2026.04.20
【小樽リトリート 蔵群 by 温故知新】宿泊記。静けさに身をゆだねる、“整う”ための北海道リトリート
北海道・小樽の朝里川温泉に佇む「小樽リトリート 蔵群 by 温故知新」。2026年2月にリブランドオープンを迎えたばかりの、全19室のスモールラグジュアリーリゾートです。

今回体験したのは、1泊2日・夕朝食付きの滞在。オールインクルーシブスタイルで、ドリンクや軽食も自由に楽しめる環境が整い、心と身体を解きほぐすための時間が用意されていました。観光地を巡る旅ではなく、“自分を整えるために訪れる場所”。そんな滞在の本質を静かに教えてくれる一軒です。
静謐の空間に宿る、日本の美意識
この場所に足を踏み入れてまず感じるのは、音の少なさ。耳を澄ませば、風や木々の揺らぎが静かに広がり、日常とは異なる時間の流れを実感します。施設は、小樽の石造倉庫群から着想を得て設計されたもの。建築を手がけたのは、数々の名宿を生み出してきた中山眞琴氏です。

「閑」という思想を軸に設計された空間は、過度な装飾を削ぎ落としながらも、日本ならではの繊細な美しさを感じさせる佇まい。和骨董や李朝・明朝家具が静かに配置され、時間を重ねたものだけが持つ深みが、空間に穏やかな緊張感をもたらしています。
客室で過ごす、“何もしない”という贅沢
全19室の客室は、それぞれ異なる趣を持ちながらも、共通して感じられるのは“余白”の美しさ。窓の外には里山の景色が広がり、朝の光や夕暮れの陰影が、時間の移ろいをやさしく伝えてくれます。自然と呼応するように設計された空間は、ただそこに身を置くだけで呼吸が整うような心地よさ。

すべての客室には源泉かけ流しの温泉を完備。好きなタイミングで湯に浸かり、思考を手放す時間は、この宿ならではの贅沢です。
自然と調和する、特別な客室「半露天温泉和洋スイート」
今回宿泊したのは、「半露天温泉和洋スイート」。客室に一歩足を踏み入れると、まず印象的なのが大きく設えられた掘りごたつスペース。大理石をあしらった上質な設計で、そこから望む景色はまるで自然の中に溶け込んでいるかのような感覚をもたらします。


窓の外に広がる里山の風景と、室内の静けさがやわらかくつながり、時間の流れまでも穏やかに変えてくれるよう。座っているだけで、心がほどけていくような心地よさがあります。さらに、床暖房が備えられているのも嬉しいポイント。足元からじんわりと温もりが広がり、北海道の気候の中でも快適に過ごせる設えに。長時間滞在しても疲れにくく、つい居続けたくなる居心地の良さです。


和と洋の要素が絶妙に調和した空間は、ひとりでの静かな滞在はもちろん、ご家族やグループでの利用にも最適。思い思いの過ごし方を受け止めてくれる、包容力のある客室でした。
客室は全6タイプ、詳細はこちら。
オールインクルーシブで叶う、自由な滞在
滞在はオールインクルーシブスタイル。館内のバーではアルコールやソフトドリンクをオーダーできるほか、軽食も用意されており、好きなタイミングで気軽に立ち寄ることができます。


客室内にもミネラルウォーターに加えてビールが用意されており、誰にも気を使わず、自分のペースで過ごせるのも嬉しいポイント。“何をするか”ではなく、“どう過ごすか”。その選択を手放すことで、心に余白が生まれていきます。
身体の巡りを整える、ウェルネス体験
リニューアルにより、温浴施設も進化。大浴場は貸切風呂へと改装され、酵素風呂やスパ、サウナ・水風呂・露天風呂といった多彩なウェルネス体験が用意されています。


