SERIAL STORY
2020.11.26
ムカムカの季節に「大根」
大根おろしそば
仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。 「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という 東洋医学の知恵に基づき、
旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。 カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!
12月前期のカラダとココロ
いよいよ1年を締めくくる月。何かと慌ただしくなる中、忘年会や納会など、お酒の席が多くなり、胃腸の疲れが出やすくなる時期です。東洋医学では、暴飲暴食したものが停滞し、消化器官の機能が低下して起こる症状を「食滞(しょくたい)」といい、胃痛、お腹の脹り、ゲップ、胸やけ、においの強い下痢、便秘などが起こってきます。
江戸時代に書かれた健康法についての指南書『養生訓』にも飽食への戒めが記載されています。
「食べ物を目の前にすると、食べたいという心でいっぱいになり、気づかないうちに多く食べすぎてしまう。酒も食事もお茶やお湯も、ちょうどよいと思う量よりも七、八分目に控えて、まだ足りないと思う時に、早くやめるべきである。飲食した後に必ず満腹になる。食べている時に、十分と思うまで食べてしまうと、必ず後で食べすぎによって病気になる」
飲みすぎ、食べすぎの機会を避けられず、胃腸に負担をかけるときは、食滞を消化する食材をとり入れ、胃腸を休ませる日をつくるように意識しましょう。
この季節になるべく避けたいもの
ムカムカの季節に「大根」
今回のテーマ食材「大根」には、食滞を改善する働き「消食(しょうしょく)」があり、酒毒を解毒し、痰の除去を助けるともいわれています。江戸時代の養生訓では、大根に関して「大根は、野菜の中でも体を元気にする上等なもので、常に食べるべきだ。葉のかたいところを取り去り、やわらかい葉と根を味噌で煮て食べる。胃腸の働きを補って、痰を去り、気を巡らせてくれる働きがある。大根の生の辛い物を食べると気が減る。しかし、食滞のある時は、少し食べるとよく、害はない」との記載があります。
大根を使った主菜
大根おろしそば
材料(1人分)
- そば
- 大根
- ねぎ
- かつおぶし
- めんつゆ
- 以上、すべて好みの量で
胃もたれや消化不良に効果があるといわれる大根おろしは、飲食過多になりがちな年末にぴったりのお助け食材。そばにも食滞を除く働きがあるといわれているので、この二つはとてもいい組み合わせです。すりおろすことで生まれる大根おろしの辛み成分は、そばの香りとめんつゆの甘味にベストマッチ。ただし、食べすぎた直後の食事はお腹の負担になるので、翌日に。食べるときはよく噛んで、消化を助けましょう。
(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina
漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局