フレンチガストロノミーに舌鼓。名門・志摩観光ホテルでリトリートステイ
LIFESTYLE

2022.09.17

フレンチガストロノミーに舌鼓。名門・志摩観光ホテルでリトリートステイ

志摩観光ホテル ザ ベイスイート

大人女子旅のデスティネーションとして不動の人気を誇る伊勢志摩エリア。都心から新幹線で90分、さらに名古屋から特急列車に乗って120分、と決して好アクセスとは言い難い立地ではあるものの、足を伸ばしてでも定期的に訪れる人が多くいるのは、その地に圧倒的なパワーと魅力があるから。

二千年を遡るいにしえから、神に選ばれし特別な場所として存在していた伊勢志摩には、今もなお海と森が織り成す複雑で繊細な原風景が残ります。

画像:外務省提供

2年ぶりに訪れた伊勢志摩で、今回宿泊先として選んだのは「志摩観光ホテル ザ ベイスイート」。1951年に美しい英虞湾を望む地に誕生して以来、伝統を受け継ぎながら常に進化を続け、2021年(志摩観光ホテルとしては)開業70周年を迎えました。又、まだ記憶に新しい2016年の「G7伊勢志摩サミット」では開催会場として世界中にその名を馳せました。

志摩時間に浸る、充実のアクティビティ

伊勢志摩国立公園内という自然豊かな立地を活かして、季節に合わせたアクティビティも充実。夜空に輝く星空を楽しむ星空観察会、英虞湾をプライベートボートで遊覧するラウンジクルーズ、フィッシング、シーカヤックツーリング、サイクリング、ヨガ、ゴルフなど自然を満喫するアウトドア体験から、真珠を施したバッグチャーム作りや伊賀組紐など三重の伝統工芸に触れる体験まで、一泊ではとても足りないくらい魅力の宝庫。

この半島にゆったりと流れる時間に身を委ねながら、五感を心地よく刺激していくうちに不思議と軽やかに。大自然の中で心と身体を解き放つ、1泊2日のリトリートステイをご紹介します。

送迎サービスとチェックイン

近鉄賢島駅からホテルまでは車でわずか3分。「ザ ベイスイート」宿泊者は事前予約で専用車による送迎サービスを利用できます。

晴れ渡った青空の中、ぐんぐんと坂道を登っていくとゲートが見えて来ます。志摩観光ホテルは広大な敷地内に3つの建物を有します。右手には昭和を代表する建築家・村野藤吾氏設計の「ザ クラシック」、左手には開業当時の面影を残すパブリックスペース「ザ クラブ」、そしてさらに進むと、今回滞在する「ザ ベイスイート」に辿り着きます。

この辺りの静寂な森や穏やかな英虞湾に呼応するかのように、なんとも落ち着いた佇まいで私たちを迎えてくれます。

ふとエントランスの天井に目をやると、パールを散りばめたオブジェが飛び込んできました。そう、英虞湾は日本有数の真珠の名産地。エレベーターの手すり、館内案内のプレート、天井から垂れ下がるカーテンなど、館内の至るところに真珠が施されていて、目を楽しませてくれます。

ロビーラウンジのソファに案内していただきチェックインの手続きを。ウェルカムドリンクのハーブティーでホッと一息。

外に見える水盤は一見プールのように見えて観賞用だというのもなんだか贅沢。太陽がキラキラと水面を照らして、列車に揺られて遥々訪れたゲストを温かく歓迎しているよう。

リアス海岸の風景を望む全室スイート

「ザ ベイスイート」の50ある客室は、全室バルコニーを設えた約100㎡の広さを誇るスイート。世界の高級ホテルのデザインを手掛ける「ハーシュ・べドナー・アソシエイツ」社による、スタイリッシュモダンと日本の伝統美が見事に融合した空間。

美しい英虞湾を望むビューバス

リビングとバスルームの窓からは、複雑に入り組んだ島々と海面が織り成す英虞湾の美しい風景を望めます。

ミキモトコスメティクスのバスアメニティ

バスアメニティは、パールモイスト配合の「ミキモトコスメティクス」。艶やかで潤いに満ちた真珠のような肌に。

客室を広く照らすFROS社のフロアライト
冷蔵庫のドリンクは全てコンプリメンタリー

悠然としてどこか神秘的な時の流れを感じながら、書斎のようなリビングで読書やコーヒー、リモートワークなど、思い思いの時間を過ごせます。

宿泊客だけが往来できる2つのラウンジ

「ザ クラシック」と「ザ ベイスイート」、2つの宿泊棟それぞれにあるゲストラウンジを滞在中は行き来できるのもまた魅力。宿泊客はカードキーがあればアクセスできます。

