開業10周年、翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル京都で調う滞在
LIFESTYLE

2025.12.19

開業10周年、翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル京都で調う滞在

千年の歴史を誇る都・京都。古くは平安京として都が置かれ、神社仏閣や町家、庭園など日本文化の粋が今も息づいています。中でも、嵐山は四季を通じた自然美に触れることのできる景勝地。春の桜、夏の涼、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々に表情を変えるその街並みは、世界中から訪れる人々に時を超えた雅やかな体験を与えてくれます。

平安時代より貴族の別荘地として栄えた嵐山地区でも、とりわけ天龍寺や宝厳院をはじめとする名刹に隣接した抜群の立地を誇る「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」は、マリオット・インターナショナル(Marriott International, Inc)のラグジュアリーホテルブランド「The Luxury Collection®(ラグジュアリーコレクション)」の日本初進出ホテルとして、2015年3月、京都・嵐山に誕生し、今年で10周年を迎えました。

鎌倉時代には後嵯峨上皇の離宮であった亀山殿の敷地内に位置し、近代以降では川崎造船所創始者・川崎正蔵氏の別荘「延命閣」を造営。その後60年近く続いた高級老舗旅館「ホテル嵐亭」の跡地を全面改修し、「継往開来(けいおうかいらい)」の開発コンセプトをもとに、伝統と革新を融合させた唯一無二の滞在体験を届けています。米国の旅行誌「コンデナスト・トラベラー」読者投票で6年連続日本ホテル部門第1位に選出されるなど、国内外から高く評価されています。

今回取材に出向いたのは残暑厳しい9月。天然嵐山温泉を設えたスパトリートメントで旅の疲れを癒やし、シャンパンフリーフローと共に、初夏から秋分にかけての風物詩・鵜飼鑑賞、築120年超の明治期建築を改装したレストランで旬の京食材を味わう美食体験、そして早朝の清らかな日本庭園を前に呼吸を整えるメディテーションストレッチや、心を調える写漢詩体験まで…。京都・嵐山ならではの贅沢でありながら、心身を満たす1泊2日の滞在をお届けします。

1泊2日滞在スケジュール

■1日目
15:00 スパトリートメント(130分)
18:00 嵐山ディライト(シャンパンフリーフロー)
18:30 嵐山鵜飼鑑賞
19:00 ディナー

■2日目
7:00 メディテーションストレッチ
8:00 朝食
9:30 写漢詩 (取材のため特別開催)
12:00 チェックアウト

嵐山温泉を独り占め。塗香と茶の種子オイルで整うプライベートスパ体験

チェックイン後に向かったのは、天然嵐山温泉の露天風呂を設えた、わずか2室のプライベートスパ。扉を開けた途端、やわらかな湯気と檜の香りにふわりと包まれ、外の喧騒から切り離されたような静謐な空間が広がります。

ここで体験したのは、130分のシグネチャートリートメント「清嵐(せいらん)」。京の伝統を現代のウェルネスに昇華したメニューで、心身ともに深くほどけていくような時間が始まります。

まずは嵐山温泉の湯に浸かり、旅路で蓄えた疲労や緊張が徐々に緩んでいくのを感じます。「洛」の方には品格あるヒノキ框(かまち)の露天風呂。緑の揺らぎと湯面の反射が美しく、呼吸はいつの間にか深く穏やかに。

簡単なカウンセリングを終えて、ベッドにうつ伏せになり、シンギングボウルの音でスタート。入浴で温まった身体に施されるのは、古来よりお清めのために用いられてきた「塗香(ずこう)」を取り入れたボディケアトリートメント。塗香を両手で擦り広げると体温で温められて白檀や丁子を思わせる穏やかな香りがフワッと広がり、気持ちがすっと静まっていくのがわかります。

