【女優・玉城ティナ】仕事とプライベート、「線引き」を意識して
10代でモデルとしての活動を開始後、近年は映画やドラマなどにも活躍の場を広げている玉城ティナさん。8月25日(金)には、今年2本目となる主演映画『#ミトヤマネ』が公開となります。
演じたのは、人気インフルエンサーのミト。非現実感のあるミトを演じるにあたって意識的に行ったケアがあったそう。また、情報収集に役立つ反面、メンタル不調のもとにもなりかねないSNSと玉城さんはどのように付き合っているのでしょう。じっくりお話を伺いました。
意識したことは「余計なことをしない」
——玉城さんの美しいビジュアル、スタイルがミトヤマネの非現実感をより強めているように感じましたが、役作りのために気をつけたことはありますか?
今回は「インフルエンサー」という役だったので、ビジュアルを大事にしようということから、髪色を変えました。髪型は、わかりやすくボブで、そして髪色は、外側は真っ黒でインナーカラーをピンクにしたので、撮影中はとくに髪の毛のケアに気をつけました。
また、今作では珍しくマツエクをして撮影に臨んだんです。メイクもしっかりめでしたし、衣装も役をイメージした派手なものが多かったので変化を楽しめました。
——ミトは強い存在感がありながらも空虚な印象を受けました。演じる際にどんなことを意識しましたか?
ミトは、アイコン的な存在なので脚本をいただいた時点では個性的なキャラクターにもできるし、卑屈な人に見せることもできるな…とは思いました。でも、より多くの方にミトという人物のことを理解してもらうために、普遍的な部分を表現したほうがいいと思いました。
また、見た目からどうしても奇抜なイメージを持たれてしまうかもしれませんが、実はインフルエンサーとして真面目に活動しているところも意識しました。
——表情や佇まいはどんな点を工夫しましたか?
表情や佇まいに関しては、「舞台」で演じるように“余計なことをしない”ことを意識しました。たとえば、体を動かさない、目線もウロウロしないということです。そして、自信がありそう、だけど心細そうというミトの二面性も表情からわかるように演じました。
——宮崎監督が「この2人似てるなと思ってもらえたら映画的には勝利」とコメントされていましたが、後半になるにつれてミトと妹のミホが瞬間的に「似ている」と感じた場面が何度もありました。
脚本上は「姉妹」となっていますし、ミホがミトのことを「姉」と表現しているシーンもあるので、2人がしっかり実在しているということはわかるとは思います。でも、ストーリーが進むにつれて、2人がどんどん似てくるので不思議に思うかもしれませんね。
ミト側とミホ側、それぞれの視点で観ると作品の奥深さがより理解できて面白いです。
プライベートは、あくまでもマイペース
——ミトに関して「透明なのにけばけばしくて無関心なのに執着にまみれていて、私がいつも日々演じている女の子の中のひとり」と以前コメントされていましたが、ミトを演じ、どんなことを感じましたか?
演じていく上で宮崎監督に「玉城さんはミトにぴったり」と、肯定してもらえたのでとても嬉しかったです。私自身もミトでいることに違和感がなく、“監督の思うミト”でいられたのは、言葉を交わさなくても信頼し合える現場だったからだと思っています。
役に関しては、ミトの客観的に自分のことを見られる部分には憧れます。逆に自分に起きたことを他人事のように捉える節があるところや、仕事とプライベートの間にワンクッション置いているところは自分と似ているなと感じました。
——ということは、玉城さんは「仕事」と「プライベート」ではタイプが違うのでしょうか?
自分的には全然違うと思っています。仕事中は頭の中でスケジュールを組み立てて、それ通り動くことが好きなので、少しせっかちな部分があります。でも、プライベートの時は「O型」丸出しです(笑)。スケジュールを決めることなく、その時の気分でマイペースに行動します。
——今回の作品のように日々、「注目されること」に玉城さん自身はどんなことを感じていますか?
