2021.10.02
快適なエシカルライフを提案。プラスチックフリーを実現したハーブ薬局
イタリア ハーブ薬局ERBORISTERIA(エルボリステリア)
プラスチックフリーを謳うハーブ薬局へ
ヨーロッパの伝統的なハーブ療法(フィトセラピー)は、古くからヨーロッパ人の生活に根付いています。
イタリアでは、エルボリステリアと呼ばれるハーブ薬局が数多くあり、ハーバリスト(ハーブ専門薬剤師)のオーナーが、一人一人の体調や症状に合わせたハーブを調合したり、製品を一緒に選んでくれたりします。
ミラノの街の一角にあるこちらのお店「QUINTESSENZA(クインテッセンツァ)」も、そのひとつ。
シンプルでこじんまりとした外観からは想像できない、凄腕ハーバリストのオルネッラさんが経営するお店です。
エルボリステリアは基本的に自然原料にこだわるお店が多く、オルネッラさんもオーガニックのハーブや製品のみを扱ってきました。
大きな転換期を迎えたのは、2年前。地球のプラスチック問題を学びその深刻さを知ったオルネッラさんは、すぐに行動に移します。それは、お店から全てのプラスチックを排除する、ということでした。
オーガニックで高品質、売れ筋のブランドであっても、プラスチックを使用している時点で入荷を中止。
イタリアを中心に、ヨーロッパ全域の完全プラスチックフリーのブランドのリサーチや取り扱いを始めました。この2年間で、マーケットも少しずつ大きくなり、お客さんの意識も徐々に変化してきたと言います。
「特に若い人の問題意識と行動力は高いわよ。一方でお年寄りに理解してもらうのは、なかなか難しいわ。」
イタリアのプラスチックフリーコスメを紹介
イタリアにもいいブランドが増えてきたと喜ぶオルネッラさん。
オススメのひとつが、SENSO NATURALE(センソ・ナチュラーレ)。
固形のヘアケアアイテムが中心ですが、固形の美容クリーム、ボディクリームも優秀だそう。
こちらのシャンプーとコンディショナーがひとつになったソープは、軽量かつコンパクト。
中央の穴に紐を通せるようになっています。黒がシャンプー、白がコンディショナー。コンディショナーはすごく伸びるので、少量で十分櫛通りが良くなりました。
オススメブランドふたつ目が、リキッド製品が中心のBioDeg-Line(ビオデグ・ライン)。
ボトルは100%サトウキビでできていて、土壌に返すことができます。
チョイスしたのは、日本でも衛生アイテムとして認知されつつあるデリケートゾーン用ソープ。
PHを5/6に保った優しい洗浄力と、高いデオドラント効果を発揮します。100%ビーガンなので、初心者でも安心して使えます。
オルネッラさんによると、ヨーロッパのエシカル先進国は、イギリスとポーランド。
スキンケア、ヘアケアに特化したポーランド発・SOLIDUは、プラスチックフリーに加えペーパーフリーも実現しているそうです。
「使用済みの箱を捨てずに庭に撒くと、45日後には養分のある土壌になるの」と、オルネッラさんが嬉しそうに説明してくれました。
布の廃棄にも着目したエシカルアイテム
近年、ファッション業界が環境に与えるダメージも話題になっています。
CO2、プラスチック、水、化学物質などの問題のほか、毎年9000万トン以上の繊維が廃棄されているといわれ、それはさらに増加傾向にあるそう。
QUINTESSENZAでは、イタリアの高級ブランド・LORO PIANAの廃棄布で作られたマスクが不動の人気です。
SUSSO(スッソ)の蜜蝋ラップは、全て廃棄コットンで作られたもの。
何度も洗って再利用でき、表面の蜜蝋がなくなるまで1年以上使えます。
サイズ違いの3枚入りで、柄は開封後のお楽しみ。ハズレなしです。
深刻さを増すプラスチック問題ですが、悲観ばかりしていては何も変わらないので、まずはできることからひとつずつ。
明るく迷いのないオルネッラさんと話をしながら、そう心に決めたのでした。
映像ディレクターなどを経験し、ヨーロッパなどを旅した後に、NYに留学。そこで出会ったイタリア人の旦那さんとの結婚を機にミラノに。現在は育児の傍ら、通訳や日本食ケータリングのお仕事もしています。人との距離感やテンション、センスなどミラノの全てが大好き! 記事では街やそこに住む人々の魅力も伝えていきたいです。様々な形で日本とイタリアの橋渡しができればと思っています!
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