続いて使用されるのは、ホホバオイル、マカデミアンナッツオイルをベースに、希少性の高い茶の種子オイル。京都・宇治にゆかりの深い茶の文化を象徴する、この地ならではのプロダクト。肌にのせた瞬間にとろけるように広がり、潤いとハリを与えてくれます。

さらにエッセンシャルオイルとしてヒノキ、柚子、フランキーセンス、サンダルウッドをブレンドした和の香りのオイルを使用。ほのかに香る茶葉や柑橘のアロマが心地よく、訪日外国人ゲストにも人気だとか。

さらに、植物細胞活性発想エイジングケアの最高峰を目指すラグジュアリースキンケアブランド「スイス・パーフェクション」をラインナップで贅沢に使用したフェイシャルトリートメント。肌細胞の活性化に特化したメニューで、ひんやりとした翡翠石が肌の上をすべるたび、余分な熱や滞りがすっと引いていく感覚が新鮮。

仕上げには、フリーズドライしたコラーゲンパックを美容液でふやかして顔にのせ、その間はデコルテをゆっくりマッサージ。肌に触れる指先が滑らかで、まるで余分な凝りや思考が一つずつ剥がれ落ちていくよう。肌は生まれ変わったかのような透明感に。施術後にはフェイスラインが引き上がり、頭が軽くなったような爽快感が広がります。

130分という時間以上に得られる深い解放感。ただ癒されるだけでなく、「清める」「整える」という京都ならではの精神が随所に感じられ、旅のはじまりにふさわしい、心身をリセットする時間となりました。

■プライベートスパ「洛(らく)」「庵(あん)」
利用時間: 15:00~22:00(最終受付21:00)
料金:清嵐(せいらん)130分 52,877円
利用時間:6:00~11:00(最終受付)/15:00~23:00 (最終受付)
料金:1回1組 45分 4,427円 (完全予約制)(+入湯税 1名 150円)

嵐山の稜線に染まる夕景とシャンパンフリーフローに心躍るひと時

奈良、宮古島、そして京都ー日本全国にある3つのラグジュアリーコレクションでは、宿泊客限定で夕暮れ時にシャンパンフリーフローを開催。この時間を楽しみに来るリピーターも少なくない。

ここでは「嵐山ディライト」として「茶寮 八翠」にて毎夕開催されます。目の前には保津川のゆるやかな流れと、夕日に染まる嵐山の稜線。日が傾くにつれて空気が落ち着き、空は次第に赤く色を染め、穏やかな時間が流れていきます。

グラスに注がれるシャンパンの泡がきらめき、喉を通るたびに心がほぐれていくよう。満月の時期にはまるい月が稜線の上に浮かび、より幻想的な夕景を楽しむことができます。

日時:毎日17:00〜19:00(L.O.18:30)
開催場所:「茶寮 八翠」
料金:無料

※毎週水曜は「SAKE EXPERIENCE」を同時開催

茶寮 八翠の特等席で味わう、嵐山鵜飼の幽玄美

夏の始まりから秋分にかけて、京都・嵐山の風物詩といえば、鵜飼鑑賞。

嵐山に流れる保津川に屋形船を浮かべ、篝り火の中、古式漁法の鵜飼の見物を楽しむという、この地ならではの行事です。

川に浮かぶ鵜舟の灯りが、川面に淡く映り込み、穏やかな水の流れと相まって幻想的な光景を生み出します。目の前で鵜匠が鵜を巧みに操り鮎を捕る姿は、古の技と自然の調和を感じさせる静かな興奮に満ちています。炎の明かりに照らされる鵜舟と水面の反射が作り出す光景は、まるで一幅の絵画のよう。音もなく進む舟の影と、水面に揺れる光のリズムに、自然と呼吸もゆるやかに整います。静かな夜の嵐山で伝統文化を目の前に体感する、特別な時間が流れます。

