の店だそうです。
エンザイム(酵素)ジュースとは
フルーツや野菜、ハーブを砂糖で漬けることで、砂糖がそれらの栄養素を取り込み発酵したものが酵素ジュース。砂糖のみで摂取するとこれが体内で起き、体の栄養素が排出されてしまうことが懸念されています。ですが、酵素ジュースの場合は「砂糖も発酵によって別のものに作り替わっているから、大丈夫」と恵子さん。
酵素ジュースは酵素を美味しく摂取できるのはもちろん、発酵食品でもあるため、飲み続けると腸内環境が整うというメリットも! また旬の素材を使うことで、その季節に体が必要とする栄養素を美味しく摂ることもできます。
店内には常時7~8種類の酵素ジュースが並び、減ってくると、そのとき手に入ったフルーツや旬のフルーツで新しく漬け込み補充されていきます。
「体は食べるものでできている」ことから、体に入れるものに気をつけた食生活の提案をしている「neo食堂」の恵子さんが教えてくれる「エンザイムジュースのワークショップ(WS)」に参加してみました。
参加者は5人、バンコクからの参加者も!?
本日の参加者は、私を含めて5人です。ワークショップのたびに遠路はるばる参加されるという、タイ人のご友人同士と、チェンマイに最近越してきたという女性などが集まり、終始和気あいあい。
食に関心が高いという共通点があって集まった私たち。今回は日本人の私が参加したことで、「日本ではMSGや添加物ってどうなの?」「タイのオーガニックに対する意識はこうだよ」などと、食に関する情報共有が飛び交います。
さぁ、一緒にエンザイムジュースジュースを作っていきます!
用意するもの
本日のエンザイムジュース、主役素材はマンゴー! 「タイらしいものを」とリクエストしたのもありますが、特に今はアップルマンゴーの季節だそう。季節の素材を使うのは、エンザイムジュース作りのコツのひとつなのです。
【材料】
・100%ココナッツシュガー
・フルーツ(今回はアップルマンゴーとオレンジマンゴー、レモン)
・消毒用アルコール
・瓶(漬け込み用)
これらの材料はすべて恵子さんが用意してくれますので、参加者はメモ用の筆記用具と参加費のみを持参します。
アップルマンゴーは爽やかな酸味があり、オレンジマンゴーは甘さが強め。この2つを一緒に使うことで、味のバランスがとれて深みが出るのです。
また砂糖について、「砂糖はココナッツ100%のものを使って。ときどき、ココナッツが何割という表示もあるので気をつけて」とのアドバイスが。今回使うのはもちろん100%ココナッツシュガーで、味見するとコクと深みのある甘さがクセになる美味しさ!
1. フルーツ(食材)のカット
今回は緑色のアップルマンゴーと一般的なオレンジマンゴーがたっぷり用意されていました。「アップルマンゴーは旬で、大家さんの庭からもらってきたのよ!」と恵子さんが教えてくれます。
まずこれらの皮を剥き、カット。恵子さんが見本を見せてくれて、同じようにするのですが、今回の参加者は私以外全員がタイ人のため、マンゴーの扱いは慣れたもの。おしゃべりに花を咲かせながらも確実に手を動かし、大量のマンゴーをあっという間にカットし終えました。
続いてレモン。タイでは日本で見る黄色のラグビーボール型のレモンではなく、真ん丸の形の「マナ」が一般的だそうで、今回もそのレモンが用意されていました。
皮を剥いて、薄い輪っか状にスライスし、その後ランダムにカット。小さいので、手をすべらせないように気をつけます。
2. 材料を量る
料理と違って目分量でするのではなく、エンザイムジュースは慣れていても材料はしっかりと量ることが大切です。恵子さんも、試行錯誤を繰り返し今の割合にたどり着いたのだとか。
酵素ジュース作りは、一般的に「フルーツ:砂糖=1:1.1」が主流です。ですが恵子さんいわく「南国のフルーツは糖度が高いから、それでは甘くなり過ぎる」と教えてくれました。「砂糖が7~8割で十分。砂糖の方が少ないのが特徴です」。
今回もマンゴーとレモンを合わせて1kg、砂糖が800gで8割でした。
3. 重ねて詰める
材料がそろったら、次は各自の瓶に詰めていきます。
瓶はあらかじめアルコールで消毒をします。今回はお酒が用意されており、ナプキンで瓶の内側をぐるりと消毒。「あまり神経質にやらなくても大丈夫」とのこと、大らかに楽しむのもコツのようです。
いざ、重ねて詰める工程へ!
