2021.10.28
【世界を旅するレシピ】6ヵ国目
ロシアで愛されるパーティーフード
世界各国のレシピを教わる連載の6カ国目は、世界で最も国土の広い国であるロシア。日本でロシア料理といえば、ボルシチやピロシキなどが一般的ですが、今回教えてもらうのはそれぞれの家庭で伝わるお祝いに欠かせない料理。おかずにもなるロシアのクレープに、蕎麦の実を使ったスープ、見た目も華やかなサラダをマスターしましょう。
家族で楽しむ伝統料理
太平洋と北極海に面し、ユーラシア大陸の北部に位置するロシア連邦。アジアとヨーロッパにまたがるその国土は日本の約45倍で、世界一面積の大きな国で知られています。日本人がロシアを旅行しようと思うと観光ビザが必要なため(ウラジオストクのみ電子簡易ビザ)、旅行上級者が行く場所というイメージがあるかもしれません。
しかし、今回ロシア料理を教えてくれるリューバ先生のお話を聞いていると、ロシアと日本の食文化が少し似ていることに気づきます。まず驚いたのは蕎麦の消費量! 2016年度の国連食糧農業機関の調査によると、蕎麦の生産量はロシアが世界一という結果に。 「コロナ禍になって、スーパーから蕎麦が真っ先に無くなったというニュースもあるくらい、蕎麦はロシアの家庭に欠かせない食材です。日本と違うのは、ローストした蕎麦の実を使うこと。『カーシャ』というおかゆにしたり、今回のレシピのようにスープにしたり、いろんな料理に使います」
蕎麦以外にも、マヨネーズの消費量も世界一のロシア。「ロシアのスーパーを訪れると、その種類に驚くはずですよ」とリューバ先生。ロシア人が大好きなマヨネーズを使った『ミモザサラダ』に、おかずにもデザートにもなるクレープの『ブリヌイ』は、家族が集まるお祝いごとに登場するみんなが大好きな味なのだそう。これから年末にかけて家族や友人と集まる機会も増える時期、今年はロシアのパーティーフードと一緒に会話を楽しんでみては?
ケフィアが隠し味のクレープ
ブリヌイ
薄い生地にバターやサワークリームを塗ってそのまま食べたり、さらにお好みの具材を巻いていただくブリヌイ。今回はおかずとしても満足感があるように、レタスとスモークサーモンを合わせてみました。生地にはロシアの国民食であるケフィアを入れるのがポイント。ケフィアとは、まろやかな酸味がある発酵した乳飲料のこと。ブリヌイの生地はもっちりとしているのに軽さもあり、何枚でも食べたくなる美味しさです。
材料(8枚分)
- ○ 中力粉
- 125g
- ○ ケフィア
- 125ml
- ○ 熱湯
- 145ml
- ○ 卵
- 1個
- ○ 油
- 25ml
- ○ 砂糖
- 25g
- ○ 塩
- 3g
- ○ 重曹
- 4g
- ○ トッピング
- お好みの具材やクリーム
HOW TO COOK
おかずにもデザートにも! ブリヌイの食べ方
ロシアでは、焼き上がったブリヌイの生地をテーブルにそのまま並べ、それぞれがお好みのクリームや具材を合わせて食べるのが一般的。今回のようにあらかじめ具材を巻いてカットしておくと、大人数でも取り分けやすくなります。ここで日本人にも食べやすいおすすめのアレンジをご紹介。クリームチーズ100gにプレーンヨーグルト大さじ1を加えてなめらかになるまで混ぜ合わせたら生地に塗り広げ、レタス、スモークサーモン、スライス玉ねぎ、ディルをのせます。端からくるくると巻きあげ、中心を斜めにカットするだけ。このようなおかず以外にも、デザートにもなるブリヌイ。生地を扇型に折り畳んだら、お好みのジャムやサワークリーム(生クリーム1:ヨーグルト1)を添えて完成。
カラダに沁み渡る優しい味
蕎麦の実とチキンのスープ
ロシア人が大好きな穀物・蕎麦の実を使い、チキンと野菜、キノコの旨味を感じられる滋味深いスープ。素材の味を最大限に引き出したスープは、寒い時期にはカラダを優しく温めてくれます。ローストされている蕎麦の実は香ばしさもあり、このスープのいいアクセントに。ごろっとしたチキンにやわらかな野菜と具沢山で、お腹もしっかり満たされます。
材料(各2人分)
- ○ 鶏肉
- 150g
- ○ じゃがいも
- 2個
- ○ 玉ねぎ
- 1/2個
- ○ にんじん
- 1/2本
- ○ 椎茸
- 4個
- ○ にんにく
- 2片
- ○ 蕎麦の実(ロースト)
- 75g
- ○ ローリエ
- 1枚
- ○ 塩
- 大さじ1
- ○ 黒胡椒
- 少々
HOW TO COOK
春の訪れを告げるサラダ
ミモザサラダ
春に花を咲かせるミモザを表現した、ソ連時代に誕生したというサラダ。食卓に並ぶとパッと華やかになり、ロシアではお祭りやお正月などのお祝いごとに欠かせないひと品です。ロシアでは一家にひとつあるというおろし金を使い、ほとんどの具材をすりおろして作ります。大きな器でサーブしたり、今回のようにガラスの器に1人分盛ってもOK。味付けはロシア人が大好きというマヨネーズのみで手軽に真似できるのも嬉しいポイントです。
材料(各2人分)
- ○ じゃがいも
- 2個
- ○ にんじん
- 1本
- ○ 玉ねぎ
- 1/3個
- ○ 卵
- 2個
- ○ 鯖水煮缶
- 1/2缶
- ○ マヨネーズ
- 100g
- ○ ディル
- 少々
- ○ 塩
- 適宜