●ザ ベイスイートラウンジ

ザ ベイスイートの最上階にある宿泊者専用ラウンジ。窓際席からは眼下に生い茂る緑と水盤が望めます。スナックやプティケーキ、三重の銘菓「関の戸」も。

ドリンクはコーヒー、紅茶、ソフトドリンクも充実。アルコールはシャンパン、ワイン、ビール、三重県の地酒も。※時間によって変更あり

ラウンジからは屋上庭園にアクセスでき、各国の首脳たちが記念撮影をしたサミットフォトスポットがあります。

●ザ クラシック ゲストラウンジ

ザ クラシックの2階にある宿泊者専用ラウンジ。自宅のようにくつろげる静かな空間で、デッキからは英虞湾の景色が一望できます。特筆すべきは「リーディングルーム」と「リスニングルーム」を併設していること。

数百冊の本に囲まれたリーディングルーム

ブックディレクターの幅允孝さん監修、三重や伊勢志摩にまつわる書籍を中心に揃えたという数百冊の中から、お気に入りの一冊を見つけて読書に没頭しても良し。

季節や時間帯に合わせて音楽が流れるリスニングルーム

CD700枚、レコード80枚のコレクションを誇る完全防音・貸切利用のリスニングルームでは、デンマークのDALI社製の高音質のスピーカーから流れる音に包まれ、思いのままに音楽に浸るのも良いでしょう。新たな音楽との出会いがあるかも。座り心地を追求したソファもまたここで過ごす時間をよりいっそう贅沢なものにしてくれます。

伊勢茶シロダーラを体感できるオートクチュールスパ

「ザ ベイスイート」2階の「eau SPA(オー・スパ)」では、伊勢志摩ならではのエッセンスを融合したオートクチュールトリートメントを体験できます。“eau”とはフランス語で“水”を表すことから、水をモチーフにした演出が特徴的。

部屋に足を踏み入れるどこからともなく聴こえてくる水のせせらぎが、これまでの心身の緊張やストレスを一つ一つ解いてくれるよう。

まずは伊勢志摩の水にちなんだおもてなしからスタート。生きていくうえで必要不可欠な水にこだわり、内側からも取り入れることで本来の自分を取り戻すという。

●第一の水のおもてなし

日本銘水百選にも選ばれたという天岩戸(天照大神が隠れたという洞窟)から汲んできた湧き水で手を清める。木箱の上に手をのせて、揉み手をして馴染ませる。とろみのある美容液のような軟水。伊勢木綿のタオルで拭き取る。

●第二の水のおもてなし

沖縄産の黒糖をベースに100種類以上の野菜、果物、海藻、穀物を酒蔵で熟成して発酵させた酵素ドリンクを伊勢志摩の水で割ったものを飲む。

●第三の水のおもてなし

神棚を作るのに使用しているのがヒノキの木材であることから、ヒノキの精油を中に入れる。伊勢に300年以上続く地酒「老緑(おいみどり)」を入れた酒湯のフットバスに足を浸す。

今回体験するのは、シグネチャーでもある「eau SPA Splendide 真珠の輝き 90分」(※前日までの予約制)

ボディトリートメントに加えて、豊かな香りを蓄え、茶葉そのものに力があるとされる伊勢茶を使用したシロダーラ・ヘッドが含まれます。そのエネルギーを吸収したシロダーラオイルを額から垂らし、深い癒しと精神の平穏をもたらします。

「eau Spa Splendide 真珠の輝き 90分」

1.お水のおもてなし

2.カウンセリング

3.香りを選ぶ

4.フットバス

5.ボディトリートメント

6.アイケア

7.シロダーラ・ヘッド

カチカチという火打ち石の音でトリートメントがスタート

もう一つ特徴的なのは、トリートメントの開始の合図として、火打ち石で3回ほど切り火をすること。厄祓いや邪気を祓うための日本古来の風習で、カチカチという音はなんだか清々しく、気持ちがスッとするよう。

ボディトリートメントにはeauバランシングオイルを。アーユルヴェーダアロマセラピーの思想に基づいて誕生したオイルで、植物の成分がギュッと濃縮されていて香りがダイレクトに感情にアプローチされます。今回は「エナジャイジング」をセレクト。オレンジやローズウッドをブレンドした、すっきりリフレッシュするような香り。