※毎年7月1日から9月23日までの開催

NYで修行を積んだシェフの感性が光る、秋の会席「錦繍」を味わう

夜の帳が静かに降りる頃、案内されたのは、築120年を超える明治期の建築を改装したレストラン「京 翠嵐」。建築当時は「嵐山御殿」と称されたほどの荘厳華麗な建物「延命閣」の金砂子を用いた床の間や、川崎家の家紋入り七宝の釘隠に、組紐をイメージしたシャンデリアや朱色の家具を配し、当時の趣と現代の快適さを融合させた空間。ここからの美しい眺めは命が永らえるようだとして「延命閣」と名付けたのは、第4・6代内閣総理大臣且つ日銀創始者の松方正義氏だとか。

修復・復元を重ねて時を刻んできた、トラディショナルかつモダンな空間で、しっとりとした和の佇まいと、外の庭園から差し込むほのかな灯り。旅の余韻とともに特別な晩餐が幕を開けます。

コースを手がけるのは、2025年2月に「京 翠嵐」の総料理長に就任した山口翼シェフ。彼の料理哲学は、京都の伝統とフレンチで培った“素材の可能性を最大限に引き出す技法”との融合。ニューヨークで研鑽を積んだフレンチの技を、京都の四季と素材に寄り添わせた、和と洋の調和が持ち味です。

「錦繍(きんしゅう)」と名付けられたコースは、秋の恵みを繊細に映し出す内容。

先寸はサーモンの脂味と赤酢の酸味のバランスを楽しむ手毬寿司から始まり、旬菜の烏賊×キャビア、松茸と鱧の土瓶蒸しへと続き、香りと味わいが自然に高まっていきます。

甘鯛を九条葱や里芋と合わせた温菜、黒にんにくや実山椒で香りを重ねた和牛ステーキなど、ひと皿ごとに京都らしい深みと、シェフらしい軽やかなアクセントがきらり。最後の焼き芋に至るまで、秋色が続くコースでした。嵐山の自然を借景にいただくディナーは、山口シェフのセンスが静かに花開く、美しい夜の時間そのもの。

錦繍(きんしゅう) コース
・先寸:
サーモン
地鶏、田楽味噌、コーヒー豆
唐墨、紅芯大根、チーズ
・旬菜:烏賊、キャビア、カリフラワー、湯葉、アンディープ
・御椀:松茸、鱧、銀杏
・温菜:甘鯛、九条ねぎ、里芋、あおさ、貝
・焼物:和牛、黒にんにく、人参、牛蒡、実山椒、ぶどう
・〆: 龍の瞳、留椀
・甘味: 芋、バニラアイス、トンカ豆、ラム、醤油

庭園の静けさに包まれる、朝のメディテーションストレッチ

翌朝は、嵐山の緑に囲まれた日本庭園で行う「メディテーションストレッチ」のクラスに参加しました。

東の空から昇る太陽が、嵐山を照らし、木々を輝かせ、保津川の水面がきらめき、悠久の自然美を全身で感じられます。苔むした石庭と深い木々に抱かれた静寂の中で、小鳥の気配が迎えてくれます。

薄靄の残る嵐山の空気を吸い込み、ゆっくりと呼吸を整えながら体をほぐしていくと、次第に心まで軽くクリアに。

西陣織の特製マットやおりんなど、クラスで使用する備品をとってもホテルのこだわりが伝わり、五感がしっとりと目覚めていくよう。自然と一体になるようなひとときは、旅先の朝を特別なものへと変えてくれます。

