SERIAL STORY

2021.03.11

ズキズキの季節に「キャベツ」
キャベツのキーマカレー

仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という東洋医学の知恵に基づき、旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!

3月後期のカラダとココロ

春分を迎え、過ごしやすい時期になってきます。しかしまだ気温差があって、気圧の変化が大きいため、血管の収縮や拡張による頭痛が起こりやすいのがこの季節。東洋医学では、人体における5つの機能「五臓(ごぞう)」の失調が頭痛を引き起こすと考えられています。その五臓の中で、自律神経の働きを調節して精神を安定させ、気血がスムーズに流れるのを助けるのが「肝(かん)」。この肝の働きは春に活発になるべきなのですが、失調すると気のめぐりが悪くなったり、気がのぼったりする影響で、様々なタイプの頭痛が起こりやすくなります。 肝の失調による頭痛は、イライラしたり緊張したりすると起こり、側頭部や首肩、後頭部に痛みが表れやすいという特徴が。症状としては、張った痛みやつっぱるような痛み、首肩のひどいコリのほか、ひどくなるとのぼせることもあります。

肝の影響のほかにも、冷たいものの摂りすぎで胃が冷えている人、胃に消化不良の「痰飲(たんいん)=代謝が滞った水液」が溜まっている人、「気血(きけつ)=体内のエネルギーと体内を循環する栄養物質」が足りない人も頭痛が起こりやすく、原因によって痛み方や痛む部位、付随する症状が違います。

頭痛の症状を少しでもやわらげるためには、肝と胃の働きを助ける食材を積極的に摂ることはもちろん、気分転換やリラックスの時間を見つけることも大切です。また、香りがよく刺激の少ないスパイスは、肝の働きを助けて気がめぐりやすくなるので、ぜひとり入れましょう。

この季節になるべく避けたいこと

辛いもの(香りのよい香辛料はOK)、アルコ―ル、消化の悪い食べもの、イライラすること、寝不足、目の酷使

ズキズキの季節に「キャベツ」

胃の粘膜の修復を助けるといわれるビタミンUをたっぷりと含むキャベツは、胃の機能改善のほかに、痛みにも効果が。また、肝の経絡(けいらく=代謝物の通り道)の流れを良くし、五臓六腑の働きを整えるともいわれています。芯の部分はビタミンCが豊富なので、余すことなくいただきましょう。この季節は、巻きのゆるい「春キャベツ」が出まわります。甘みがあってやわらかく、生で食べてもおいしい品種なので、いろいろな料理にとり入れてみてください。

キャベツを使った主菜

キャベツのキーマカレー

材料(2人分)

  • 油 小さじ2
  • クミンシード 小さじ1/2
  • 玉ねぎ 200g
  • トマト 200g
  • しょうが 1かけ
  •  
  • ☆ コリアンダーパウダー 小さじ1/2
    • ターメリックパウダー 小さじ1/2
    • こしょう 少々
    • 塩 小さじ2/3
  • キャベツ 120g
  • 鶏ひき肉(もも) 120g
  • 水 200ml

小麦粉不使用のグルテンフリーなので胃に負担をかけず、軽やかな気分になれるインドカレーです。旬の春キャベツを使ったレシピは、鶏ひき肉を使用することでさらにさっぱりと、春に合うやさしい味になりました。やわらかく生食でもおいしい春キャベツは、調理の後半に加えます。そうすることで煮込みすぎず食感を楽しめる仕上がりに。辛さのないスパイス、クミン、コリアンダー、ターメリックは、香りによるリラックス効果のほかに、気血の巡りを助ける効果が期待できます。

1 下準備

玉ねぎとキャベツは粗みじん切り、トマトはざく切りに。生姜はすりおろしておく

2 香りをひき出す

フライパンに油とクミンシードをいれて、火にかける。香りがしてきたら玉ねぎを加えてきつね色になるまで炒める。

ひと手間の理由

クミンシードは油に浸しながら焦げないように炒めることで香りを引き出します

3 ペースト状になるまで炒める

トマトとしょうがを加え、水分が飛んでベースト状になるまで炒めたら、☆を入れて香りがたつまでさらに炒める

ひと手間の理由

パウダースパイスは焦げやすいので、さっと炒めて香りを立たせます

4 水分を足して煮込む

キャベツと鶏ひき肉を加えて、ぽろぽろの状態になるまで炒めたら、水を入れて5分ほど煮込む

5 仕上げ

水分がなくなってきたら味を見て、塩で調整してできあがり。ごはんと一緒に盛りつけ、ゆでたスナップエンドウをトッピング

料理に自信がない、そんな方におすすめしたいのが「塩をふる」ということ。野菜に塩をふって食べてみる。魚に塩をふって焼いてみる。肉に塩をふって蒸してみる。それだけで素材のうまみがぐんとひきたち、ちゃんと料理になります。あふれるほどのレシピの中から献立を決めるよりも、目の前にある食材に向き合うきっかけにもなります。

(献立担当) 鈴木聖子 Seiko Suzuki

料理研究家。大学で栄養学を習得し、卒業後は飲食店のスタッフトレーニングや商品開発の仕事に従事。その後オーストラリアへ渡り、レストランで働きながら食文化を学ぶ。帰国後はクッキングスクールに10年間勤務。2013年から「3さいからはじめる料理教室 KISSAKO」を主宰。季節の食材を使う料理レッスンのほか、企業向けのレシピ開発、ケータリング、加工食品販売なども手掛ける。頭の中は常においしいもののことでいっぱいな二児の母。

料理教室・料理研究家KISSAKO / instagram / facebook

慢性的な頭痛に悩む方は、それがどのような原因で、いつ起こるのかを分析することで、症状を回避したり、和らげたりすることができます。のぼせがひどい頭痛の場合には、唐辛子やにんにくなどの刺激になるもの、アルコールは控えるようにしてください。

(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina

漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局

編集・文/依知川亜希子 撮影/黒澤義教

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