2026.04.13
1番古い韓国料理の記憶は? #森田想の韓国偏愛日和 vol.4
映画『ソロモンの偽証』『朝が来る』『タイトル、拒絶』『わたし達はおとな』『辰巳』などさまざまな作品で大活躍の俳優・森田想さん。5月22日(金)に公開となる映画『いろは』(5月8日長崎先行公開)に出演するほか、配信中の「九条の大罪」(Netflix)にも出演しています。
実は韓国語が堪能で、年に数回渡韓するほど韓国通の森田さんによる、韓国コラム連載です。
第四回は、森田さんの韓食遍歴について。実際に撮影された写真とともにお楽しみください。
-무드 인 코리아- 森田想の韓国偏愛日和 vol.4

隣国の流行にたいへん踊らされている我々、今日この頃。ポムドンビビンバが、第一回目の記事で訪れた新大久保のレストランのランチセットで販売開始されたと目にしたので行かなければ!と思っていた矢先、ドバイチョコ餅がSNSを席巻。これドチョンクって略すんだ!食べたいより言いたい!と覚えてすぐの頃に流行りが終わり、バター餅なる見た目マドレーヌのようなお菓子が台頭してきた。また餅なんだ…ソウルフードだからみんな餅食感に弱いのかな…と調べ出したらまた終わろうとしている。早い。春や秋の移り変わりより早い。そりゃ各コーヒーチェーン店の新作が毎週のように、H&MやZARAの並び替えのごとく、追加されるわけだ。新しいものに飛びつくその好奇心、食への探究心、世間にうまく広める戦略、圧巻ですよ。
ということで、今回は私の韓食遍歴を思い出と共に語っていこうと思う。
最も古い記憶で食べていたのはチェーン店「チェゴヤ」のスープ。小学校低学年くらいだろうか。親に「今日チェゴヤにする?」と言われたら喜んで着いて行ったものだ。あの白濁したスープはおそらく卵スープかコムタンだったはずだが、豚骨のような味わいだった気もするし、断言が出来ない。その後は料理上手の母親がよく作ってくれたユッケジャンスープにチヂミを食べて育ち、高校時代には塾で仲良くなった数人や、同級生と、一人であろうと足繁く「妻家房」に通った。
妻家房は東京で食べれる韓国料理チェーンで最も信頼度の高いお店ではないだろうか。とりあえず妻家房があればいい。焼き立てほかほかの海鮮チヂミとビビン冷麺がセット。その時くらいから友達と新大久保で集まるとなれば、同じくママ友と新大久保で定期会をする母親と、最近の美味しかった店を常に共有しておくようになった。昔からのスタメンはというと、サムギョプサルを食べるなら「くるむ」「ヨプの王豚塩焼」、さらにはドラマ「賢い医師生活」に出てきた「ハナムデジジップ」に。一品料理も含めて楽しみたいなら安定の味を求めて「テ~ハミング」へ。西新宿の方で高校の同級生と一泊ホカンスをしたときは「韓国式中華料理 ジャジャン麺ハウス」でジャージャー麺とタンスユク(酢豚)をテイクアウトして、ペダル気分を楽しんだ。ちなみに私は、ソースにつける派です。

一番最初の渡韓は2018年の3月だったが、手始めに「ソルビン」に行った。今じゃ当たり前に原宿にあるというのに、当時は最先端の韓国スウィーツに興奮していた。あまりに懐かしい。細かく刻まれたいちごがお風呂みたいに敷き詰められていて、真ん中には雪山のような抹茶アイス、その下のかき氷はほんのりミルクの甘みがあって新感覚だった。お揃いで事前に買ってあったGUのサテン生地のパジャマ(なぜか微妙に長いトップスだけ)とスウェットパンツを着て夜中にコンビニに行き、確かアイスを買った。バナナ牛乳にそこまで興味がなくて、海外でしか買えない、瓶になったスタバのコーヒーも購入した気がする。営業終了後のゲームセンターのガラスウィンドウに映る自分達の姿があまりにもダサすぎて、人通りのない道端でお腹を抱えて笑った。

韓国料理好きとしてあらゆるものを試したい気持ちとは裏腹に、辛さにはちょっとビビりだった。確かコロナ禍初期くらいの、休日の昼下がり。まだ辛ラーメンに挑戦したことのなかった森田家はついに袋麺を試すことになった。自称辛いもの好きの母親と、辛いものを食べたら3秒で汗が噴き出す父親、まあそろそろいけるでしょと大口を叩く娘。煮立ったお湯に粉末スープを入れて赤く染まっていく鍋をゴクリと見つめる。全員どこか緊張していた。一口食べていける、二口食べて様子がおかしい、三口くらいで本当はギブアップだった。めちゃくちゃ辛かった。上下の歯を剥き出しにしながら、ヒーヒーと音を出して口の中を冷まそうとしてもずっと辛くて、あの日のランチは記憶深いものになった。不在の兄が羨ましかった。全員ちょっとぐったりして、昼寝した。そんな辛ラーメンも、5年も経てば進んで夜食に選ぶようになっているので、経験と時間は確かに自分を、自分の交感神経を、逞しくしている。

韓国の食にまつわる記憶がこうしてぽつぽつと蘇る。思えば韓国ドラマを見始めた時期と同じくらいから自然と韓国料理に慣れ親しんできたのだとわかり、嬉しい気持ち。そして語り出せばキリがないので、梨泰院にある勾配の急な坂道を登り終えた先のカフェで飲んだフルーツエイドのことや、夜ペダルして絶対に食べ残してしまうチキン(明日の朝食べればいいから! が常套句)のこと、ユッケ屋さんでかじった青唐辛子で腸内環境の危機を迎えた話など、また次の機会にお預けしたいと思います。食い意地だらけの韓国ラバーのお話を今日も読んでくださりありがとうございました。また次回!
文/森田想
>>vol.1 新大久保でも珍しい、済州島料理が食べられるお店
>>vol.2 街を感じつつ一ヶ所で効率良くショッピングするなら漢南洞に行くべし!
>>vol.3 【韓国・ソウル】漢南洞ショッピングツアー第2弾!
バナー画像:
スタイリスト/入山浩章
ヘアメイク/江指明美(mod’shair)
撮影/金井尭子
<衣装>
スリーブレスフーディー ¥39,600、トップス ¥29,700、スリーブレスチュールドレス ¥52,800、サイクリングショーツ ¥12,100(すべてnaokitomizuka/naokitomizuka.official@gmail.com)
グローブ ¥8,470、スカートベルト ¥6,710(ともにGBH/https://gbhjapan.com)
スニーカー ¥51,700(MIKIOSAKABE/https://mikiosakabe.shop/)
ビーニー ¥9,350(BOCBOK/PR01.TOKYO 03-5774-1408)



