SERIAL STORY

2020.07.02

ジメジメの季節に「茄子」
茄子と鶏肉のエスニック炒め

仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という東洋医学の知恵に基づき、旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!

7月前期のカラダとココロ

例年では7月21日頃まで続く梅雨。一年でいちばん湿気が多いこの季節は、胃腸機能の低下による水分代謝異常が起こりやすく、むくみや重だるさの症状が多く見られます。毎朝なかなか起きることができない、ぼんやりして考えがまとまらない、顔や手足がパンパンにむくんでいる、などと感じるときは、水分バランスが乱れている状態に。

東洋医学では、これらの不調の原因となる湿気のことを「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。元来、日本は湿邪の影響を受けやすい土地柄で、さらにこの時期は、冷たいものを摂りすぎて胃腸の働きを弱らせてしまいがち。8月の立秋以降に体調を崩すことのないよう、胃腸を冷やさないことが大切です。体のむくみに注意を払って、溜まりすぎた水分の排出を心がけましょう。

この季節になるべく避けたいこと

生野菜、お刺身、果物など、生のまま摂る食べもの

ジメジメの季節に茄子

茄子は、熱を冷ます作用の強い野菜です。消化器官の働きを整え、摂りすぎた水分の排出を促す利水作用があるので、湿気が多い梅雨の季節に最適。体を冷やしすぎないように、あたため効果のある生姜と一緒に調理するのがおすすめです。

茄子を使った主食

茄子と鶏肉のエスニック炒め

材料

  • 茄子 2本
  • 鶏むね肉 1/2枚 (鶏ささみ2本でもOK)
  • ☆塩少々 こしょう少々 酒小さじ1  片栗粉小さじ1
  • 油 大さじ1
  • 生姜 1/2かけ
  • 赤唐辛子 1本(お好みで)
  • オイスターソース 大さじ1/2
  • ナンプラー 大さじ1/2
  • 大葉 5枚

むし暑くジメジメとした梅雨の季節は、エスニックな気分。今回のテーマ食材「茄子」に、疲労回復効果があるといわれている鶏むね肉を合わせました。生姜をしっかり効かせることで体の中の水を温めてめぐらせ、唐辛子を入れることで体にこもった熱や水を汗で発散しやすくします。味つけはオイスターソースとナンプラーのみ、だけどしっかりエスニックテイストに。胃腸の働きを助ける大葉をたっぷり使うことで、さわやかな風味に仕上がります。フライパンひとつでできちゃう手軽さも魅力。

1 下準備

茄子と鶏むね肉は、ひとくち大にカット。切った鶏むね肉に☆の調味料をもみこむ。生姜はみじん切りに、赤唐辛子は半分にちぎって中の種をのぞく

ひと手間の理由

片栗粉でコーティングすると味が絡みやすくなります
赤唐辛子は種が辛いので、辛みが好きだったら種ごと使ってください

2 まずは茄子に火を通す

フライパンに油を熱して茄子を炒め、ところどころ焼き色がついたら、茄子を端に寄せ、空けたスペースに油小さじ1(分量外)を足して、生姜と赤唐辛子を炒める

ひと手間の理由

茄子は油でコーティングすることで栄養の流出を防ぎます

3 鶏肉に香りを移しながら加熱

生姜の香りがたってきたら鶏むね肉を加える。肉の表面が白っぽくなるまで炒めたら、全体をざっと混ぜてフタをし、弱火で3分ほど蒸し焼きに

ひと手間の理由

鶏むね肉だけで炒めることにより早く火が通ります
端に寄せた茄子はじっくり火が入って中がトロトロに

4 仕上げ

フタを開け、オイスターソースとナンプラーで味付け。最後に大葉をちぎり入れ、ざっと混ぜたら完成

料理上手の近道は、自分を信じること。
レシピは参考程度にして、出会った食材と自分の食欲をかけあわせて、一期一会な味を楽しんで。

(献立担当) 鈴木聖子 Seiko Suzuki

料理研究家。大学で栄養学を習得し、卒業後は飲食店のスタッフトレーニングや商品開発の仕事に従事。その後オーストラリアへ渡り、レストランで働きながら食文化を学ぶ。帰国後はクッキングスクールに10年間勤務。2013年から「3さいからはじめる料理教室 KISSAKO」を主宰。季節の食材を使う料理レッスンのほか、企業向けのレシピ開発、ケータリング、加工食品販売なども手掛ける。頭の中は常においしいもののことでいっぱいな二児の母。

料理教室・料理研究家KISSAKO / instagram / facebook

どんなに暑い日でも、胃腸を冷やさないことが美と健康の秘訣。
むくみが気になる方は、体に水分が溜まりすぎています。まずは意識して水分を減らしてみてください。

(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina

漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局

編集・文/依知川亜希子 撮影/黒澤義教

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