2026.01.19
ワイン好き必見。今注目のワイン産地、西オーストラリア・マーガレットリバーを巡る3日間

パースでのアーバンステイを楽しんだ後、次なる目的地として向かったのは、西オーストラリア州を代表するプレミアムワイン産地、Margaret River(マーガレットリバー)。




パースから車でおよそ3時間。都市の景色が次第に遠ざかり、緑豊かな丘陵とブドウ畑が広がり始めると、この土地ならではのゆったりとした時間が流れ出すのを感じます。

マーガレットリバーは、“オーストラリアのボルドー”と称されるほどプレミアムワインの銘醸地。200ものワイナリーが点在しながらも、大量生産ではなく、テロワールを生かした高品質なワイン造りに注力している点が特徴です。
冷涼な海洋性気候と豊かな土壌に恵まれ、2025年の国際ワイン・スピリッツ・コンペティション(IWSC)で世界最高のワイン産地に選出されるなど、世界のワインラバーが今、熱視線を送っています。

日本が厳しい冬を迎える頃、この地にはあたたかな陽射しとやわらかな風、穏やかな時間が流れています。今こそ訪れたい、避寒旅の目的地の一つです。
ワインだけにとどまらない、美食スポット


右:ロングドライブのお供にテイクアウト


上級者向けのサーフスポットも
この地の魅力は、ワインにとどまりません。多くのワイナリーに上質なレストランが併設され、周辺にはクラフトビールの醸造所、職人が手がけるチョコレートショップ、農場直送のチーズやオリーブオイル、オーストラリアのひそかなソウルフードであるミートパイなど、食の楽しみが点在しています。
「ワインを飲むために訪れる場所」から、「食とともに滞在する場所」へ。マーガレットリバーは、世界中のワイン愛好家や美食家までも唸らせるほど進化を遂げています。
初めてのマーガレットリバーで訪れたい、王道ワイナリー5選

200軒以上のワイナリーが点在するマーガレットリバーでは、限られた滞在時間の中でどこを訪れるかが重要になります。
今回は、初めて訪れる人でもこの土地の奥行きを立体的に感じられるワイナリーを厳選しました。名門から小規模ブティックまで、バランスよく巡れる5軒です。いずれもワインの質はもちろん、土地の空気感や歴史、現在のマーガレットリバーを知るうえで欠かせない存在です。
1. Leeuwin Estate(ルーウィン・エステート)


マーガレットリバーを代表する名門ワイナリー。広大な敷地に広がるブドウ畑と、アートや建築が調和する空間は、この産地の成熟度を象徴する存在です。
ワインの質はもちろん、文化的背景まで含めて、この地を知るための入口として欠かせない一軒。次に訪れるなら、併設するレストランでより時間をかけてじっくりワインと向き合いたい。そんな余韻を残してくれました。
2. Voyager Estate(ボイジャー・エステート)


ケープ・ダッチ様式の白亜の邸宅が象徴的な、マーガレットリバーを代表するワイナリー。整えられた庭園とブドウ畑が広がる敷地は、訪れた瞬間にこの地のエレガンスを感じさせてくれます。
家族経営を貫き、土地の個性を生かしたワイン造りを続けてきたエステートで、品質の高さはもちろん、空間やホスピタリティまで含めて世界観が素晴らしい。ワインだけでなく、この土地の美意識やライフスタイルを体感できる点も魅力。
3. Amelia Park Wines(アメリア・パーク・ワインズ)


比較的新しいながら、現在のマーガレットリバーらしさを体現するワイナリー。洗練されすぎず、素朴すぎない、その絶妙なバランスが心地良いのが魅力。
ブドウ畑に囲まれた開放的な空気の中で味わうワインは、肩肘張らず、土地の個性がしっかりと感じられます。この産地が今注目されている理由を実感できる一軒です。
4. Pierro(ピエロ)


家族経営の小規模ワイナリー。量より質を重視するマーガレットリバーの精神を体現する存在。
手作業を大切にしたワイン造りと、造り手の哲学が感じられる味わいは、この地のワイン文化の奥深さを静かに物語ります。
5. Mr Barval Fine Wines(ミスター・バーバル・ファイン・ワインズ)


小規模ながら、ワイン好きの間で高い評価を得ているワイナリー。生産量は限られているものの、その分、一本一本に造り手のこだわりが感じられます。観光地化されたワイナリーとは異なる、静かで誠実な空気感。こうしたブティックワイナリーに出会えることも、マーガレットリバーを旅する醍醐味のひとつ。
名門を巡った後に訪れることで、マーガレットリバーが単なる銘醸地ではなく、多様な個性を内包する土地であることを実感できました。
滞在そのものが目的になる、Cape Lodgeという選択


ワイナリー巡りの拠点として選んだのが、「Cape Lodge(ケープ・ロッジ)」。
マーガレットリバーを代表するラグジュアリーオーベルジュのひとつで、昨年改修を終え、より洗練された空気をまとっています。




