【俳優・堀田真由】リフレッシュは海外旅行。旅をする時の意外な必需品とは?
INTERVIEW

2026.08.26

【俳優・堀田真由】リフレッシュは海外旅行。旅をする時の意外な必需品とは?

坂口健太郎さんが主演を務める映画『私はあなたを知らない、』が、8月28日(金)に封を切ります。商業映画デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』で国内外から高い評価を得た中野量太監督が、10年ぶりに完全オリジナル脚本で挑んだ本作。愛する人を殺めてしまった孤独な青年と、母を奪われた娘が13年の時を経て対峙する、切なくも深い余韻を残すヒューマンサスペンスです。

坂口さん演じる天涯孤独の青年・夕平は、シングルマザーの紗月と、彼女の娘・朝子との出会いをきっかけに、初めて“家族”という幸せの形に触れるようになります。しかし、その幸せな日々は、ある悲劇によって大きく揺らぐことに。

「最初は役の心情を理解することが難しかった」と語るのは、紗月を演じる堀田真由さん。そこから、どのように理解を深めていったのでしょうか。ずっと憧れていた中野監督との作品づくりや、改めて見つめ直した俳優としてのあり方について、語っていただきました。また、Google Pixel presents「ANOTHER SKY」でMCを務めている堀田さんに、いま一番行きたい旅先についてもお伺いしています。

中野監督作品への出演は「役者人生の大きな目標だった」

――堀田さんは中野監督の作品に初参加となりますが、紗月役でオファーを受けた時はどのようなお気持ちでしたか?

もう10年ほど前になりますが、中野監督の『湯を沸かすほどの熱い愛』を観て感銘を受けたんです。それ以来、中野監督の作品に出演することが、私の役者人生の大きな目標でした。しかも、今回は完全オリジナルで脚本も手がけられているので、そんな大切な作品とキャラクターを託してくださったことが本当に嬉しかったです。

――ひとつの目標が達成されたんですね。具体的には、中野監督の作品のどういうところに惹かれたのでしょうか。

中野監督の描く家族像がすごく好きなんです。誰もが不完全で、お互いを大切に思うからこそ、時にすれ違ったりもする。私自身、家族だからこそ話せることもあれば、話せないこともあるので共感しますし、いつも家族のことや自分の人生について改めて考えさせられます。私は分かりやすい作品より、そういう何か問いを持ち帰れる作品が好きで。いつか中野監督が描く作品の登場人物になって、自分も与えられた問いと向き合いながら演じてみたいという思いがありました。

――今作でも、一筋縄ではいかない“家族”の姿が描かれています。紗月は職場で夕平と出会い、娘の朝子と3人で生活していくことになりますが、その関係はどのように映りましたか?

3人を見ていると、「家族とは何か」ということを考えさせられます。血が繋がっているからといって許せないこともあるし、逆に血は繋がってなくても、相手の幸せを願ったり、帰る場所になれたりすることもあって…本当に難しい問いですよね。正解はないからこそ、自分なりの答えを見つけていくのが人生なんだろうなと感じました。紗月も夕平と「家族になりたい」という思いは持っていたと思うんですけど、どこかで思いがすれ違ってしまった。そんな不完全な人たちが紡ぐ、不器用な愛の物語なんだと思います。

一筋縄では理解できない役柄と向き合って

――堀田さんは初のシングルマザー役。しかも、紗月は朝子に対する愛情と夕平への思いとの間で揺れ動く役どころなので、演じるのは難しかったのではないでしょうか。

ものすごく難しかったです。紗月は明るくて愛嬌のある素敵な女性ではあるんですが、もしかしたら映画をご覧になる方の中には、彼女の行動や選択に対して疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。それはしばしば、子どもを思うがゆえの行動や選択だったりします。私自身、子どもを持ったことがないので、最初は紗月の心情を理解することが難しかったです。年齢や性別、子どもの有無によって、感じ方が異なるところも、この映画の面白さだと思います。

――プロダクションノートでは、深瀬和美プロデューサーが「紗月が夕平を振り回す嫌な女に見えてしまうのではないか。観客が彼女に思いを馳せることが難しくなってしまうのではないか、という懸念がありました」と明かされています。誤解を招きかねないキャラクターだからこそ、演じる上で工夫されたことはありますか?

