2026.07.13
日本三名泉に星野リゾートが初進出「界 草津」で過ごす2泊3日旅

都心から新幹線とバスを乗り継いでおよそ2時間半。日本三名泉の一つに数えられる名湯・草津に、2026年6月7日、全国24施設を展開する星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」が待望の初進出を果たしました。『トンネルがつなぐ木立の湯宿と温泉街』という二つの世界観を行き来する、独自のコンセプトを掲げる「界 草津」を、開業の背景とともにいち早くお届けします。

「日帰り、あるいは1泊」という駆け足の滞在が主流とされてきた草津温泉。そこに94室という「界」史上最大規模の宿が、静けさと賑わいという相反する二つの魅力を一つの敷地の中に共存させる野心的な挑戦を携えて現れました。連泊でこそ真価を発揮する、2泊3日の滞在プランをご紹介します。
2泊3日の滞在スケジュール
◼︎1日目:静寂の森に抱かれた館へチェックイン。湯小屋棟の大浴場で、まずは二つの名湯に身を委ねる。夜は食事処で「上州豊伝会席」と地酒を嗜む。



13:30 草津温泉バスターミナル 到着
14:30 チェックイン
16:00 温泉文化いろは
17:30 夕食「上州豊伝会席」
20:00 湯小屋で湯浴み
◼︎2日目:朝の現代湯治体操と朝食で体を目覚めさせ、80mの専用トンネルをくぐり、賑わう温泉街へ。「ご当地楽」で座繰りの手仕事に触れ、夕食は「蕎麦割烹 SAI」でナチュラルワインとともに気取らない一夜を。



07:00 現代湯治体操「草津白根山体操」
09:00 朝食
11:00 「界 草津まちめぐりセット」で温泉街をそぞろ歩き、外湯巡り
13:30 蕎麦割烹 SAIでランチ
16:30 ご当地楽「シルクを紡ぐ上州座繰り」
18:00 蕎麦割烹 SAIで夕食
◼︎3日目:連泊だからこそ叶う、慌ただしくない朝。森の小径を歩き、暖炉ラウンジでコーヒー片手に寛ぎ、最後にもう一度湯に浸かり、名残惜しく帰路につく。



07:00 西の河原露天風呂で朝風呂
08:30 朝食
11:00 チェックアウト→周辺観光
14:10 草津温泉バスターミナル発 軽井沢駅へ
コンセプトは「トンネルがつなぐ木立の湯宿と温泉街」

「界 草津」が居を構えるのは、草津のシンボルである草津白根山の裾野に広がる高台。「草津千軒江戸構え」と詠われた賑やかな湯畑周辺とは一線を画す、鳥の囀りだけが響く静謐な森の中に佇んでいます。

この宿の真骨頂は、温泉街と館を直結する「宿泊者専用トンネル」にあります。トンネルを抜ければ、大露天風呂として名高い西の河原公園のすぐ脇へ。木立に抱かれた静寂な湯宿での時間と、江戸の昔から続く温泉街の賑わい――対照的な二つの世界を、扉一つでシームレスに行き来できる。これこそが「界 草津」だけに許された贅沢な滞在様式です。
全94室、群馬の絹文化を纏うご当地部屋「シルクアートの間」

全94室(うち露天風呂付き18室)の客室は「界」ブランドとしては過去最大規模のスケール。宿泊棟の前には木立に囲まれた中庭が広がり、大浴場を擁する湯小屋棟、ラウンジ棟、ご当地楽専用棟が静かに点在します。

「界」の真骨頂ともいえるご当地部屋には、かつて養蚕で栄えた群馬の記憶を宿す「シルクアートの間」が用意されました。壁を飾るのは、雄大な山並みとたなびく湯けむりを一枚の織物として描き出したテキスタイルアート。手がけたのは、国際的に活躍するテキスタイルデザイナー・須藤玲子氏。



桐生の織の技によって生まれた布は、遠目には一幅の絵画として、間近では絹糸が織りなす繊細な陰影として、二重の表情を見せます。繭や絹糸を用いたランプシェード、高原植物を模ったクッション…ディテールの隅々にまで上州の染織文化が息づいています。

窓の外に目を移せば、木立が四季ごとの表情を映し出す借景に。露天風呂付き客室では、部屋の湯に身を沈めながら、木漏れ日や雪景色といった草津白根の自然を独り占めできる贅沢が待っています。94室という規模を感じさせない、一室ごとの静けさへのこだわりもまた、この宿の設計思想を物語っています。
万代鉱源泉と西の河原源泉、2つの名湯を巡る贅沢

