SERIAL STORY
2020.08.20
ウツウツな季節に「かぼちゃ」
かぼちゃとひよこ豆のサブジ
仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。 「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という 東洋医学の知恵に基づき、
旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。 カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!
8月後期のカラダとココロ
まだまだ暑さが厳しく、体感は引き続き夏のままですが、脳は秋へと切り替わる季節。活動的な体に心が追いつかず、憂鬱な気分になりやすい状況です。体と心がちぐはぐになり、エネルギーが低下することで、なにもやりたくないという倦怠感、過眠、炭水化物や甘い物が特にほしくなる過食の症状が出やすくなります。
エネルギーが不足することを東洋医学では「気虚(ききょ)」と呼んでいます。夏の疲れによる消化機能の衰えで気がつくられなくなり、気虚が生じます。また、血が不足して心身の栄養状態が悪くなることを「血虚(けっきょ)」といい、症状には、眠りが浅い、寝つきが悪い、不安感、情緒不安定などが。気持ちを安定させるには、気と血の充実が欠かせません。消化がよく栄養のあるものを食事にとり入れましょう。日光を浴びることも大切です。
東洋医学では、春と夏は「体を動かして汗をかきましょう」という時期、秋と冬は「陽気(体を温めたり動かしたりするエネルギー)を消耗してしまうので、できるだけ汗をかかないようにしましょう」という時期に分けられています。
この季節になるべく避けたいもの
ウツウツな季節に「かぼちゃ」
エネルギーが低下して気分が落ち込みやすいこの時期に食べたい野菜が、かぼちゃ。夏に収穫したかぼちゃは貯蔵することで甘みが増し、秋に食べごろを迎えます。ほっくりとした甘さが気持ちをゆるめ、疲労回復を助けます。東洋医学では、疲れて弱った胃腸を丈夫にして気を増やす「補中益気(ほちゅうえっき)」と呼ばれる効能があるといわれています。豆や肉など、血を補い心身の栄養にもなる、たんぱく質との組み合わせがおすすすめ。
かぼちゃを使った主菜
かぼちゃとひよこ豆のサブジ
材料(2人分)
- かぼちゃ(タネを除く) 200g
- ひよこ豆(水煮) 200g
- 玉ねぎ 100g
- いんげん 4本
- 油 大さじ1/2
- クミンシード 小さじ1/2
- マスタードシード 小さじ1/2
- ターメリックパウダー 小さじ1/3
- 塩 小さじ1/2
- 水 1/2カップ
「サブジ」とはインド料理のひとつで、香辛料をまぶした野菜の炒め煮、蒸し煮のこと。ベジタリアンの多い地域でよく食べられている家庭料理です。今回のテーマ食材「かぼちゃ」のやさしい甘みに、消化を助けるスパイスがマッチして、暑い日にも食欲がわく一皿。ひよこ豆をプラスすることで、たんぱく質が摂れてエネルギー補給に。動物性食品不使用でもしっかりと食べごたえがあります。短時間でできるところも魅力。気分を上げていきましょう。
(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina
漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局