どの作品もそうですが、登場人物の言動の理由がすべて説明されるわけではないんですよね。それは現実も同じで、私たちは誰かのほんの一部しか見ていないと思うんです。だからこそ、紗月の言動の裏にある葛藤や痛みまで伝わるように演じ、単に無邪気なだけではなく、子どものことを第一に考えながら、自分の幸せとも向き合って、懸命に生きている女性として表現したいと思っていました。善悪だけで判断するのではなく、紗月という一人の人間に少しでも思いを寄せていただけたら嬉しいです。

――紗月がいなくなっても物語は続いていきます。完成した作品をご覧になって、改めて気づいたことはありましたか?

先ほどもお話したように、最初は紗月の言動や選択に私自身も理解が追いつかない部分がありました。でも、完成した作品で成長した朝子の姿を見て、「こういうことだったんだ」と腑に落ちたんです。紗月と過ごした時間があったからこそ、朝子はこんなにもたくましく育ったんだろうと感じましたし、描かれていないことも含め、紗月が本当に朝子を大切に育てていたことが伝わってきて、すごく胸が熱くなりました。

――本作は、「愛」や「赦し」がテーマになっています。愛するとは何か、赦すとは何か。この作品に出演してみて、何か見えてきたことはありますか?

どちらも、「家族とは何か」と同じように、簡単に答えが出せる問いではないなと感じました。正直、出演した私自身もまだ答えは出ていませんし、断言できることもありません。それくらい、この作品には余白があって、観てくださる方それぞれが、「自分ならどういう選択をするだろう」と考えられるところが魅力だと思っています。私ももう一度映画館で観て、改めて向き合ってみたいです。

俳優として大切なことを思い出させてくれた中野監督の言葉

――念願だった中野監督との作品づくりはいかがでしたか?

中野監督は誰よりも作品への愛情が深くて、本番中もモニターの前で登場人物のセリフをつぶやいてくださるんです。その姿を見ていると、自分だけが悩んでいるんじゃなくて、みんなで一緒にもがきながら作品をつくっているんだと感じられて、孤独を感じることなく撮影に臨むことができました。本当に作品づくりに対して真摯な現場で。私は不器用なタイプなので、皆さんと話し合いながら、じっくりと作品に向き合える環境がとてもありがたかったです。理解が追いつかないまま撮影を終えると、どこか納得しきれない気持ちが残ってしまうんですが、今回はそういうことが一度もありませんでした。

――現場では、どのような話し合いを?

毎日のように、皆さんと「この人の行動、どう思う?」「私はこの人の気持ち、わかるかも」「ここは理解できるけど、ここは難しいね」といった感じで、ざっくばらんに話していました。メイクさんとも役について話し合いながら、メイクや服装を一緒に考えたり。そうやってみんなで、それぞれの登場人物について理解を深めていける現場でした。

――堀田さんは、昨年デビュー10周年を迎えられました。そのタイミングで中野監督の作品に出演されて、お芝居に対する姿勢や考え方で何か変化したことはありましたか?

デビューして間もない頃は本当に何も分からなかったので、ただがむしゃらに目の前のことに向き合っていました。でも、キャリアを積み上げる中で、心で演じるのではなく、小手先の技術で乗り越えようとしている自分に気づいてしまって。それがずっと悩みだったんですが、中野監督にはすぐ見抜かれましたね。印象的だったのは、撮影序盤に「セリフはあるけど、本当にそう思わなかったら無理に言わなくていいよ」と言ってくださったことです。私はずっと台本に書かれていることを忠実に演じなきゃいけないと思い込んでいたんですが、中野監督の言葉を聞いて、考えが変わりました。私は役を生きているんだから、セリフが自分の中から自然に出てくるまで待っていいんだな、と。本来の「心で芝居をする」ということを思い出させていただいた感覚でした。今でも自分が「焦ってるな」とか、「器用にやりすぎてるな」と思った時は、中野監督の言葉を思い出しています。

実はコレクター気質。旅行先に必ず持っていくものは?

――堀田さんはたくさんのドラマや映画に加え、「ANOTHER SKY」には毎週MCとして出演されています。毎日、撮影や収録でお忙しいと思いますが、ご自身のリフレッシュ方法はありますか?

