昆虫、野草、ジビエ。食の探究心の先にある地球に優しいレストラン
FOOD

2022.05.16

昆虫、野草、ジビエ。食の探究心の先にある地球に優しいレストラン

ANTCICADA(アントシカダ)

ANTCICADA(アントシカダ)。そのレストランでは、あまり食べられてこなかった食材、野生の動物や植物、昆虫などの魅力を引き出し調理しています。地球環境保護の観点からも昆虫食の注目は高まっていますが、倫理観だけでは続けられませんよね。好きにならないと。

今回は、まだ知らない食の探検へご案内したいと思います。

アリとセミ。ANTCICADA

ANTCICADAは、直訳するとアリとセミ。イソップ寓話のアリとキリギリスは、元々はアリとセミの話で、そこから名付けられたそうです。

JR総武線・馬喰町駅より徒歩6分、JR秋葉原駅より徒歩10分。大通りから外れた小道に、突如現れます。さりげない佇まいは、まるで秘密基地のよう。

店内は、ムードのある落ち着いた雰囲気です。入ってすぐ気づくのが、コオロギの鳴き声が聞こえること。普通はレストランで耳にすることがないので面白いですよね。また、蜂の巣や見たことのない食材が入った瓶が並ぶ不思議な空間で、仮想の世界に紛れ込んだような気持ちになりました。

後々うかがって分かったのですが、棚はダンボール、カウンターのテーブルはトタンでできているそう。トタンは、波をイメージしていてその上を通るグラスが光を取り込むと、トタンで歪み、揺らいだで美しい影が写ります。お店の内装からも素材で驚かされました。

ジビエ、野草、虫。地球を味わうコース

お店は週3回の営業で、金曜と土曜はコース料理、日曜はコオロギラーメンをいただくことができます。今回は、地球を味わうコース料理を。また、ペアリングのドリンクも頼みました。アルコールとノンアルコールとあります。

まずはじめは、コオロギスナック。コオロギラーメンで使っている出汁で作ったスナックだそうです。お酒に合うしょっぱさとサクサク感が美味しい。コオロギビールと一緒にコオロギコンビでコースがスタートしました。

こちらは蜂の子のスープ。花びら茸と発酵させた冬瓜が入っていて酸味があります。春らしくフキノトウが散りばめられ季節感がありますね。ペアリングはノンアルコールの昆布、椎茸、あさり、チーズでとった出汁でした。蜂の子はモツァレラチーズのような食感に思いました。レバーのようと表現する方もいるそう。

こちらは、インドの定番おやつパニプリ。右の器に入っているメロンでつくったジュースを入れて一口で食べます。そして、ペアリングのドリンクにビックリしました。タガメのジンです。オスのタガメのフェロモンは洋梨の香りがするそうで、それを利用して作ったお酒とのこと。とってもフルーティで爽やかな香りでした。

こちらはなんだと思いますか?メニューには“蝉の気持ち”とあります。

そう、吸うんです。木に見立てた特別な器には4つの穴が開いていて、中のジュースを吸える穴と吸えない穴があるのです。なんとも面白い遊び心溢れる演出に子どものように楽しんでしまいました。器の構造や見えないジュースがなにできているか教えていただきましたが、ぜひ実際に体験していただきたいのでここでは秘密にしておきますね。

ナマズ、ルタバガ、ハーブたち。生態系や漁業に害をもたらすため駆除された外来種のアメリカナマズを使っていています。ルタバガ=西洋かぶは、ほんのり甘く、そのほかのハーブも個性的なので、淡白で食べ応えのあるナマズとよく合います。

こちらは鹿のお肉。黄色いソースは東北地方で採られるホヤのソース。クセがあり苦手な方も多いホヤは、年々提供するお店も少なくなっていると聞きます。ですが、ソースにするとその臭みや個性が活かされ、料理に奥行きを与えてくれます。

お酒は赤ワインではなく、紅芋の醸造酒とみりんの薬草種、ライチの香りがする芋焼酎、梅酒のカクテルで、甘くコクがあって爽やかな酸味がありました。

そしてこちらが、日曜も提供しているコオロギラーメン。先ほど店内で鳴いていたコオロギを新鮮さそのままに、素揚げしたものが乗っています。信じられないほどサックサクで香ばしい。

食べながら、食材選びの理由や、調理法、その生き物についてなどの説明をしていただきました。この時は、木のコブに住む幼虫について。なんと茹でて数日すると杏仁豆腐の味がするのです。

最後にいただいたのは、クリシキゾウムシが添えられたチョコムース。ナッツのように見えますが虫です。プチッと皮の厚いいくらのような食感でした。

知らない生き物、知らない味、知らない食感を知るこの時間は、まさに冒険。美味しさはもちろんですが、面白さが勝り、好奇心を掻き立てられるコースでした。

好きなことが、地球環境に良いこと

こちらがATNCICADAのチーム。若く探究心旺盛なメンバーは、こだわりもいっぱいで、お話をする際は目をキラキラとさせていました。チームで虫取りや山菜取り、BBQなんかもするそうです。なんだか眩しい。

昆虫食を提供するお店なので、SDGsを意識されて作ったのか、それとも好きだからかと伺うと、圧倒的に後者だとおっしゃっていました。食べるのが好きで、もっと知りたくて、その好きなことが結果として地球環境に優しければいいな、という考えだそうです。

確かに、好きでないといくら地球に良くても続けられないですよね。

「食は作業ではない、冒険だ」。そんなコンセプトを掲げ、童心を忘れないANTCICADAにすっかり虜になってしまいました。何かに夢中になる気持ちが触発されて、皆さんにとっても良い刺激になるかもしれませんよ。

最初の一歩はドキドキするかもしれません。でもきっとわくわくできるので、ぜひ一度、彼らの世界に足を運んでみてください。

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