【爆速レシピクリエイター・およね】不安の中で見つけた答えは「好きな料理を発信し続けること」
INTERVIEW

2026.07.17

【爆速レシピクリエイター・およね】不安の中で見つけた答えは「好きな料理を発信し続けること」

“爆速レシピクリエイター”として話題のおよねさんを知っていますか?

「自炊ハードルを地の果てまで下げていく」をモットーに、さっと作れておいしいレシピを日々、発信しています。人気はまさに爆速! 現在、SNSの総フォロワー数は40万人超えと話題です。

そんなおよねさんにレシピ発信をはじめたきっかけや、およね家の人気メニュー、さらにこれからの活動についてじっくり伺いました。

夫の退職をきっかけにはじめたレシピ発信が人生を変えた

――まずは「爆速レシピクリエイター」としてレシピ発信をはじめた時期と、きっかけを教えてください。

レシピの発信をはじめたのは、2021年の12月末です。今振り返るとこの年は、私の家族にとって転機となった年でした。上の子どもは4月から小学校へ入学、私は子育てと今後の働き方に悩みながら、在宅でできる事務の仕事をしていました。そんな矢先、秋に夫が適応障害で退職することになりました。夫には心の健康を取り戻してもらいたいと思っていましたが、収入面の不安と焦りを感じるようになっていきました。「幸せになるために一生懸命生きているのに、どうして幸せを実感できないんだろう」と本当に悩んだ時期でした。当時は無駄遣いできないものの、時間はたっぷりあったので夫婦で近所を散歩したり、神社巡りをしたり、とにかくよく歩き、話し合いました。その結果、これからは自分たちが純粋に「楽しい」「好き」と思える時間を強制的にでも増やしていこう、という答えを出しました。そこから私の好きな料理をSNSで発信してみることにしました。

――料理はいつから興味があったのですか?

小学生の頃から興味がありました。両親が共働きだったので、学校が終わると祖母の家に帰っていたんですが、祖母のお手伝いをするようになってから料理が好きになりました。並んで絹さやの筋を取ったり、おやつに大学芋を作ったり、とにかく楽しい時間でした。

中学生になると家族の夕食を作るようになりました。材料費として1,000円もらい、残りはお小遣いにしていいよと言われたので、なるべくおつりが残るよう家の食材を使ったり、工夫したりしながら家族の夕飯を作っていました。それがゲーム感覚で楽しくて。しかも家族も美味しいと言って食べてくれるので、嬉しかったです。

――中学生の時から台所を任されていたとは。まさに食育ですね。

でも、失敗もありました。中1の時に入院中の祖母に、祖母の好きな草餅を作って持っていってあげようと思い、作ることにしました。もち米やあんこ、よもぎの粉末を用意して、蒸している時に布巾を燃やしてしまいました。あやうく火事になるところでした。

――中学生の頃に和菓子を手作りしようと思っていたなんて。

購入するという選択肢はなかったですね。大好きな祖母にとにかく喜んでもらいたくて、手作りしました。

“フォロワーさんの声”から新しいレシピが生まれる

――料理が好きな人、苦手な人、忙しくて時間がない人など多くの人にとって、およねさんの「自炊のハードルを地の果てまで下げにいく」というコンセプトは心強く感じていると思います。このモットーは、もともとおよねさんの料理のモチベーションだったのでしょうか?

私にとって一番のモチベーションは、好きなことを諦めないということです。それが子どもの頃から料理なんです。今は掃除や片付け、料理もプロの手を借りることができますが、どうしても料理だけは手放したくないと思っていました。以前、一度だけミールキットを使ったことがあります。ミールキットは便利ですし、時短にもなります。でも、私は暮らしを効率化するためのミールキットを使っている時に虚しさを感じてしまったんです。その時に、私にとって料理はモチベーションであり、手放してはいけないことだと思いました。そこから時間がない中でも作れるレシピを考えていこうと思うようになりました。

――SNSのコメントやDMなどで、料理のお悩みも寄せられるのではないかと思います。印象的だったものや、ハッとさせられたお悩みはありますか?

時短料理を発信していく中で、あるフォロワーさんから「餃子が大好きなんですが、野菜をみじん切りにすることも、餡をこねることも、包むことも面倒です」という声をいただきました。たしかに餃子は美味しいけれど、出来上がるまでの工程が大変です。その声を聞いた日は一日中、餃子のことを考えていました(笑)。

――その声からどんな餃子のレシピが生まれたのでしょうか?