一番リフレッシュできるのは、やっぱり海外旅行ですかね。いつもは休みの日でも仕事のことをつい考えてしまうんですが、海外に行くと日常から距離を置けますし、スマホを見る時間も自然と減るので、気持ちをリセットできます。

――これまで旅した中で、特に印象に残っている場所やエピソードを教えてください。

プライベートで訪れたバリ島です。仕事柄、日焼けができないので、野外レジャーは避けてきたんですが、親友とバリの海に行った時に「せっかくだから入ろう」と言って、しっかり肌をガードしながら入ったんです。それまで自分で制限してきたことだったので、すごく開放感があって楽しかったのを今でも覚えています。

――もしまとまったお休みができたら、行きたい場所はありますか?

いま一番行ってみたいのは、イタリアのベネチアです。ベネチアは運河が街中を流れる水の都じゃないですか。私は琵琶湖がある滋賀県出身なので、水辺にいると落ち着くんです(笑)。食器を集めるのも好きなので、有名なベネチアンガラスも見てみたいですね。あとは、スペイン。サグラダ・ファミリアは人生で一度は訪れたい場所です。「ANOTHER SKY」で毎週いろんな国や地域を見させていただいているので、行きたい欲だけがどんどん高まっています。

――旅行に行く時の必需品はありますか?

ヨーロッパに行く時は、それこそ食器を買いたくなるので、大きいキャリーケースと手荷物用のバッグを両方持って行きます。食器が割れないように包むプチプチ(緩衝材)も必須。旅行の時は、いつでも買えるように準備万端にしています。

――プチプチを旅行へ持っていく人に初めて会いました(笑)。本当に食器がお好きなんですね。

好きですね。焼き物もガラスも好きで、日本では地方へ行くたびに、その土地の工芸品を買ってしまいます。あとは靴下も好きで、たくさん持っています。もともとコレクター気質なのかもしれません(笑)。靴下はファッションの差し色にもなるし、プレゼントとしても渡しやすいので、食器よりもさらに気軽に集めがちです。

――堀田さんは明るくお元気で、いつも取材でお会いするたびにパワーをもらえるんですが、そういう好きなものや楽しみがあるからなのかなと思いました。

ありがとうございます。そうですね、私は楽しんでいる人の周りには同じような人が集まると思っているんです。もちろん、悩んだり落ち込んだりすることはたくさんあります。でも、それは自分自身の問題であって、周りには関係ないと思っているので、あまり外には出したくなくて。できるだけ、自分の機嫌は自分で取れる大人でいたいと思っています。

――素晴らしいです。差し支えなければ、悲しいことやイラッとすることがあった時に、どのように対処しているか、教えていただきたいです。

家でしっかり落ちます(笑)。でも、それは決して悪いことではなくて、知らなかった自分に出会える機会だと思うので、なるべく「私は何に悩んでいるんだろう」と深掘って考えるようにしています。あとは、母に相談しますね。母は自分に正直に生きていて、周りから何を言われても揺るがない信念を持っている人なんです。私が「いつかこういう人になりたい」と思う目標でもあり、仕事のこともプライベートのことも相談できる友達みたいな存在です。

Profile
堀田真由
1998年生まれ。2015年にWOWOW 連続ドラマW 『テミスの求刑』でデビュー。その後、NHK連続テレビ小説『わろてんか』、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、ドラマ『アンチヒーロー』『御上先生』『僕達はまだその星の校則を知らない』など話題作に数多く出演。現在は7月期ドラマ『一次元の挿し木』に出演中。今後の公開作品は、映画『私はあなたを知らない、』(8月28日公開)、映画『八つ墓村』(9月18日公開)。また、2027年2月11日公開のオリジナル劇場アニメーション映画『ghost/夜の果て』で、主人公の少女・ニケの声優を務める。

■『私はあなたを知らない、』
2026年8月28日(金)より全国公開
出演:坂口健太郎
早瀬憩 堀田真由 倉田瑛茉 
稲垣来泉 和田光沙 片山友希 畦田ひとみ 田牧そら 
渡辺真起子 足立智充 黒田大輔
滝藤賢一 / 原田美枝子
原案・脚本・監督:中野量太 
音楽:世武裕子
公式HP:watashiramovie.com
公式X:@watashiramovie

撮影/稲澤朝博
取材・文/苫とり子

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