SERIAL STORY
2020.09.17
イガイガの季節に「里芋」
里芋と牛肉の炊き合わせ
仕事を休むほどではないけど、体がだるい、気持ちがスッキリしない、“なんとなくの不調”ってありますよね。
それ実は、季節や気候の変化が影響しているのかも。 「季節の症状の改善には季節の食材が効果的」という 東洋医学の知恵に基づき、
旬をおいしくとり入れた献立=食養膳をお届けします。 カラダとココロをセルフメンテナンスしていきましょう!
9月後期のカラダとココロ
急激な気温の変化に翻弄されるこの季節。冬にはぴっちり閉じる毛穴も、この時期はまだ日中に暑い日も多く、毛穴が開いたまま朝晩の寒さにやられがち。のどがイガイガしやすく、風邪をひきやすい状態です。東洋医学では、口や鼻、毛穴などから侵入して体に及ぼす発病因子を「外邪(がいじゃ)」と呼び、外邪から体を守る働きをする気を「衛気(えき)」と呼んでいます。
体に衛気が満ちていれば、冷たい風にあたろうと、近くに風邪の人がいようと、外邪の影響をはねのけます。しかし、足りないと抵抗力が弱まり、のどの違和感など風邪の初期症状が表れます。冷たい食べもので胃腸を冷やし続けた人は、鼻水たらたら、水下痢などの症状も伴いやすくなります。残っている夏の疲れによって気も血も不足している状態では、衛気を養うことができません。胃腸を温めて、しっかりと栄養補給することが大切です。
この季節になるべく避けたいもの
イガイガの季節に「里芋」
秋といえば、いも類がいちばんおいしくなる季節。中でも里芋は、特有のぬめり成分に、のどの粘膜を保護する作用があり、免疫力を高める効果もあるといわれているので、風邪の予防にぴったりです。食物繊維とカリウムが豊富なので、疲れた胃腸を整えたい人にもおすすめ。いも類の中ではカロリーと糖質が低めなのもうれしいですね。あまり食べすぎるとお腹が張ることもあるので、よく煮て、よく噛んで食べましょう。
里芋を使った主菜
里芋と牛肉の炊き合わせ
材料(2人分)
- 里芋 300g
- 牛肉(今回は切り落としを使用) 100g
- 玉ねぎ 150g
- 生姜 1/2かけ
- 絹さや 4枚
- 油 小さじ1
- 砂糖 小さじ2
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1と1/2
- 水 適宜
秋から旬を迎える「里芋」。今回は、覚えておきたい定番の味つけで煮物にしました。牛肉の旨味と、しょうゆ、みりん、お砂糖が里芋にこっくりと沁み込み、とろっとした食感がたのしめます。しっかりと煮込むことで、のどの通りも、消化もよくなり、胃腸に負担をかけません。和食以外にも、コロッケやカレー、サラダなどの洋食とも好相性、とてもおいしくなります。じゃがいもと同じ感覚で料理にとり入れてみてくださいね。
(カラダとココロ担当) 飛奈光重 Mitsue Tobina
漢方家。大学の薬学部在学中、医療ミスで祖母を亡くした経験から東洋医学と漢方の道へ。卒業後は漢方専門薬局に勤務し、数多くの漢方相談を受けることで臨床経験を積む。2019年「漢方専門 横浜梅桜堂薬局」を開業。婦人病、皮膚病、目の病気の研究に特に力を入れている。漢方歴25年、薬剤師と国際中医師の資格を持つ。
横浜梅桜堂薬局