最近は、フライパンにひいた餃子の餡に皮をかぶせるだけの簡単な作り方も紹介されていますが、やっぱり餃子は包むからこそ、美味しいと思います。そこで私がひらめいたのは棒餃子です。ポリ袋の中に千切りキャベツとひき肉、しょうゆなどの調味料を入れてこねます。次にテーブルの上にラップを長めに出し、そこに餃子の皮を5枚ほど並べます。餃子の餡が入った袋の端を切って皮の上にホイップクリームを出すように一直線に絞り出します。そして、ラップごと持ち上げてまずは手前側をパタンと折ります。一度ラップを開き、折った皮の上に水を付け、今度は奥の皮を手前にラップごとパタンと折ります。これで手を汚さず一気に棒餃子ができあがります。この作り方も動画にしてアップしたところ、たくさんの反響をいただきました。

――本当にたくさんのレシピを公開していますが、どんな風に思いつくのでしょうか?

そうですね。外食に行った時に「この料理を再現するには?」「洗い物を最小限にするには?」と考えることが多いです。あとは、スーパーに行った時に実際にその日、店頭に並んでいる食材を見て「どうしたら一番美味しく食べられるかな?」と考えています。

――なるほど、外食やスーパーの食材からヒントを得ているのですね。最近誕生したイチオシのレシピを教えてください。

Instagramや私の最新レシピ本『”使いきる”だけでうまくいく 物価高に負けないレシピ事典』でも紹介していますが、“レンチン バターチキンカレー”です。材料をボールに入れて混ぜて電子レンジでチンするだけでバターチキンカレーができます。フォロワーさんからも好評で、「本格的でびっくりしました」と喜んでもらっています。

「全部自分でやらない」ことも、暮らしを整えるコツ

――料理を作ることはご自身やご家族の健康を守ることにも繋がるかと思いますが、最近特に意識されていることはありますか?

野菜とタンパク質をしっかり摂ることを意識しています。最近は、直径20センチのお皿でワンプレートご飯をよく作るんですが、7割は野菜のおかず、3割はタンパク質のおかずにしています。

――ワンプレートだと片付けも楽ですし、食べる量も調節できそうです。

実は、レシピの試作と撮影で身体が重くなってしまったんです。そこでダイエットも兼ねて、年ごろの娘と一緒に平日はワンプレートごはんを楽しんでいます。週末はチートデーにして、食べたいものを食べています。

――メリハリができていいですね。夕食をとる時間は何時までという風に決めたりしていますか?

厳密に区切っていませんが、我が家は19時~19時半までに夕食を食べて、私と子どもたちは21時~21時半に就寝します。翌日、私は4時半には起きています。7時間前後は眠れるので、目覚めもスッキリです。朝のほうが料理のアイデアやレシピが浮かぶので、日の出とともに仕事を開始しています。7時からは朝食を作って子どもたちを送り出し、8時から8時半ぐらいにまた少し寝ます。そこから起きてもまだ午前中なので、午後もクリアな状態で仕事ができます。

――育ち盛りのお子さんの食事について、工夫していることはありますか?

子どもたちには好き嫌いなく、いろんな食材を食べて欲しいと思っていますが、あれを食べなさい、これも食べてと、強制はしません。なぜなら、家族団らんの食卓の時間を、楽しく過ごしたいと思っているからです。だから食事の時間はスマホも禁止、テレビも点けません。

――お子さんはおよねさん考案のレシピの中で何がお気に入りですか?

“カリカリ甘辛 チキチキボーン”です。手羽中を唐揚げにして、そこに甘辛系のタレを絡めるだけですが、絶品なんです。子どもも大好きで、「今日はチキチキボーンだよ」と言うと、テンション上がって喜んでくれます。お誕生日やお祝いごとでも必ず作っています。

――フォロワーさんの中には料理が苦手な人もいると思いますが、およねさん自身は苦手なことにどんな風に向き合っていますか?

実は私、掃除やお片付けが本当に苦手なんです。なかなか効率的にできないので、思い切ってプロにお願いすることにしました。整理収納アドバイザーさんに自宅に来てもらって、キッチン周りや収納をチェックしてもらい、収納や掃除の仕方をアドバイスしてもらいました。そうしたらリバウンドすることなく、整理収納ができるようになりました。だから、苦手なことがあれば、プロにアドバイスをもらうことは大事だと思います。

――調理道具や食器、調味料のストックなど、収納に困っている方は多いと思います。

今まで調味料のストックなどは、すべて床下収納にガサっと入れていました。そうすると、ケチャップが何本も出てきたり、期限の切れた調味料が見つかったり…床下収納をうまく活用できていませんでした。プロにアドバイスをもらってからは、ストック系は引き出し収納に変えたんです。しかも、毎日目にする米びつの近くに変えたところ、以前のような失敗はなくなりました。

料理も、生け花も。好きなことが私を支えてくれている

――動画を見ると、およねさんは常にハッピーなオーラが溢れているように感じます。自分の機嫌を取るために意識されていることはありますか?