日時:毎週火・木・土に開催 7:00〜
開催場所:「日本庭園」
料金:無料

※最大6名、予約は前日18時まで

一日の始まりを整える、京都の滋味深い朝餉

身体を動かした後は、「京 翠嵐」での朝食へ。

大きく切り取られた窓の向こうに広がるのは、朝露にしっとりと濡れた庭園の景色。松の枝ぶりや石塔の佇まいが美しく、座っているだけで心が整うよう。

美山牛乳で作ったヨーグルト、嵯峨豆腐森嘉の厚揚げ豆腐、賀茂茄子とのミルフィーユ仕立て、麩、水菜、縮緬雑魚、金平牛蒡

テーブルに最初に並ぶのは、キャロット・トマト・オレンジ・グリーンスムージーなど、色鮮やかなフレッシュジュース。体の目覚めをそっと促してくれます。

続いて提供されるのは、出汁文化が息づく京の朝を象徴するような品々。南禅寺周辺が良質な豆腐の産地であったことに由来する南禅寺蒸し、京山利の味噌を使用した味噌汁、生麩や旬野菜の焚き合わせ、小さな器に繊細に盛りつけられた香の物。焼き魚は脂のりの良い西京味噌仕立てで、白米との相性が抜群。ご飯かお粥を選べるスタイルで、この日は炊きたての白米を。粒の立ったご飯が、朝の静けさとともに体に沁み入るよう。和洋2種類のコース、あるいはコンチネンタルブレックファーストやアラカルトメニューなども。

旬を感じる京の食材を丁寧に仕立てた料理は、ひとつひとつが滋味深く、身体にすっと染みわたる味わい。静けさに包まれた空間で、緑を眺めながらゆっくりと箸を進めていると、旅の朝がいっそう豊かに感じられました。季節の移ろいを五感で感じられる贅沢な体験。

詩人の記憶が息づく旧・八賞軒で、心を整える写漢詩体験

毎週金曜の早朝には、築100年超の歴史的建造物「旧・八賞軒」にて写漢詩を体験する宿泊者限定のワークショップを開催。かつて嵐山八景を題材に8名の詩人たちが詠んだ「八賞軒詩」を一字一句書き写すという、この地ならではのアクティビティ。

静謐な空間に身を置き、只々なぞることに集中し、筆先が和紙を滑る音に意識を預けると、心のざわめきがすっと凪ぎ、言葉と自分の内側がそっと重なり合っていく。ある種のマインドフルネスのよう。京都の文化と自分の感性が共鳴して、知的好奇心が自然と満たされていくような特別な体験でした。

嵐山の自然とラグジュアリーが調和する、静かで特別なひと時。

※嵐山八景とは、花、新緑、蛍、河鹿蛙、滝、月、紅葉、雪を表す

日時:毎週金曜日7:30〜
開催場所:「茶寮 八翠」
料金:無料

終わりに

千年の文化が重なる京都・嵐山という地に身を置くと、自分自身の感覚に訪れる小さな変化を感じるという。川の流れ、庭をわたる風、鈴虫の声、落葉する香り、建物に刻まれた時の気配…その一つ一つに意識が向き、五感が自然と研ぎ澄まされていくよう。

「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」が大切にしているのは、ラグジュアリーでありながら、文化を未来へつなぐという姿勢。建物の保存や伝統行事への敬意、四季とともにあるおもてなしは、単に贅を尽くした滞在の提供ではなく、“この地の物語を次の世代へ手渡す”という静かな意思に満ちています。

サステナビリティとホスピタリティを両立させるという難しい命題を、気負いなくごく自然体に実現している場所。

ここに滞在することは、豪奢に浸ること以上に、自分の内にある感度を取り戻すような、どこか原点に立ち返る時間にも感じられます。

心と身体のリズムが整っていくのを感じながら、改めて「継承することの価値」を静かに想う。
それこそが、この地を訪れる意味なのかもしれません。

翠嵐で過ごすフェスティブシーズン

2025年12月27日(土)~2026年1月7日(水)の期間中は、フェスティブシーズン限定メニューとして、レストラン「京 翠嵐」では、嵐山の景観を眺めながら楽しめる季節の食材を生かした特別メニューを、ご宿泊の方にはインルームダイニングメニューにて年越しそばを提供。新しい年を寿ぐ、「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」ならではの特別なひと時を過ごしてみては?

https://www.suihotels.com/suiran-kyoto/news/60

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