2022.04.11
料理で世界旅行!文化を味わう、話題の料理教室で東欧・アルバニアを体験
イタリア LAC(ラック)
文化人類学から切り込んだ新しい料理教室
2021年秋、ミラノにオープンした料理教室が注目を集めています。
大学で文化人類学を専攻、その後は農場で食材と土地、人の結びつきを学び、世界を旅するフードライターとして活躍してきたジュリアさんは、世界中の人々との出会いを通して、料理を「文化」として紹介するこちらのラボラトリー「LAC(ラック)」を誕生させました。
料理を教えるのは、イタリアに住み様々な分野で活躍する、25カ国から集まった料理好きの人たち。「食」でつながった、人類のるつぼ的空間です。
日本未上陸グルメ、アルバニア料理を体験
一回のレッスンは2時間で、45ユーロ(約5,800円)と、気軽に参加できる設定です。私は今回、アルバニア料理の教室に参加することにしました。
日本ではなじみのうすい南東欧の国、アルバニアは、知る人ぞ知るグルメ大国です。アルバニア料理は、地理的にも近いギリシャ・イタリア・トルコの食文化の影響を受けているというから、美味しくないはずがありません。
キュウリ、トマト、ピーマン、オリーブ、レモンなどの新鮮な野菜を使った料理や、じっくり煮込んだ肉料理が多く食べられるそうです。
人と食を通じての文化交流を大事にするLACの料理教室は、主催者ジュリアの挨拶から始まります。
アシスタントは、セネガル出身のアストゥさん。
講師と参加者の自己紹介が終わる頃には、場がすっかり和んでいます。下ごしらえを手伝う人、お喋りする人、お酒を飲む人、思い思いにひとときを楽しみます。
今日の講師は、薬剤師のクロディアーナさんと、幼稚園の先生をしながら心理セラピストとしても働くステラさん、アルバニア出身のお2人です。2人ともとにかく明るく、リラックスしながら4品を次々に調理していきます。アルバニアではランチが1日のメインで、キッチンでおしゃべりしながら時間をかけて料理していくスタイルだそうです。
前菜の「ザジキ」は、ギリシャヨーグルトにミント、オリーブ、キュウリ、ニンニクを刻んで塩で味を整えたシンプルなレシピ。この上なく爽やかな風味で、どんなパンとも相性抜群です。
たくさんの野菜を丁寧に煮込んだザ・家庭料理と言われているのが、「フェルゲス」です。羊乳でできたフェタチーズに、あらみじんにしたパプリカ、玉ねぎ、トマト、ニンニク、卵に、ローリエ、オレガノで香りよく仕上げます。
野菜の旨みと、臭みが抜けたチーズの風味が最高にマッチした一品。チーズと野菜を煮込むとこんなに味わい深くなるなんて、目から鱗でした。
「ブレク」は、チーズや野菜を薄いパイ生地で挟んでオーブンで焼いたものです。今回は、ホウレン草を入れたものを作ってくれました。軽い食感の生地が、クセになりそうです!
日本で再現できる! レモンとヨーグルトのスープのレシピ
こちらはレモンと卵を使った、初めて食べるのにどこか懐かしい味わいの、絶品スープでした。
子どもが風邪をひいたときにお母さんが作ってくれるという、栄養価の高い一品です。
日本でも手に入る食材で作れるので、レシピを紹介しますね。
材料(1人前)
骨つきの鶏もも肉 100g
水 350ml
お米 25g
塩 10g
ギリシャヨーグルト 20g
卵黄 20g
バター 15g
レモン汁 15ml
1.鶏肉と水を鍋に入れて沸騰させる
2.お米を入れて、1時間煮込む
3.火を消して10分置く
4.ボウルにバター以外の材料を混ぜ、1でとった出汁スープを50ml加えてさらに混ぜる。
5.ボウルで混ぜたものを鍋に移して火にかけ、バターを加えて温める。
6.お好みでコショウやパセリをかけて、できあがり!
食事のお供は、アルバニアの白ワイン。その味わいからも、アルバニアがオリーブやブドウ、野菜の栽培に適した豊かな土地なのだな、と実感できます。
食後は、アルバニア版演歌に合わせてダンス。布を振りながら踊るのが伝統だそうです。
料理を通して、アルバニアの文化や慣習に触れることができ、大満足。クロディアーナさんとステラさんが、私たちとお喋りしながらお料理する姿を見て、南欧の明るい陽射しが差し込むキッチンを思い浮かべました。そして心のこもった料理を作ったり食べたりするのって素晴らしいことだなと、改めて気づかされました。
グルメに、国境はありませんね!
映像ディレクターなどを経験し、ヨーロッパなどを旅した後に、NYに留学。そこで出会ったイタリア人の旦那さんとの結婚を機にミラノに。現在は育児の傍ら、通訳や日本食ケータリングのお仕事もしています。人との距離感やテンション、センスなどミラノの全てが大好き! 記事では街やそこに住む人々の魅力も伝えていきたいです。様々な形で日本とイタリアの橋渡しができればと思っています!
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