大浴場に引かれるのは、自然湧出量日本一を誇る草津の湯の中でも際立つ2種類の源泉。一つは、随一の湧出量と強酸性を誇る「万代鉱(ばんだいこう)源泉」。もう一つは、引湯できる施設が限られる希少な「西の河原(さいのかわら)源泉」。内湯には3つの浴槽が設けられ、泉質と湯温の異なる湯を渡り歩くことで、館内にいながらにして小さな湯めぐりを叶えます。

露天風呂は、硬質な巨岩を組み合わせたダイナミックな造りで、草津白根ならではの荒々しい岩肌や高原植生を間近に感じながらの湯浴みが叶います。

湯上がりは、暖炉の炎がはぜる音に包まれた「暖炉ラウンジ」で、群馬や草津にまつわる書物を片手にゆるやかな時間を過ごすのも良いでしょう。窓の外には木立の中庭が広がり、季節ごとに移ろう緑や雪景色を眺めながら、火照った肌をゆっくりと鎮めることができます。


滞在中にはスタッフが草津の湯の歴史や泉質を紐解く「温泉文化いろは」が催され、名湯の奥深さに触れることができます。
山の恵みを纏う「上州豊伝会席」

夕食は、半個室の食事処で味わう界の日本旅会席「上州豊伝会席」と、敷地内に誕生した「蕎麦割烹 SAI」の「地粉生粉打ち蕎麦会席」の2種類があります。2泊3日の滞在ならどちらも楽しめるのが魅力。



1日目は「上州豊伝会席」を。先付けには、花豆味噌とイノシシのリエットを添えた「湯もみ見立て」が登場し、草津らしい趣向で膳の幕を開けます。煮物椀は、鱧の蓮蒸しにじゅんさいや酢橘、梅肉をあしらった涼やかな一椀。



宝楽盛りは、群馬の郷土文化である「上毛かるた」をモチーフにした木箱に美しく詰められた、利久南瓜や海老とトマトの琥珀寄せ、カレイの白煮、小蛸の甘露煮といった八寸に加え、造りの盛り合わせや刺身こんにゃく、きのこおろし和えの酢の物までが華やかに並びます。



揚げ物には、海老蓮根俵揚げや稚鮎の煮浸し揚げ、塩レモンを添えた野菜天麩羅を。そして台の物として供されるのが、鶏もも肉を丸ごと炊き込んだ出汁に群馬名産のほうれん草を沈めた「上州常夜鍋」です。食事にはうどん、甘味には「界 草津」特製の繭玉ムースが用意され、ご当地部屋のシルクの意匠とも呼応する、遊び心のある締めくくりとなっています。


朝食は和洋2種類から選択できます。おすすめは和食。鯖の焼き漬けや湯葉掛け豆腐、下仁田豆腐、鶏つくねと玉子焼きといった滋味深い品々が並び、群馬の郷土汁「こしね汁」で温まる、旅の朝ならではの膳立て。
十割蕎麦が紡ぐ昼と夜――「蕎麦割烹 SAI」の二つの表情


界ブランド初となる、ビジター利用可能なレストラン「蕎麦割烹 SAI」は、西の河原公園のほとりという立地から、宿泊客だけでなく地元客や観光客にも開かれた一軒。今回はランチとディナーの両方で訪れました。


ランチは鴨南蛮蕎麦をオーダー。鴨の脂の甘みが出汁にじんわりと溶け出した一杯は、トンネルを抜けて温泉街を歩いたあとの体にちょうどよく染み渡ります。地粉と生粉打ちにこだわった十割蕎麦の香りとコシも相まって、満足度の高い昼餉となりました。




夜になると趣は一変し、蕎麦前からしっかりと酒肴を楽しむコースへ。地元の日本酒やナチュラルワインとの相性も良く、昼と夜まったく異なる表情を見せてくれるのがこの蕎麦割烹の魅力。


からすみ蕎麦や、チーズの味噌漬けを添えた鴨ロースといった一品に始まり、出汁巻き玉子ととうもろこし庵、サーモンの香味お造りが続きます。


台の物として和牛サーロインのしゃぶしゃぶを蕎麦湯仕立てで楽しむか、あるいは鴨と葱の焼きしゃぶを山葵とかえしで味わうかを選択。


大海老と野菜の天ぷら、そしてざる蕎麦(又はかけ蕎麦)で〆る。地粉と生粉打ちにこだわった十割蕎麦を、鰹・昆布・干し椎茸から引いた三段つゆで味わいます。甘味は、温泉卵プリン、花豆を添えたミルクアイスクリーム、黒胡麻和三盆のわらび餅の3種から選ぶことができ、最後まで趣向を凝らした構成に仕上がっています。宿泊者専用の会席以外にも、ビジター利用可能なアラカルトもあり、わざわざ訪れる価値のある一軒です。
手仕事に触れるご当地楽「シルクを紡ぐ上州座繰り」


