<比良ぺリラ> 里山保全のために栽培された”赤しそ”がつなぐ物語 #巡る滋賀

<比良ぺリラ> 里山保全のために栽培された”赤しそ”がつなぐ物語 #巡る滋賀

滋賀県の最大の魅力といえば、滋賀県の代名詞でもある日本最大の湖・琵琶湖。その他、国宝の「彦根城」やユネスコ世界文化遺産の「比叡山延暦寺」など一度は訪れたい観光スポットもまた有名です。

でも、それだけではありません。有名観光スポット以外に焦点を当て深掘りすると、まだまだ知られていない注目ポイントがたくさん! それを知らないなんてもったいない…!

この連載では、「現地の方がおすすめしたいスポットやお店、それをつくるヒトの魅力をていねいに取材し、お届けする滋賀の観光ガイド“巡る滋賀”」の情報を発信していきます。

滋賀県への旅のきっかけやガイドブックとなりますように…そんな思いを込めて滋賀県の新たな魅力をお伝えします。

すっきり爽やかな飲み口の赤しそジュース、「比良ぺリラ」。ソーダやミルクで割ったり、ゼリーにしたり。老若男女幅広い世代に支持される人気ドリンクが滋賀県にあります。

ここでていねいに育てられる赤しそには、地域の里山保全、そして文化を未来へつないでいく役割があるのだそうです。その想いを紐解いていきます。

ぺリラ(Perilla)とは、しその学名。「比良ぺリラ」はその名のとおり、滋賀県大津市の“比良”地区で育てられた“赤しそ”で作ったジュースです。

琵琶湖を眼下に望み、急峻な1000メートル級の比良山を背に構える。比良地区は、山・里・湖が近接した、まさに湖西を象徴する地形です。
収穫の夏、赤しそ畑に伺うと、絨毯さながら、農地一面に赤紫色の鮮やかな光景が広がっていました。葉は大人の手のひらほどのサイズにまで育っています。

「赤しそってけっこう大きくなるんですよ。普通の畑で見る分には、だいたい40〜50センチくらいでしょうか。でも、ここではしっかり育てるので、大人の腰より高くなります。子どもだったら隠れちゃってどこにいるか分からないくらいになりますね(笑)」
そうにこやかに話すのは、「一般社団法人 比良里山クラブ」代表理事の三浦 美香さん。比良の里山を愛し、2003年の団体設立から20年余り、その魅力を伝える活動に携わってきました。

ここにある赤しそはすべてジュース専用にこだわりながら育てられたものです。
「種を取り、苗を育てて植え付けるということを毎年繰り返しています。2009年からスタートし、今や、しっかり“比良産の赤しそ”と言えるまでになったと思います」

赤しそジュースの酸味にはお酢やクエン酸がよく使われるのですが、比良ぺリラの場合はレモン果汁を使用。「酸味が強く出過ぎずお子さんも飲みやすく、広く楽しめる味わいに仕上げています」と三浦さん。

3倍濃縮の比良ぺリラ。まずは定番、さっぱり、キリッと「ソーダ割り」。適度な酸味と炭酸で、夏にぴったりの一杯。原液に甘さがあるため炭酸水は無糖のものがベターです!

お子さんには、よく冷やした牛乳でつくる「ミルク割り」もおすすめ。少し原液を濃いめにつくると、とろみがついて飲むヨーグルト風に!酸味が抑えられ、牛乳の甘さも加わることでよりスウィーティに楽しめます。

そのほか、お湯割りでホットドリンクにするもよし、アルコールで割るもよし。楽しみ方は、実にさまざま。割材によってバリエーション豊かな比良ぺリラが味わえます。

加えてここの赤しそは、栽培開始以来ずっと無農薬・有機肥料で育てられてきたのだそう。商品へと加工する際も、添加物は一切使用しません。「なによりずっとオーガニックにこだわって育てており、滋賀県の“環境こだわり農産物”の認証も毎年継続して受けています」と三浦さん。

比良山地のふもと、大地と光と風と水で育つ比良ぺリラ。身体にも環境にも優しい、栄養に満ちた地域ブランド飲料は、なぜこの地に生まれることになったのでしょうか。

「赤しそを栽培するきっかけは獣害対策でした」
比良地域一帯の里山には、今も江戸末期に築かれた“シシ垣”が残っています。イノシシやシカ、サルが多く、獣害を防ぐために当時、農民たちが総出で何キロにも渡り石を積み上げたと伝えられています。長きに渡る野生動物との強制共存を実践しつつ、いろんな対策をしても作物が被害を受けてきた現状があったと三浦さんは話します。

(提供:比良里山クラブ)

「被害を受けない作物はなにかないか、と試行錯誤する中で『どうやら、赤しそには手を付けないらしい』ということが判明し、赤しそを育てることが決まったのです」

赤しそは暑さにも強く、猛暑にも耐えられる植物。多くの方に楽しんでもらえるジュースにして販売することになりました。
「赤しそジュースというのは全国にたくさんあります。やるからには、全国で一番美味しい、きれい、楽しめるものを目指そうと思って出発しました」

(提供:比良里山クラブ)

そうして比良里山クラブで販売が始まった「比良ぺリラ」。以前ライター業に従事していた三浦さんにとっては「私の夢が叶った商品」だったともいいます。
「ライター時代、たくさんのコピーを書いてきたわけですが、どれも他人が作った商品に対してのことなんですよね。『いつか自分が作った商品のコピーを書いてみたい!』という想いを持っていました」

(提供:比良里山クラブ)

「なので比良ぺリラができたときは、デザインこそプロにお願いをしましたけど、パンフレットやパネルの文章は全部自分で考えてましたね(笑) 」

比良の里山を保全し、農地を放棄しないようにとの想いからできた、赤しそ飲料「比良ぺリラ」。
比良里山クラブは、地域の課題と向き合いながら、比良ぺリラや活動拠点である「比良まほろばの里」を基盤とした地域づくりを目指しています。

神社は伝統文化の継承の場ですが、近江神宮はそこに実用技術教育を結びつけました。

まさに「時の文化」の継承で、伝統の神域に学校を置くことで、精神性と実学が一体化したユニークな学び舎となっています。

比良まほろばの里で、比良の自然を体験!気になる続きはこちら

ディープな滋賀の魅力に出会える! 人気連載「巡る滋賀×キレイノート」の他記事は#巡る滋賀からご覧いただけます!

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