2022.03.17
【世界を旅するレシピ】10ヵ国目
東洋と西洋の食が融合したトルコ料理
世界のレシピをその国出身の先生に教わる連載。10カ国目は、トルコ共和国です。アジアとヨーロッパの文化が入り混じる長い歴史の中で、諸国の食を取り入れながら、独自の料理を発展させてきました。今回は、日本で手に入りやすい食材を使って、トルコの家庭でよく食べられているメニュー3品を教えてもらいます。
各地方によってメニューに特色があるのも魅力
アジアとヨーロッパに広くまたがる約78万㎢の国土を有し、東西の文化が混ざり合った独特のムードが魅力のトルコ共和国。気品と妖艶さを併せ持つエキゾチックな雰囲気は旅人を惹きつけてやみません。
トルコ料理は、フランス料理と中華料理に並ぶ「世界三大料理」のひとつ。その起源は、600年以上も続いたオスマン帝国時代にさかのぼります。オスマン帝国のスルタン皇帝は、領土の中の様々な地域から食材や調理法を取り寄せ、宮廷料理人に腕を競わせていました。それにより料理がどんどん磨かれていき、多様なバリエーションを持つ今のトルコ料理ができあがりました。アジアのシルクロードを通ってきたスパイスやフルーツ、地中海地域でとれるオリーブ、ハーブ、新鮮な魚、チーズやヨーグルトなどの乳製品、新鮮な肉や野菜、ナッツなど、たくさんの食文化を融合させた多彩な素材、味、調理法が特長。地域によって郷土料理が異なるのもおもしろいところです。
今回のレシピを教えてくれるのは、トルコ南部・イスケンデルン出身のギュル先生。日本で入手困難な食材はスーパーなどで手軽に手に入るもので代用し、誰でも失敗が少なく作れるレシピを考案してくれました。この機会に、魅惑のトルコ料理にぜひチャレンジしてみてください!
ちょっとしたひと手間でトルコの味に
パプリカの冷製前菜(ギリット・メゼ)
「メゼ」とはトルコ料理を象徴するもので、前菜のこと。オリーブオイルで作られた冷製のメゼをはじめ、温製のもの、肉、魚、ヨーグルトやチーズを使ったものなど、数えきれない種類があります。「ギリット・メゼ」は、パプリカとなすのおいしさを活かしたサラダ感覚の前菜で、さっぱりとしたやさしい味わい。ソースに炭酸水を使用することで、素材のうま味や香りを引き出します。
材料(2人分)
- ○ パプリカ
- 1個
- ○ なす
- 3本
- ○ にんにく
- 1片
- ○ 炭酸水
- 大さじ4
- ○ リンゴ酢(米酢など他の酢でもOK)
- 大さじ1
- ○ オリーブオイル
- 大さじ1
- ○ マスタード
- 小さじ1
- ○ 塩
- 小さじ1
- ○ サフラン
- 少々
- ○ ディル(パセリでもOK)
- お好みの量
HOW TO COOK
おうちでのパーティーにもおすすめ
ほうれん草のパイ重ね焼き(ブレッキ)
トルコ人の朝食の定番「ブレッキ」は、「ユフカ」と呼ばれる春巻きの皮のような薄手の生地を層のように重ねて、間に具を入れてオーブン焼きにするパイ料理です。トルコ人主婦はしょっちゅうボレッキを作って近所の人をお茶に招くそう。具はひき肉を使いますが、イスラム教徒が大半を占めるトルコでは豚肉を食べないので牛肉に。ユフカの代わりにトルティーヤを使用して、フライパンひとつで手軽に作れるレシピに仕立てました。
材料(2人分)
- ○ 牛ひき肉
- 100g
- ○ ほうれん草
- 200g
- ○ 玉ねぎ
- 1個
- ○ トルティーヤ
- 6枚
- ○ 卵
- 1個
- ○ 牛乳
- 50ml
- ○ オリーブオイル
- 50ml
- ○ バター
- 小さじ1
- ○ 塩
- 小さじ1
- ○ 胡椒
- 小さじ1
HOW TO COOK
ヨーグルトのコクと酸味がやみつきに
野菜のヨーグルトスープ(ヤイラ・チョルバス)
実はトルコはヨーグルト発祥の地。日本ではデザートとして食べられることが多いですが、トルコでは基本的にスープや前菜、料理のソースなど、食事用に使われています。「ヤイラ・チョルバス」は“高原のスープ”という意味を持つヨーグルトスープ。本来は乾燥ミントを使うところをバジルで代用しました。パスタが入るのでボリューム感もバッチリ。ヨーグルトのコクとほどよい酸味と、ハーブのさわやかなアクセントがクセになる美味しさです。
材料(2人分)
- ○ 玉ねぎ
- 1個
- ○ にんじん
- 1本
- ○ アルパシェフリエ
- 大さじ2
- (お米の形をしたトルコのショートパスタ、押麦でも代用可)
- ○ オリーブオイル
- 大さじ2
- ○ 卵
- 1個
- ○ プレーンヨーグルト
- 大さじ3
- ○ レモン
- 1/2個
- ○ にんにく
- 1片
- ○ 小麦粉
- 小さじ1
- ○ 塩
- 小さじ1
- ○ 乾燥バジル
- 小さじ1
- ○ バター
- 小さじ1