特に酵素風呂は、身体の芯から温まり、内側から巡りを整える感覚が印象的。単なるリラクゼーションではなく、“整える”ための時間として深く記憶に残ります。
北海道の恵みを味わう、静かな食体験
食の時間もまた、この宿の魅力のひとつと言っても過言ではありません。
夕食では、小樽・余市・仁木・空知といった北海道各地のワインが豊富に揃い、夕朝食ともにドリンクはフリーフローで楽しめます(一部希少銘柄を除く)。土地の恵みとともに、その土地のビールや日本酒、ワインなどを味わう贅沢なペアリング体験です。


料理は、四季折々の北海道の食材を映した創作会席。先付には、季節ごとに内容が変わる発酵八寸プレートが用意され、発酵文化を大切にするこの土地らしい一皿から食事が始まります。滋味深い味わいの中に、どこか新しさも感じられる構成。


さらに、コースの中で提供される握り寿司も印象的。北海道ならではの新鮮な魚介の魅力を、さりげなく取り入れている点にも心がくすぐられます。
朝食は、新鮮な北海道野菜と小樽の伝統的な発酵食を取り入れた和御膳。派手さではなく、身体にすっと染み渡るようなやさしい味わいが、目覚めの時間に寄り添います。


そして特筆すべきは、夕食・朝食ともに完全個室でいただけること。専用の個室ダイニングで過ごす時間は、周囲を気にすることなく、自分たちのペースで食事と向き合える贅沢なひと時。静けさに包まれながら、食と対話する時間が流れます。
※朝食・夕食のメニューおよび内容は、2026年3月末時点の情報です。内容は変更となる場合があります
北海道の自然を纏う、アメニティのこだわり
客室に用意されているアメニティにも、この宿ならではの美意識が宿ります。採用されているのは、ニセコ発のビューティーブランド「ICOR(イコ)」。アイヌ語で“宝物”を意味する名の通り、自然や人の存在そのものを大切にする思想から生まれたブランドです。


羊蹄山の雪解け水をはじめとする北海道の自然の恵みを活かしたプロダクトは、肌だけでなく心にもやさしく寄り添うような使用感。旅先でのケアを通して、“キレイ”を内側から整える感覚が得られます。
訪れたからこそ感じた、この宿の価値
実際に滞在して感じたのは、この場所そのものが“旅の目的地”になるということでした。観光の延長ではなく、この宿に泊まるためにまた小樽を訪れたくなる——そんな引力のある存在です。

何より印象的だったのは、一度チェックインすると、チェックアウトまで外に出るのが惜しくなること。温泉、食事、空間、すべてがこの場所で完結するからこそ、“ここに居続けたい”という感覚が自然と生まれます。


理想的なのは、1泊目に小樽の街や観光を楽しみ、2泊目にここでじっくりとおこもりする過ごし方。動と静のバランスを切り替えることで、旅の満足度はより深まることでしょう。
記憶に残るのは、静けさという余韻
華やかな体験ではなく、心に残るのは静かな余韻。「小樽リトリート 蔵群 by 温故知新」での滞在は、自分自身の感覚を取り戻すような時間でした。

忙しさの中で見失いがちな“余白”や“静けさ”。それらを思い出させてくれる場所として、この宿はこれからも特別な存在であり続けるはずです。次の旅の目的地として、ぜひ候補に入れてみてはいかがでしょう。
■小樽リトリート 蔵群 by 温故知新
住所:北海道小樽市朝里川温泉2-685
客室数:19室
アクセス:小樽市街地より車で約20分
送迎:JR朝里駅/小樽築港駅/小樽駅/小樽フェリーターミナル
公式サイト:https://kuramure.com/
週5フルタイム会社員×週末トラベルクリエイター(旅・食・ホテル)
大学卒業後、大手金融機関で6年間勤務し、その後IT企業に転職。平日は会社員として働きながら、週末や有給を活用して全国・海外のホテルステイやグルメを楽しむライフスタイルを発信中。ライターとしての執筆活動に加え、商品撮影、動画制作なども手がけ、ホテルや観光業界を中心にコンテンツ制作を行う。仕事も旅も全力で楽しむスタイルで、“働きながら旅を楽しむ”リアルな体験をシェア!
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