会社員をしていた時は、やりがいを感じることができませんでした。でも今は、大好きな料理にまつわる仕事に就くことができたので毎日が本当に楽しいです。それでも、ホルモンバランスの影響でイライラしたり、気分が乗らなかったりすることもあります。そんな時は一人時間を作るようにしています。

――常にご機嫌でいることは難しいですよね。一人時間はどんなことをして過ごしているのですか?

今年で40歳になりますが、30代後半から日本の伝統や昔ながらのことに興味を抱くようになりました。その中でも最近は、生け花に夢中です。お花に触れ、愛でることで心が豊かになりますし、バランスを見たり、構図を考えたり、一人で集中することは私にとって必要な時間です。

――自分だけのために作るご褒美飯みたいなものはありますか?

自分一人で食べる時のご褒美飯はエスニック系です。最近もフォーを作りました。パクチーや香辛料を好きなだけ入れて自分好みにして食べています。パクチーも購入すると高いので昨年は栽培していました。今年は大葉とキュウリとピーマンを育てています。

食と暮らしをもっと豊かに。新たなブランドへの挑戦

――およねさんは女性のキャリアや働き方についても講演されています。ご自身のキャリアの中で転機になったと感じるポイントはいつでしょう?

前述した通り、夫が無職になったタイミングが転機でしたが、その他にもオンラインで仕事をはじめたことも私にとっては転機でした。もともと私は、大学卒業後はベンチャー企業で深夜まで働くような過酷な環境にいました。結婚し、子どもが生まれたタイミングで転職をしましたが、当時は完全出社だったので9時から17時まで働いていました。毎日、仕事と保育園の送迎と家事で体力的にも精神的にも辛かったです。上の子が小学校に入学したタイミングで、在宅でもできるオンライン事務に変えたのですが、同じ8時間を働くにしても、時間の裁量が自分にあることで心の余裕が生まれ、家事育児のまわし方も改善されました。この経験から、「これからは時間を自分でコントロールできる働き方でキャリアを築きたい」という価値観に変化しました。

――働き方を変えて、時間を味方にしたら生活自体も改善されたということですね。

まさにそうです。以前はタイムカードに左右される働き方をしていたので、朝は遅刻しないようにダッシュし、帰りは保育園のお迎えに遅れないよう、またダッシュをする…こんな生活を送っていました。

――現代社会はコスパ・タイパがさまざまな側面で求められています。特に若者世代を中心に“失敗したくない”という価値観があると言われていますが、そのような傾向についてどう思いますか?

失敗したくないという感覚は、私自身にもあるのでその気持ちを否定するつもりはまったくありません。ただ40歳を目前にして気づいたことがあります。これまでの経験を振り返ると、失敗したからこそ人に優しくなれたり、誰かの気持ちに共感できたりするようになりました。そして、失敗した経験があるからこそ、自分にとっての成功がどんなものかも見えました。だから若い世代の方たちには、失敗も含めたくさん経験をしてもらいたいなと思います。

――40歳を迎えるおよねさんですが、これから挑戦しようと思っていることはありますか?

自分の中に料理が軸としてあるので、食にまつわることには今後も携わっていきたいと思っています。そこで、2026年7月に食と暮らしのブランドを立ち上げました。「今日の私も、いいよね」というコンセプトで、心と身体を想う商品やサービスを提供します。その第一弾としてお米から具材までこだわった、冷凍おにぎりを販売します。自然栽培米で握った“やさしい味のおにぎり”を多くの人に食べてもらいたいです。

――ますます活躍が期待できそうです。最後に今後のおよねさんの人生のビジョンを聞かせてください。

そうですね。「正解」や「成功」にとらわれず、面白そうだなと思うことや、ワクワクすることに目を向け、自分らしい人生を紡いでいきたいなと思っています。また、直感力を大切にしながら、さらに活動の幅を広げられたらいいですね。

Profile
およね
東京都生まれ。大学卒業後、介護福祉系ベンチャーで新規事業開発に携わり、事業戦略や採用を経験。結婚・出産後は仕事と家庭の両立を模索しながらキャリアを築く。夫が適応障害で働けなくなったことが転機となり、爆速レシピクリエイターへ。直近の著作に『“使いきる”だけでうまくいく 物価高に負けないレシピ事典』(KADOKAWA)がある。

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「わたしを、そして一緒にいる誰かを大切にする」をコンセプトとした食と暮らしのブランド。およねさんが厳選した、素材や背景にこだわった商品やサービスをつくることを目指し、7月10日から第一弾として冷凍おにぎりの予約を開始。次回販売は、7月末~8月頭頃を予定。

撮影/渡会春加
取材・文/安田ナナ

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