富岡製糸場を思わせる専用棟で体験できるのが、ご当地楽「シルクを紡ぐ上州座繰り」。江戸の昔から続く木製の座繰り機を使い、繭から一本の糸を挽いていく作業は、館内を彩るシルクアートの意匠への理解をより深いものにしてくれます。


指先に伝わる繭の感触と、糸車が立てる静かな音。旅の合間に土地の手仕事へ触れる時間は、慌ただしい日常を忘れさせてくれるはず。
トンネルの先に広がる、湯畑さんぽ


専用トンネルを抜けて向かう先にあるのが、草津のシンボル・湯畑。毎分4,000ℓともいわれる自然湧出量を誇り、7本の湯樋を伝って温泉が滝のように流れ落ちる光景は、日本一の湧出量を誇る草津ならではの迫力。周囲は瓦敷きの遊歩道として整備され、ぐるりと一周しても15分ほどの手頃な散策です。
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夜の湯畑はライトアップされ、立ち上る湯けむりがいっそう幻想的な表情を見せます。


そぞろ歩きの心強い味方となるのが、宿泊者限定の「界 草津まちめぐりセット」(3,500円、フロントにて申し込み)。御座之湯・大滝乃湯・西の河原露天風呂という趣の異なる3つの外湯をお得に巡れる「三湯めぐり手形」に、散策のヒントが詰まった「草津めぐりのすすめ」、ドリンクとタオルの引換券がセットになった一式。




浴衣のまま手ぶらで温泉街に繰り出し、その日の気分で外湯をはしごできる身軽さは、専用トンネルで温泉街と地続きの立地ならでは。足湯にとどまらず、手湯、顔湯などユニークな湯浴みスタイルも。




散策に少し疲れたら、無料の足湯「湯けむり亭」でひと休みしながら、名物の温泉まんじゅうを頬張るのもまた一興。草津随一のパワースポットと名高い白根神社や光泉寺の長い階段を登って参拝し、また疲れたら、地元の人々が営む「地蔵カフェ 月の貌」でスイーツと共にほっと一息。
木立の静けさから一転、湯けむりと人々の声に包まれるこの賑わいこそ、「界 草津」が扉一つで見せてくれるもう一つの顔です。
80mの闇の先に――「理想の温泉宿」をめぐる開発秘話

この宿の誕生の舞台裏には幾度もの計画変更と、一人の担当者の譲れない自負、執念にも似た物語がありました。「草津こそが界のモデルケースだろう」。企画開発担当の石井氏の一言から計画は動き出し、西の河原公園に隣接する111,844㎡の敷地に、これまで40〜50室ほどが標準だった「界」の常識を覆す94室という前例のないスケールを実現する挑戦が始まりました。

最大の難関は、高台の宿と崖下の温泉街をどうつなぐか。「湯畑までのそぞろ歩きこそが草津の魅力」という代表・星野佳路氏の方針のもと、地盤の脆さからスロープカー案を断念し、トンネル案も崩落の懸念で暗礁に乗り上げます。それでも妥協を拒んだ彼が粘り強い調査の末に見つけたのは、隣地を追加取得することで確保できる地盤の固い唯一のルート。異例の土地取得交渉を経て実現したのが、全長80mのトンネル。賑わいを静寂へと変える「結界」のような存在に。94室という規模と、旅館としての静けさ。相反する要素を同時に満たす挑戦の果てに生まれたのが、「界 草津」なのです。

これまで草津温泉といえば1泊2日のショートステイが主流でしたが、「界 草津」の誕生によって、連泊することで初めて見える景色、周辺観光や地元の食事、宿での滞在まで、心ゆくまで旅の時間を楽しむという選択肢が生まれました。
「界 草津」が織り成す扉ひとつで結ぶ、静寂の森と賑わいの湯畑という二つの世界は、時間をかけてこそ味わい尽くせるもの。80mのトンネルの先に待つ「理想の温泉宿」を求めて、この夏、日本三名泉での特別なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
■界 草津
所在地:群馬県吾妻郡草津町大字草津字白根464番地690
敷地面積:111,844㎡
客室数:94室(露天風呂付き客室18室)
料金:1泊2食付き46,000円〜(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込)
アクセス:軽井沢駅より車で約60分、長野原草津口駅よりバスで約20分
公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikusatsu/

17歳から読者モデルとして「Vivi」「JJ」「non-no」など多数女性誌に出演。6年にわたってMBSラジオパーソナリティを務める。大学卒業後、化粧品会社勤務を経て、フリーランスに転身し、ヨガインストラクターを務める傍ら、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は47カ国。特にタイに精通し、渡航回数は30回以上。ハワイ留学、LA在住経験有り。現在は拠点を湘南に移し、全国各地を巡りながら、東京と行き来してデュアルライフを送る。JSAワインエキスパート呼称資格取得。
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