旅好き・イガリシノブさんが子どもと一緒に北海道への車旅を決めた理由

旅好き・イガリシノブさんが子どもと一緒に北海道への車旅を決めた理由

ヘア&メイクアップアーティストとして独自の“イガリメイク”を生み出し、常に業界をリードしてきたイガリシノブさん。プライベートでは4歳と8歳の2児の母でもあり、大の旅行好き。

そんなイガリさんがこの夏、家族とともに車で自宅を出発し、東北から北海道・ニセコへ、9泊10日の子連れ旅を楽しみました。旅の工夫からおすすめスポットまで、イガリさん流の旅のヒントを伺う短期連載。今回は北海道旅で工夫したポイントや、イガリさんの旅のルールなどをお話しいただきました。

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「日本のことを知ってほしい」

――今回、旅先に北海道を選ばれた理由はなんだったのでしょうか?

次女の友だちのご家族が、夏の間だけニセコで仕事をしていて、その話を聞くうちに、ニセコに憧れを持つようになったんです。我が家は、毎年夏休みは海外に行っているんですが、子どもたちにも日本のことを知ってほしいし、私はスキーをしないので、ニセコに行くなら夏かなという気分だったので、今年は9泊10日、日本の旅にしました。

――今回の旅は、ご自身で運転して北海道まで行ったそうですね。

そうなんです。昔、バックパッカーで旅した経験があって、いつか子どもともやりたい気持ちがあるんです。でも今は下の子がまだ小さいので、記憶にも残らないだろうし、私が苦労しそうで(笑)。それなら車で北海道まで行くのもいいなと思ったんです。

最初はキャンピングカーも考えたんですが、レンタル料金が高いし、やっぱり普段乗り慣れた自分の車のほうが安心かなと思って。子どもたちに相談したら「楽しそう!」と大賛成してくれたので、車で行くことにしました。後部座席をフラットにして寝られるよう工夫もしたので、思った以上に快適でした。

せっかくなので茨城に住む親戚の家にも寄りたいと思って、ルートを組みました。子どもたちには仙台のアンパンマンミュージアムを、そして好物の牛タンや盛岡冷麺を味わうために盛岡にも立ち寄ることに。最終的には青森港からフェリーで函館へ渡り、そこからニセコを目指すスケジュールになりました。

地元の食文化や人の温かさに触れ、家族の記憶に残る旅に

――旅の費用面で工夫したことはありますか?

今回の旅の予算は、家族3人で20万円と決めて、その中でやりくりしました。ガソリン代や宿泊費、食費、お土産代などすべて含めてです。子どもたちにも、限られたお金でやりくりすることの大切さを伝えられたと思います。

東北では1万円前後のホテルにも泊まりましが、親戚や友人宅にも泊まらせてもらう日もあったので、おかげで宿泊費はかなり抑えられましたね。さらに、駐車場代が東京と比べて驚くほど安く、ほとんどかからなかったのも助かりました。贅沢はできないけれど、「美味しいものはしっかり食べようね」と家族で決めていたので大満足でした。

外食は観光地価格で、小さなカルパッチョが5,000円もしてびっくり! なので、ニセコでの食事は基本的に自炊にしました。でも地元の野菜が新鮮でとても美味しかったので、むしろ自炊のほうが豊かな食卓になったんじゃないかな。

――道中、印象に残っている出来事はありますか?

盛岡市の「盛岡神子田(みこだ)朝市」ですね。早朝行ったら、地元のおばあちゃんたちが380円で朝定食を出してくれるんです。ご飯、豚汁、煮物、納豆なんかが付いてこの値段。信じられないですよね。東京では絶対に食べられない金額です。

しかも、子どもに「めんこいね~」と声をかけてくれたり。すごく人気のお店の唐揚げが売り切れだったんですけど、「最後の1個だから持っていっていいよ」ってわけてくれたり。優しさに触れて、すごく温かい気持ちになりました。

青森市の「浅虫温泉」もよかったです。駅前に足湯があって、それが最高でした! 一気に身体が軽くなるんです。部活帰りの子たちが立ち寄ったり、ケンカしながら足湯に浸かっている高校生のカップルもいて(笑)。東京では見かけない風景に、すごくほっこりしました。

バックパッカー体験から車での家族旅行まで。旅がくれる豊かさとは?

――今回のご旅行とは別に、印象に残っている旅の経験はありますか?

やはり20歳の頃に、ヨーロッパをバックパッカーで2か月半くらい回った経験は人生に大きな影響を与えてくれたと思います。当時は、ユーロも携帯もない時代、「地球の歩き方」のヨーロッパ版を片手に、30か国以上を旅しました。罰ゲームでハンガリーからオーストリアまでザッハトルテを買いに行ったり、催涙スプレーをかけられて荷物を奪われたりしたこともありましたけど、今となってはどれも大切な思い出です。

特にスイスがすごく良くて。レマン湖やマッターホルンの美しさは忘れられません。マッターホルンでは、電車が崖の横を走っていて、「落ちたら死ぬな…」と思うような場所もありました(笑)。

あと、スイスのローザンヌにある「アール・ブリュット美術館」もすごかった! 受刑者や精神病患者が作ったアートは、他では見られない作品ばかりです。

――そんな旅好きのイガリさんが、旅先に必ず持って行くアイテムはありますか?

子どもと一緒の旅はどうしても泥だらけになってしまうので(笑)、自分の時間を取り戻せるバスタイムはとても大切にしています。お風呂で好きな香りに包まれることで、旅先でもリセットできるんです。

だから、かさばるんですけど、シャンプーなどのインバスアイテムは普段使っているものをそのままボトルごと持っていく派(笑)。ジルスチュアートのボディソープ、ハッチのメイク落とし、ボディプレックスのフェムケアソープ…など、いつものアイテムを旅先でずらりと並べると気分が上がります。

それから、カメラは旅に欠かせません。愛用しているのはDJIのもの。撮った写真は「しまうまプリント」や「富士フイルム」でフォトブックにしています。やっぱり手に取って見返せるアルバムには、デジタルにはない良さがありますね。

――イガリさんが旅先や宿泊先を選ぶ時に、大切にしていることを教えてください。

子どもには歴史やその土地の名物、人との触れ合いを経験させたいと思っているので、できるだけ多くの人と出会える旅を心がけています。そしてやっぱり、どこかで温泉に立ち寄れるといいですね。

宿泊先では、まずは子どもが楽しめるようなプールなどの施設や、美味しい朝ごはんがあることが大切。広々としたお部屋で、景色を楽しめるのも理想です。

――最後に、今回の旅はいかがでしたか?

素敵な思い出がたくさんできて、大満足の旅でした。美術館や水族館で文化的な体験や、地元の人たちとの心温まる交流もあり、ニセコでは自然と温泉をたっぷり満喫できました。本当にニセコが素晴らしくて、いつかここで自分のポップアップを開きたいという夢もできました。

子連れだとハードルが高いと思われるかもしれませんが、贅沢をしなくても豊かな旅はできます。今回の経験が、これから旅を計画する方のヒントになればうれしいです。

Profile
イガリシノブ
BEAUTRIUM所属。トレンドを抑えた独自の“イガリメイク”を生み出し話題に。以降、雑誌やテレビなど、様々なメディアで精力的に活動。コスメブランド「WHOMEE」のプロデューサーを務めるほか、小中学生に向けた活動も行う。

撮影/渡会春加
取材・文/岡井美絹子

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