<#巡る滋賀>山とともに生きる手仕事。小原かごがつなぐ未来

<#巡る滋賀>山とともに生きる手仕事。小原かごがつなぐ未来

滋賀県の最大の魅力といえば、滋賀県の代名詞でもある日本最大の湖・琵琶湖。その他、国宝の「彦根城」やユネスコ世界文化遺産の「比叡山延暦寺」など一度は訪れたい観光スポットもまた有名です。

でも、それだけではありません。有名観光スポット以外に焦点を当て深掘りすると、まだまだ知られていない注目ポイントがたくさん! それを知らないなんてもったいない…!

この連載では、「現地の方がおすすめしたいスポットやお店、それをつくるヒトの魅力をていねいに取材し、お届けする滋賀の観光ガイド“巡る滋賀”」の情報を発信していきます。

滋賀県への旅のきっかけやガイドブックとなりますように…そんな思いを込めて滋賀県の新たな魅力をお伝えします。

その昔、産業が発達する前の時代では、生活するうえでカゴはかかせないモノでした。自分自身の手でカゴを作るのが当たり前だった日常。今ではカゴを使用する機会も減りましたが、長浜では今も現代に色を合わせながら伝統技術が受け継がれています。そんな小原(おはら)かごの魅力にせまります。

「福井県との県境、奥丹生谷(おくにゅうだに)という地区に昔はいくつか村がありまして。そこが、小原かごの元々の生産地なんです。」

そう話すのは、荒井恵梨子さん。現在、複数の仕事をしながらも、小原かご作りの職人として製作・販売をされています。

「奥丹生谷の村はほとんどが廃村になってしまって無いんですけど、雪がとても多い地域で昔から生産されてきたカゴです。小原かごって言われるようになったのはホントに最近のこと。『小原』というのは村の名前で、他の村でも生産していましたが小原村が一番生産数が多かったので、小原かごって言うようになったんです」

小原かごの記述がある一番古い文献は1700年代のもので、その歴史は少なくとも300年近く。生活する中で長く地域で重宝され続けてきたカゴであることがわかります。

長浜は養蚕が盛んで、桑摘みのために大きいツボカゴがよく使われていたそうです。最盛期には、年間1つの村で約3000個もの数を、小さな村で生産していたという記録が残っています。

そんな小原かごの特徴は、モミジやイタヤカエデといった広葉樹の幹の中身部分を使うこと。

カゴと言えば『竹』をイメージする人もいるのではないでしょうか? 実は竹が日本に入ってきたのは中世以降という説もあり、それ以前は木の蔓や樹皮が使用されたカゴが主流だったそう。

「木のカゴは、日本でも昔から山奥の小さな村とかで作られてきたんですけど、今も残っているのは秋田県と滋賀県だけ。たった2か所しか生産してる所がなく、カゴ作りの技術そのものがほとんど残ってないということが最近分かったんです。」

荒井さんが小原かごと出会った時点で、すでに作ることのできる人はたった1人しかいなかったといいます。その技術が限られたものとなっていることを、まさに感じるエピソードです…。

木で作られている小原かご。竹で作られるものとはどういった違いがあるのでしょうか?

「材料が採取しやすく加工もしやすいので、日本の中でもカゴは竹の方が圧倒的に多いんです。どちらがどういいかというのは明確には言えないんですけど、耐久性は木製品のほうが高いので木カゴのほうが圧倒的に長く使うことができて、非常に丈夫です。」

実際に触ると、とても硬く、ぐっと押した程度ではビクともしません。かと言ってカゴ自体に厚みがあるわけでもない。耐久力があるのに納得です。なんと古い物だと100年以上経っても平気で使うことが可能なのだとか!

そして小原かごは耐水性もあります。使用した後にしっかり乾かせば丸ごと水に浸かっても壊れることはないそうです。実際そういった使い方をするカゴもあったそう。

そんな小原かごの作り方…荒井さん自身で、山に入って木を採取するところからスタート!

(提供:荒井木籠製作所)

「まず山に行って材料を目利きするっていうのが、技術の中で1番大切なんです。作り方を知っていても、良い木を手に入れないと作ることができないので…。使える材料の基準がかなり厳しいので、使えるかどうかを自分で判断する必要があって、その技術は難しいなと思いますね」

カゴで使用する木がこれからも採取できるようにと、将来の事も考えておられる荒井さんは、自ら木の芽を育て山に苗木を植えられています。

「カゴのこと、もっと知ってほしいと思うんですけど、それと同じぐらい材料を採取する山の環境っていうのが、物凄く大切で」と荒井さんは続けます。

近年、鹿が増えている関係から山の環境が変化してるそうで、その影響はカゴ作りにも及んでいます。

カゴには樹齢約10年〜15年の若い木が使用されており、一度切るとそこからまた新しい芽が出て、約10年後に育ち、また採取できるというサイクルができていました。しかし現在は育つはずの新芽を鹿にかじられてしまい、次の採取が難しい状況にあるのだそう…

「山の奥まで木を保護しに行くのは現実的に難しいので、もう少し手入れがしやすいエリアに木を植えたりとか、材料を育てることもしています。カゴのことを知ってもらうと同時に山の環境にも関心を持ってもらうきっかけになるといいなって思っています。」

とても大事なことではありますが、買う人の目線からしたら中々そこまで考えられない部分。お話を聞いて思わずハッとしました。

「最近ホント、クマも多いです。私もこの間山で見ましたし…距離があったのでそーっと逃げて気付かれずに帰れましたけど(笑) すぐにクマスプレーを買いました。」

…難しい理由は他にもありそうです。

小原かごが出来るまで。カゴにするまで。気になる続きはこちら

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