フルーツ、砂糖、フルーツ、砂糖とミルフィーユのように交互に詰めていき、最後に砂糖で蓋をするように被せるのだと教えてもらいました。「できるだけギュッギュッと上から押し込むように詰めるのがポイント」だそう。フワフワと材料が浮かないよう、少し力を込めて押すように詰めていきます。最後に蓋をして完成です!
このとき、瓶の上に少しスペースができるようにしておくことが大事。発酵が進み発生するガスで、瓶の蓋を押し上げる可能性があるためです。
ワークショップ後はおまちかねランチ
ワークショップの後は、実際に「neo食堂」で提供されているエンザイムジュースを、この日お店にあった8種類から好きなものを選んで飲むことができます。
さらに発酵食材をたっぷり使ったランチを、マイナスイオンたっぷりのテラスにていただ
きます。
楽しみにしていたランチ、まず出されたのはその名も「ドレッシング」という、人参のノンシュガードレッシングがたっぷりかかったフレッシュなサラダ。
続いて、水キムチスープの冷麺(この日はそうめんで)、オーガニック米の研ぎ汁を使った豆乳ヨーグルトと、エンザイム搾りかすパイナップルジャムのデザートまで!
いつからが飲み頃?
完成した瓶は各々持ち帰って、一日一度はスプーンで混ぜて発酵を待ちます。
小さい泡がふつふつと発生し発酵が進み、飲み始められるのは10日くらいから。14日以降に冷蔵庫に保管すると一ヶ月まで飲めますが、長く寝かせすぎるとアルコールは含まれないものの発酵により「お酒のような匂い」が強くなるので、あまりおすすめしないとのことでした。
また、手で混ぜた方が手の常在菌が入っていい、などの発信をよくみかけるため質問してみると、恵子さんいわく「うちのスタッフは手でやってるけれど、どちらでもいい。毎日混ぜるのはスプーンでもいいかな、雑菌が入りやすいので」と。これは、南国タイの暑さからも納得の理由です。
・その後…
持ち帰った酵素ジュースですが、3日目くらいから瓶の蓋を開けると発酵の匂いが、ふわっと立ち上るように。5日目くらいにはシュワシュワと泡が立ち上り始めました。待ち切れず、一週間頃から少しずつ飲み始めてしまったのですが、すでに美味しい…!
恵子さんいわく「10日頃から飲み頃」とのことでした。もちろん、気温にも左右されるためこれはチェンマイの場合です。日本の冬だと2週間くらいかかるので、泡の立ち方を見て臨機応変に判断するといいですね。
さらに、今回作ったような小さな瓶は発酵の進みが早いのだそうです。
飲み方はお好みで!
「neo食堂」ではグラスに酵素ジュース100cc、ソーダ水150~180cc、そして氷を入れて飲みます。ただ「氷は溶けるから濃いめで作るのがおすすめ。でも私は一気飲みするから薄め。つまり好みで作って調整してね」とアドバイスをもらいました。
マンゴーのエンザイムジュース、完成したので飲んでみたら、発酵特有の深み酸味が出てとても美味しい! マナを入れたためか甘すぎず、ごくごく飲めてしまいます。
そして、エンザイムジュースを飲んだ後のフルーツ(搾りかす)は味的に食べられるものと、食べられないものがありますが、マンゴーは美味しくいただけるそうです。「凍らせてシャーベットにしてもいいし、ジャムにもできる」と教えてもらいました。
最後に
日本でも酵素ジュースを作ったことはありますが、南国の原料を使い仲間たちと作ったのは初めての体験。
「neo 食堂」の恵子さん曰く、こうしたワークショップを通して「ヴィーガンでもそうでなくても、より多くの人が取り入れられる健やかな食生活を広めたい」とのこと。そのシンプルさが、ハードルを下げてくれるのかもしれないと感じました。
なにより美味しい上、内側から「キレイ」をサポートしてくれる酵素ジュース、気になったらぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
旅するように暮らす自然派ライター/オーガニック料理ソムリエ。
4年に渡る世界一周後、オーストラリアに移住し約7年暮らす。コーヒー好きが高じてオーストラリアではバリスタ業の経験も。今は繊細でフルーティーな浅煎りコーヒーに夢中です。ライターとしては旅行誌の広告制作を経て、雑誌広告や編集ページを主に執筆。現在は自然に沿った生き方、ほどほど丁寧な暮らしを自ら実践しながら発信中。地球にも体にも優しい生き方のヒントをお届けしていきます。
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