セラピストの指先や手のひら、腕を巧みに使い、ゆったりとしたリズムでボディ・マインド・スピリットにアプローチ。身体本来のバランスをベストな状態へと導いてくれます。カウンセリングをもとに重点的に行う箇所を変えたり、身体の状態を見て足元にホットストーンをのせて温めたり、その場で臨機応変にアレンジしてくれます。

仕上げにフランス発の「BIOLOGIQUE RECHERCHE(ビオロジック ルシェルシュ)」のボディクリームを腕と足元に塗布することで、高保湿で肌にハリと弾力を与えてくれます。

アイケアとヘッドマッサージでは、額から目元まわりのツボをじっくり刺激しながらマッサージすることで、深いリラックス状態に。血行を促進し、頭皮環境を整えます。頭皮の筋肉のコリをほぐすことで、頭皮ケアやリフトアップ効果も。

シロダーラ・ヘッドは、アーユルヴェーダのシロダーラにインスパイアされたメニュー。前日から伊勢茶の茶葉の茎の部分を使って抽出してブレンドしています。体温より少し高い温度のシロダーラオイルを額から静かにゆっくり垂らし続けることで、一種の瞑想状態をもたらし、神経をリラックスさせます。髪と頭皮に残ったオイルは客室に戻ってから浮き上がった汚れと共に洗い流します。

施術後にはレセプションで甘生姜茶と三重県産メロンのシャーベットをいただきます。甘茶に金時生姜を使用していて、ほのかな甘みと辛みが体にやさしく沁み渡り、ポカポカ温まります。

四季折々に美しい表情を見せる英虞湾に囲まれながら、全ての生命力の源である水からエネルギーを受け〈ボディ〉〈マインド〉〈スピリット〉のバランスを取り戻していく、この地ならではのスパ・エクスペリエンス。音、香り、照明に至るまで工夫を凝らし、その一つ一つにあらゆる感覚が研ぎ澄まされるよう。

今回のシグネチャー以外に、フェイシャル、メンズ、マタニティメニューなどもあり、幅広い層が体験できます。

館内には大浴場があり、完全予約制・貸切で利用可能。ドライサウナや個室に仕切られたシャワールーム、女性用には温気浴室「テピダリウム」も。入浴して身体を温めてからスパトリートメントを受けると相乗効果が期待できます。

ミシュラン一つ星シェフが紡ぐ伝統と革新のフレンチガストロノミー

館内の5つあるレストランから、夕食は「ザ ベイスイート」5階にあるフレンチレストラン「ラ・メール」にていただくことに。

「日本の夕陽百選」にも選ばれた英虞湾の夕景はぜひこのレストランから拝みたいところ。秋冬の時期は特に美しいサンセットを見ることができるとか。

今回は、“海の幸フランス料理”を心ゆくまで堪能できるコース「Elegance」を。英虞湾の海を思わせる藍色のメニューを開くと「自然の恵みに感謝の気持ちを込めて 繋がるすべての思いがお皿の上に届きますように」というシェフからのメッセージが。

手掛けるのは、伊勢志摩サミット開催時に若き女性総料理長として話題となった樋口宏江氏。ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版にて「ミシュラン一つ星」を受賞した実力派シェフ。

せとか、かぼすなどの柑橘類、大根、ブリ、カツオ節など、従来のフランス料理ではあまりお目にかからない和の食材を取り入れてフレンチの技法で昇華する樋口氏の料理に魅せられ、足繁く通うファンも多いとか。

伊勢海老クリームスープ。器に伊勢海老のコンソメを卵で固めたロワイアルや伊勢海老の身を入れて、上からスープを注ぐスタイル。

各国首脳が感嘆の声を上げたという、伊勢海老クリームスープや鮑のステーキといったスペシャリテをはじめ、地元三重の豊かな食材を主役に、伝統を大切に守りながらも、時代に合った新たな挑戦が垣間見える美食体験がそこにあります。

英虞湾に沈みゆく夕陽を眺めながら、静かに自分と向き合い、地元で獲れる素材に敬意を払い、素材の醍醐味を活かした料理の数々に舌鼓を打つ。なんて優雅な晩餐なのでしょう。

