SERIAL STORY

2021.04.15

ブツブツの季節に「アスパラガス」
アスパラガスのしゃぶしゃぶ

仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という東洋医学の知恵に基づき、旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!

4月後期のカラダとココロ

春の土用(2021年は4月17日~5月4日)に重なる時期です。土用は胃に熱がこもりやすく、それに付随して、吹き出物をはじめとした肌トラブルが多くなりがち。新年度がスタートしたばかりのこの季節は、環境の変化によるストレスを感じることが多く、歓送迎会などの外食の機会で食べすぎてしまうことも。それにより吹き出物ができたり、悪化したりもします。

吹き出物は皮膚表面だけではなく、内臓とも大いに関連しており、漢方では、皮膚に炎症を起こす病理物質を湿熱(しつねつ)や血熱(けつねつ)と呼び、大小便より体外へ排出されると考えられています。特に便秘は悪化要因のひとつで、体にこもった熱が排出されず、皮膚に現れてしまうのです。女性の場合は、月経が関連している場合も多く、月経前にイライラして落ち着かない、過食、便秘などとともに、吹き出物が出る場合と、月経後にだるい、くらくらする、など貧血のような症状とともに出る場合もあります。

吹き出物を出現させないためには、便秘対策はもちろん、リラックスして上手に気分転換すること。それから、こってりしたものや甘いもの(特にチョコレートや生クリームのスイーツなど)、唐辛子やにんにくなどの香辛料、もち米など、熱になるもの(炎症をひどくするもの)をなるべく避けることが大切です。何が原因で吹き出物ができ、悪化するのかを分析することも大事です。

吹き出物の原因と特徴

口のまわりからアゴにかけて、顔の下半分にできやすく、赤みや熱感がある吹き出物

→ 脾胃湿熱(ひいしつねつ)タイプ

口のまわりは脾胃(胃腸)に関係する場所。暴飲暴食、こってりしたものや甘いものをたくさん食べたことなど、食事の影響によるところが大きい。

こめかみ、頬、あご、胸や背中などにできる吹き出物

→ 肝鬱化火・血熱(かんうつかか・けつねつ)タイプ

いずれも肝胆の経絡に関係する場所。ストレスが原因になっていることが多く、月経前に悪化しやすい。イライラがひどくなるほど赤味が増し、不安や緊張が続くことでも悪化。

顔全体に散らばっているが赤みはほとんどなく、熱感もない吹き出物

→ 気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ

原因の多くが過労や栄養不足。顔色がくすんでツヤがなく、乾燥しやすく、月経後半から月経後に悪化しやすい。疲れやすく甘いものを欲するが、胃腸が丈夫ではないため少量でも肌に影響してしまう。

この季節になるべく避けたいこと

辛い物など熱になるもの、こってり甘いもの、消化の悪いもの、食べ過ぎ、イライラすること、便秘

ブツブツの季節にアスパラガス

春から初夏にかけてが旬のアスパラガスは、シャキッとした歯ごたえと青さを感じる風味が特長。お通じの出をよくして、熱をとり、解毒する作用があるので、まさに吹き出物が気になる時期にぴったりの食材です。代表成分といえばアスパラギン酸で、これはアスパラガスから発見されたことに由来し、疲労回復に効果を発揮するといわれています。ほかにビタミン類や葉酸、ルチン、食物繊維などの栄養素も含まれていて、美肌効果や抗酸化作用といった効能も期待できるのが女性にはうれしいところです。

アスパラガスを使った主菜

アスパラガスのしゃぶしゃぶ

材料(2人分)

  • アスパラガス 4本
  • 豚ロース薄切り 120g
  • わかめ  60g
  •  
  • <レモン醤油ダレ>
  • レモン汁 小さじ2
  • しょうゆ 大さじ1
  • みりん 大さじ1

吹き出物をはじめとした肌荒れが気になるこの季節、旬のアスパラガスをつかって、油と香辛料をつかわずさっぱりと食べられるしゃぶしゃぶに仕立てました。アスパラガスはピーラーで薄切りにするとカサ増しになり、食感が変わってたっぷり食べられます。熱をとって水を巡らせ、しこりを散らす働きがあるわかめを組み合わせることで、デトックス効果がより高くなります。便秘解消にも効果的なメニュー、よく噛んで消化を助けましょう。

1 アスパラガスの下準備

アスパラガスは根元を切り落とし、下半分ほどの固い皮の部分をピーラーでむいておく

2 アスパラガスをスライス

アスパラガスの下から穂先に向かってゆっくりとピーラーを動かしながら、くるんと薄切りにする。残った部分はお味噌汁の具にするなど活用を

3 豚肉をゆでる

80℃くらいの湯(湯気が上がり鍋底から小さい気泡がふつふつ上がっているのが目安)に豚肉を一枚ずつ入れて、色が変わったら引き上げる。すべてゆでたら、強火にしてアクをとり除く

ひと手間の理由

ゆで湯の温度が高すぎると肉が固くなってしまうので注意しましょう

4 アスパラガスをゆでる

強火のまま、アスパラを入れて色が鮮やかになるまでサッとゆで、ザルにあける

5 わかめをゆでる

湯が沸いたら中火に。途中でお湯が減ったら足しながら、13分加熱して、できあがり

ひと手間の理由

豚肉→アスパラガス→わかめの順にゆでると風味や旨味が移っておいしくなります

6 タレをつくる

湯が沸いたら中火に。途中でお湯が減ったら足しながら、13分加熱して、できあがり

7 仕上げ

ゆでたアスパラガス、豚肉、わかめを皿に盛りつけ、お好みで大根おろし、万能ねぎ、レモンを添えてできあがり。タレをかけてめしあがれ

一番だしのとり方

① 水1リットルにだし昆布10gを入れ、1時間ほど置く
② 火にかけて、沸騰直前で昆布を取り出す
③ かつおぶし15gを加えてひと煮たちしたら弱火にして3分間煮だす
④ だしを濾して完成(冷蔵庫で3日間ほど保管可)

You are what you eat. あなたは食べたものでできている。この「食べる」とは何を食べるかだけではなく、誰と、どこで、どんな気分で食べるかも大きく影響します。すべてをひっくるめて食事。食事は自分も人も癒すことができる大切なツールです。

(献立担当) 鈴木聖子 Seiko Suzuki

料理研究家。大学で栄養学を習得し、卒業後は飲食店のスタッフトレーニングや商品開発の仕事に従事。その後オーストラリアへ渡り、レストランで働きながら食文化を学ぶ。帰国後はクッキングスクールに10年間勤務。2013年から「3さいからはじめる料理教室 KISSAKO」を主宰。季節の食材を使う料理レッスンのほか、企業向けのレシピ開発、ケータリング、加工食品販売なども手掛ける。頭の中は常においしいもののことでいっぱいな二児の母。

料理教室・料理研究家KISSAKO / instagram / facebook

元気がない栄養不足タイプの場合は、火が通った消化のよいものを摂るようにすることも大切です。また、赤くて熱感があり化膿しやすい吹き出物の場合は、便秘になっていることが多いため、お通じを出やすくする工夫も必要です。

(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina

漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局

編集・文/依知川亜希子 撮影/黒澤義教

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