2022.03.27
芸術と美食を堪能!ミラノから足を伸ばし、幻想的な中世の街・ベルガモへ
イタリア ベルガモ
コロナで多くの犠牲者を出したベルガモへ
新型コロナウィルスの被害が甚大だった、北イタリアのロンバルディア州。一時期はイタリア全土の感染者の半数以上が集中し、中でもベルガモの被害の大きさは、毎日のようにニュースで取り上げられていました。
医療現場の崩壊と同時に、亡くなる方の数の多さに地元の火葬場も立ち行かなくなるほど。24時間体制でも対応できず、軍が派遣されて周辺の火葬場に棺を搬送するというニュースを見て、胸が締め付けられる思いでした。
イタリアでも、緊急事態宣言が明けようとしています。屋内や公共交通機関でのマスク着用などのルールを守りながらも、かなり自由に旅行や外出ができるようになり、 ずっと行ってみたかったベルガモをようやく訪れることができました。
アルプスの麓にある中世の街ベルガモは、ロンバルディア州で一番美しいと言われ、ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」の舞台でもあり、多くの芸術家を魅了してきました。 「チッタアルタ(高い街)」と「チッタバッサ(低い街)」の2エリアからなり、歴史的建造物は高台のチッタアルタに集中しています。
ミラノから電車で1時間、ベルガモ駅に着き、まず目指すは丘の上の旧市街。アクセスはバスやケーブルカー、もしくは見晴らしの良い坂道を歩いて向かうかを選べます。
旧市街散策で、中世にタイムスリップ
城壁に囲まれた旧市街チッタアルタには、中世の街並みがそのまま残っています。石畳の道の両側にはセンスの良い店が建ち並び、歴史ある裕福な街であることがわかります。コロナの打撃から経済的な復活も遂げ活気があり、地元の人々や観光客の笑顔と開放感であふれていました。
内装もステキそうな図書館。
ヴェッキア広場からラジョーネ宮の下をくぐると、ロンバルディア・ルネッサンスの大傑作と言われるコッレオーニ礼拝堂とサンタ・マリア・マッジョーレ教会が見えてきました。
白やピンクの大理石で作られた外観も必見ですが、ロマネスク様式とバロック様式の内装が素晴らしかったです。きらびやかな装飾を施した天井と柱、幾重にも重なる優雅なアーチ、壁を覆うタペストリーの絵画に温かく包み込まれ、心から感動してしまいました。
ベルガモっ子が絶賛、ワインも食事も美味しい隠れ家的エノテカ
旧市街のレストランも捨てがたかったのですが、地元の人がベルガモで一番美味しいと教えてくれた「ENOTECA ZANINI OSTERIA(エノテカ・ザニーニ・オステリア)」で食事をとることにしました。
新市街チッタバッサの東にあり、外観はいたってシンプルです。
イタリアでありがちなのですが、今回も外観からは想像できない店内の広さ、インテリアの美しさに驚かされたパターンでした。14世紀に建てられたレンガと一本柱に覆われた天井が目を引きます。
左の男性はオーナーのニコラさん、そしてソムリエのクリスチャンさん。ニコラさんはミラノの有名店MARCHESI、ロンドンなどでソムリエとしての経験をつみ、2002年にはイタリア国内ナンバーワンソムリエにも選ばれた強者です。
ワイン好きにはたまらないお店ですが、それだけではありません。季節感を大切にし、毎月変わるお料理のメニューは独創的で定評があります。
3種類のパンと一緒に出してくれたのは、人参とカルダモンの冷製スープ。ピリッとしたカルダモンが、味を引き締めます。
ポレンタとは、トウモロコシの粉から作られた北イタリアのソウルフード。特にベルガモは有名なので、食べないわけにはいきません。
ポレンタの素朴な味と、海老の食感とエキス、そして濃厚なパセリソースと、絶妙なバランスで美味しい一品でした。
この白いナゾの物体は、48日間かけて塩で発酵させたレモンだというから驚きです。乳酸菌たっぷりのマイルドな酸味で、新鮮な牡蠣のソースを優しい味わいに仕上げていました。
ほんのりビターなパンナコッタと、カスタードクリーム、そしてチョコレートフレークを合わせて食べると、三層の食感と味わいを楽しめます。
どれも斬新なのにちゃんと美味しい、幸せな気分になれるお料理でした。
春の日差しとも相まって、最高のホスピタリティと笑顔で私たちを迎えてくれたベルガモ。旅行できることの喜びを実感し、より自由な旅を謳歌できる日がそこまできていることを信じたいと、心から思いました。
映像ディレクターなどを経験し、ヨーロッパなどを旅した後に、NYに留学。そこで出会ったイタリア人の旦那さんとの結婚を機にミラノに。現在は育児の傍ら、通訳や日本食ケータリングのお仕事もしています。人との距離感やテンション、センスなどミラノの全てが大好き! 記事では街やそこに住む人々の魅力も伝えていきたいです。様々な形で日本とイタリアの橋渡しができればと思っています!
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