広々とした敷地には静かな湖が広がり、そのほとりに佇むレストランがこの宿の象徴。
客室は自然と調和するように配置され、過度な装飾はなく、心がすっとほどけるような心地よさがあります。





ここで過ごして感じたのは、「観光の合間に泊まる場所」ではなく、「この場所に滞在するために、マーガレットリバーを訪れる価値がある」ということ。
朝の澄んだ空気、夕暮れ時の静けさ、そして夜の深い闇。時間帯ごとに表情を変える景色が、滞在を豊かなものにしてくれます。


日中はワイナリーを巡り、夕方には宿に戻ってワインテイスティングのワークショップに参加したり、余韻を楽しむ。翌朝は湖畔の周辺を散歩して自然に触れ合う。ワイン産地に滞在することの意味が自然と腑に落ちてくるよう。
湖畔で味わう、Cape Lodgeのワインペアリングディナー


滞在中の夜は、Cape Lodgeが誇るレストランでのワインペアリングディナーコースを体験。
湖のほとりに佇むダイニングは、日が沈むにつれて静けさを増し、マーガレットリバーらしい穏やかな時間が流れ始めます。


コースの幕開けは、オーガスタ産のグリーンリップアワビ。磯の香りを閉じ込めたアワビに、海藻バターの旨みが重なり、土地の海を感じさせる一皿からスタートしました。
続く前菜には、トーベイ産アスパラガスにブリオッシュとヘーゼルナッツを合わせた、繊細で奥行きのある構成。素材の輪郭を丁寧に引き出す料理に、寄り添うように合わせられたワインが、料理の印象をさらに引き立てます。


二皿目の前菜は、地魚と春野菜をローストしたイカのコンソメでまとめた一皿。海と大地の要素が自然につながり、この土地の食文化を一皿で表現しているよう。
メインは、ワギン産ダックにほうれん草とマルメロを添えて。しっとりと火入れされた鴨の旨みに、果実のニュアンスが重なり、カベルネソーヴィニヨンとの相性も印象的。


デザートには、チョコレートとココナッツ、和梨を組み合わせた軽やかな余韻。甘さを抑えた構成で、コース全体を美しく締めくくります。
連泊の午後にはコンプリメンタリーでアフタヌーンティーも楽しめます。
<Five Cours Seasonal Tasting Menu>
1.TO START
Augusta green lip abalone | seaweed butter
W / 2019 Howard Park ‘Grand Jete’, Great Southern, WA
2.FIRST ENTREE
Torbay asparagus | La Dame | brioche | hazelnut
W/ 2024 LS Merchant Pinot Gris, Margaret River, WA
3.SECOND ENTREE
WA fish | spring vegetable | roasted squid consommé
W/ 2024 Stella Bella, Chardonnay, Margaret River, WA
4.MAIN
Wagon duck | spinach | quince
W/ 2018 Clairault, Cabernet Sauvignon, Wilyabrup-Margaret River, WA
5.DESSERT
Chocolate | coconut | Japanese pear
W/ 2018 Alkoomi, Cordon cut, Semillon, Margaret River, WA


翌朝は同様のダイニングで、朝日に照らされて水面がキラキラ光る湖畔を眺めながら、セミビュッフェスタイルで朝食をいただきます。
ワインと料理、静寂な環境が一体となる食体験は、ワイン産地に泊まるという体験を完成させてくれる、Cape Lodgeならではの時間でした。
移動に追われることなく、土地のリズムに身を委ねることで、マーガレットリバーの魅力がより立体的に感じられました。何か特別なことをしなくてもいい。ただこの場所に身を置くこと自体が贅沢なのです。
ワインを目的に旅をする、大人のためのデスティネーション


パースの街から足を伸ばした先には、ブドウ畑からワイングラス、そして一皿の料理へ。土地の恵みが丁寧に手渡されていくような、豊かな体験がありました。
名門ワイナリーから小規模生産者まで、それぞれが個性を大切にしながらこの地のテロワールを表現し、Cape Lodgeのようなオーベルジュでは、その魅力を一晩かけて味わうことができる。飲む・食べる・泊まるという体験が分断されることなく、ひとつの流れとして成立しているのが、この地域ならではだと感じます。


日本の冬を抜け出し、南半球の穏やかな空気の中でワインと向き合う時間は、慌ただしい日常から少し距離を置く、大人のための贅沢なリセット。
次にオーストラリアを訪れるなら、観光地を巡る旅の合間ではなく、ワインを目的に、この土地に滞在する。そんな旅の選択肢として、マーガレットリバーは記憶に残る場所になるはず。

17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。6年にわたってMBSラジオパーソナリティを務める。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は47カ国。特にタイに精通し、渡航回数は30回以上。ハワイ留学、LA在住経験有り。現在は拠点を湘南に移し、全国各地を巡りながら、東京と行き来してデュアルライフを送る。JSAワインエキスパート呼称資格取得。
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