伊勢志摩の鹿の低温調理と鹿のコンソメのジュレ。ビーツのソースを添えて。
あおさを練り込んだバターとブレッドはこの地ならでは。
ガス海老のクープ。トマトムース、アボカド、甲殻類のジュレ、せとかの泡が層になって美しい。
尾鷲産カンパチと大根 柑橘風味。バターでポワレ。せとかのシロップ煮のスライスがアクセントに。
鮑と春キャベツ 白ワインソース ロールキャベツ仕立て
黒毛和牛フィレ肉備長炭焼き トマトのコンソメとともに
伊勢茶とイチゴを使ったデセール
カヌレ、マカロン、ギモーヴ、タルトが並ぶプティフール
「ラ・メール」をはじめホテル内の全ての料飲施設を統括する総料理長・樋口宏江氏

メニューは2ヶ月に一度変わるそう。樋口氏自ら生産者のもとに出向いて、使える食材を活用しながら、四季折々の味覚や色彩を感動と共にゲストに届けてくれます。

力仕事で男社会とも思われがちなフレンチの世界で、華奢でやわらかな雰囲気さえ醸し出す女性総料理長の存在は、現代の女性の社会進出やエンパワメントの観点においても日本国内にとどまらず、世界から今後も益々注目されることでしょう。

志摩のエネルギーを感じるモーニングヨガ

翌朝は宿泊者限定で朝7時から90分間、無料でリラクゼーションヨガのクラスを定期開催。初心者でも安心して参加できる内容になっています。

あたたかな朝の日差しを浴びて、海風を肌に纏い、伊勢志摩に流れる大自然のエネルギーを感じながら、深い呼吸に合わせてゆっくりと体を動かしていく。次第に身体が目覚めていくのがわかります。中秋の名月には満月を見ながらヨガイベントを開催予定。

※通常フィットネスジム室内で開催。

28,000坪の広大な敷地を朝散歩

朝の散歩もおすすめ。伊勢志摩国立公園の中に約28,000坪もの広大な敷地を誇る、志摩観光ホテルの3館を結ぶ自然の散策道では、野鳥や草花との思わぬ出会いがあるはず。

橋を渡って緑豊かな森を抜けると、海上の守り神として信仰される金刀比羅宮が祀られています。賢島の守り神として地元の人々も多く参拝します。ホテル開業前の昭和5年から現在の地に鎮座し、毎年10月には秋の例大祭が開かれています。

伊勢神宮の恵みを味わう滋味溢れる朝餉膳

朝食は和食「浜木綿(はまゆう)」にて。着物を美しく召されたスタッフさんに案内されて奥の窓際のテーブルへ。朝の英虞湾はいっそう穏やかで幻想的な空気に包まれています。

目覚めの一杯はオレンジかリンゴのジュースから。胡麻豆腐や野菜浸しなど6種の小鉢を桶に美しく盛り付けた「桶盛り彩々」

「志摩の朝餉膳(あさげぜん)」と書かれたお品書き。地産の魚、海藻、お米など三重の豊かな素材を味わえる滋味溢れる和食御膳です。

蓮根の戻し汁で炊いてピンク色をした薬膳粥

御飯は白飯や米澤もち麦御飯の他、白粥・もずく粥・薬膳粥、海の七草粥の4種類のお粥から好きなものを選びます。お粥がほんのりピンク色なのは、乾燥させた蓮根を一晩水に漬けて戻し、その戻し汁で炊いたため。

古より「御食国(みけつくに)」と呼ばれるこの地の豊かさを感じるひと時。

終わりに

そこは日常から遠く離れた別世界。豊かな大自然と人との営みが調和した風景は、ある時は昭和天皇の歌に詠まれ、またある時は作家・山崎豊子氏の小説に描かれ、多くの文人賓客を迎えて来ました。

「陽が傾き、潮が満ちはじめると、志摩半島の英虞湾に華麗な黄昏が訪れる。」

小説「華麗なる一族」のあの冒頭は、志摩観光ホテルから見える真珠の養殖筏(いかだ)が並ぶ英虞湾の夕景を描写したものだとか。

伊勢志摩の地は、ゆるやかな時間の流れに合わせて、少しずつ表情を変えながら、いつの時代も訪れる人々の心に寄り添い、深いやすらぎに満ちたひと時を約束してくれます。

多くの賓客たちによって紡がれてきた物語に思いを馳せながら、“志摩時間”にただただゆったりと身を委ねて、またいつかこの景色に会いに来ようと心に誓いました。

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