2026.04.02
花とコーヒーに癒やされる。パリ発「フローリストカフェ」という新習慣
長い冬が終わり、私が暮らすパリでも、春の足音がようやく聞こえてきました。三寒四温の日々が続いていますが、街で見かける花々はそれでも元気に蕾を広げようとしています。
お花は、いつどこで見ても気分を上げてくれる存在。実はパリでは今、こうした花屋にカフェを併設した「フローリストカフェ」が、新たなトレンドとして広がりつつあります。
今回はエッフェル塔のほど近くにある、素敵な一軒を訪れてみました。
エッフェル塔近くのフローリスト

パリのシンボル、エッフェル塔から歩いておよそ10分。「44 des fleurs, des choses et un café」は、今のパリで注目されているフローリストカフェの代表的な一軒です。


何やら難しい名前ですが、これは「花と、いろいろなものと、そしてカフェの44番地」という意味です。お花だけではなく、空間やモノも含めた“全部”のお店ですよ、というニュアンスになります。


たしかに、店頭の雰囲気だけを見ると、「ここは花屋なの? それともカフェなの?」と、一瞬迷ってしまうかもしれません。わたしはフローリストカフェと知って訪れましたが、もし知らなければ、ちょっとした驚きと嬉しいサプライズになることでしょう。
それほどに、雰囲気が素敵な44 des fleurs, des choses et un café。入った瞬間にもう、「ここ、好き!」という気持ちでいっぱいになりました。


空間も、インテリアも、小物も、そしてもちろんお花も、すべてがセンスの塊のようなこちらのフローリストカフェ。一点ものの花器や、ヴィンテージのキャンドルスタンドなども並んでいて、そのほとんどが購入可能なのだとか。
そんな44 des fleurs, des choses et un caféは、レバノン・ベイルートからパリへと移住した女性オーナーが、新たな人生のスタートとして始めたお店だったのです。
元インテリアデザイナーが考える空間

店内を見ていると、仕切りのカーテンや備品の置き方、細かい所の色使いまで、ほぼ完璧であることに気づきます。
それもそのはず、オーナーの前職はなんとインテリアデザイナー。2022年に花屋のみでスタートしたものの、オンラインの波とともに店舗に訪れる人が少なくなったことから、「カフェを併設しよう」と方向転換を図ることになりました。

2025年には敷地面積を増やし、花屋とカフェ、それぞれの空間を持つ現在のかたちへとリニューアル。今では息子さんもスタッフに加わり、ドリンクと手作りのスイーツを担当しています。
今回わたしは、エスプレッソとCake Banane(バナナケーキ)を注文してみました。それにしても、この手作りのCake Bananeの美味しさといったら…! 今までパリで食べたパウンドケーキの中でもNo.1かもしれません。ほかにはクッキーやチョコレートマフィンなどが並んでいて、これを目当てに定期的に通いたいと思ったほどです。

さらに、44 des fleurs, des choses et un caféは、木曜と金曜にかぎり夜22時まで営業。ワイン・シャンパンといったアルコールに加えて、軽いおつまみ(チーズなど)も用意されています。花屋さんでワインとチーズを頼めるなんて、「さすがフランス!」という感じですね。
お客様の中には「週に3、4回も来る常連客がいる」とのことでしたが、この空気感と美味しさに触れると、何度も通いたくなる気持ちが本当によくわかります。
日曜日にはワークショップも

お花とカフェだけではありません。日曜日には、フラワーアレンジメントや陶器ペイントのワークショップも開催されています。
このように、44 des fleurs, des choses et un caféが大切にしているのは、「人と人とのつながり」です。販売だけでなく、お店に流れる時間そのものを楽しんでもらいたい、というコンセプトで営業されているそうです。

対応可能な言語は、フランス語、英語、そしてレバノン語の3つ。地中海地方のあたたかいおもてなし精神を宿した、お洒落でアットホームなフローリストカフェでした。
パリで増えている「花屋+α」

花とカフェ、そして人の温もりが混ざり合ったフローリストカフェは、今のパリにおける新しい居場所の一つになっています。
トレンドの移り変わりが早いパリではありますが、こうして人々に新しい「居場所」ができたという意味では、単なる流行りで終わらないような気がしています。

+αで何かを提供している店は、花屋だけに限りません。アンティーク小物を販売する美容院、食堂を兼ねた本屋さん、アートギャラリー併設の香水ショップ…などなど。デジタル化の影響で遠のいてしまった客足を戻すため、パリではとくに事業の多角化が目立っています。
とはいえ、お店のスタッフもそこに集うパリジェンヌたちも、みんな気さくであたたかい。1万軒以上のカフェがあるともいわれるこの街に、また一つ新しい風景が加わったように感じました。

フランス在住。美容部員、メイクアップアーティストを経て、2019年からライターに。香りやコスメが大好きで、現地パリから最新情報をお届けしています。趣味はヨガと水彩画とパリの美術館めぐり。美容のほか、アート・エシカル・ライフスタイルなど、日本とフランスをつなぐ読みものを発信。
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