モデルや映画、ドラマやラジオなど、さまざまな媒体で活動させてもらっていますが、観ている方がどの媒体で私のことを認識しているのかがわからないので、戸惑うことはあります。また、どこで誰が見ているかわからないので、危機感みたいなものも感じます。でも、声を掛けてもらうことは素直に嬉しいですよ。
趣味は読書。書店での「出会い」を大切に
――多忙な毎日を送る中、取り入れているスキンケアや、体調管理法を教えてください。
体調管理にはとても気を付けているので、普段から「ビタミンC」は意識して摂っています。あとは質の良い睡眠と、運動を心がけています。オフの日にずっと自宅で過ごしているとリフレッシュは出来ますが、逆に寝付けなくて困ってしまうことがあるので、適度な運動は大事だなと感じています。
——どんなことをして体を動かしているのでしょうか。
コロナ禍は自宅でYouTubeを見ながらトレーニングをしていましたが、今はピラティススタジオに通っています。自分のペースで柔軟をしたり、骨格を整えたりしています。ピラティスは無理なく続けていけるので、これからもルーティン化していきたいと思っています。
——今回の役では多くの人から「羨望の眼差し」を向けられる役でしたが、玉城さん自身がプライベートで魅力を感じている人や物はありますか?
今はあまりそういう感情はないですね。何かに夢中になるような感情がなくなりつつあるので逆に寂しく思っています。また、そういう感情が出てきたとしても、あえて表に出すことはないかもしれません。強いて言うならば、好きな作家さんの新刊が出た時や、新しい作家さんの作品を読むことで満たされてはいます。
——なるほど。読者家の玉城さんならではのお答えですね。実際に本を選ぶ時は、書店に行かれたりするのでしょうか。
はい、行きます。今はなんでもネットで買える時代ですが、実際に本のカバーを見て手に取り、ページをペラペラとめくる時間は私にとって貴重な時間です。自分が「読みたいな」と思う感情を大事にしているので、これからも「本との出会い」を求めて、本屋さんには通いたいと思っています。
「嘘は書かない」という姿勢が大事
——ネットを通じて誰もが表現者になれる時代です。玉城さんはモデル、俳優の他に文章で表現されることもありますが、表現する上で気をつけていることはありますか?
これは表に出してもいい感情かなと思えばSNSなどで発信することもありますが、完全にプライベートな時間で感じたことは、自分の胸にだけ秘めておくという「線引き」を意識しています。
自分が得たものや、見たものに対して日々、素直な感情を持つことも忘れないようにしています。
——14歳からTwitter(現:X)を始め、現在は約100万人のフォロワーがいる玉城さんですが、SNSを続ける上で怖いと感じたことはありますか?
「怖い」と思ったことはあまりないかもしれませんね。それよりも、自分が夜中に変なポエムをつぶやいていることのほうが怖いです(笑)。多くの人が見ている場所で、「自分の感情を放り出すことへの危うさ」みたいなことを感じるので、気を付けて投稿をしないといけないな…と感じています。
——最後に、映画にちなんで、ネット社会、主にSNSと上手に付き合う上で意識していることはありますか? さまざまな反応に対して、ご自身のメンタルケア方法などもあれば教えてください。
若い時は「これが好き!」と素直に言えていたことが、今は自分の気持ちを全面に出してしまってもいいのかな、と意識してしまっている自分がいます。皆さんが私の何を知りたいのか、そして私自身も何を見せたいのかがわからなくなってしまうんですよね……。
メンタルケア方法としては、「嘘は書かない」、「皆に好かれようとしない」という姿勢を徹底しています。反応は意識しながらも、自分に正直でいるのでそこまで気負わずにいられています。
Profile
玉城ティナ
俳優・モデル。1997年生まれ、沖縄県出身。2012年講談社主宰オーディションの初代グランプリを獲得し、雑誌「ViVi」の最年少専属モデルとなる。2014年に俳優デビュー。第44回報知映画賞新人賞受賞。ASF2「物語」では脚本と監督を務めた。2023年は、主演映画『恋のいばら』(城定秀夫監督)、Huluオリジナルドラマ『君と世界が終わる日に』シーズン4のヒロインを務め、同作シーズン5では主演を演じることが発表されている。8月25日からは今年2本目となる主演映画『#ミトヤマネ』が公開される。
■作品情報
『#ミトヤマネ』
2023年8月25日(金)公開
配給:エレファントハウス
出演:玉城ティナ 湯川ひな 稲葉友 片岡礼子 安達祐実 筒井真理子
監督・脚本:宮崎大祐
公式HP:https://mitoyamane.jp/
©2023「#ミトヤマネ」製作委員会
<衣装>
ブラウス¥42900、スカート¥42900/RIV NOBUHIKO(03-6433-5395)
シューズ¥7500/CHARLES & KEITH(CHARLES & KEITH JAPAN)
ヘアメイク/今井貴子
スタイリスト/松居瑠里
取材・文/安田ナナ
撮影/渡会春加
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